2007年12月11日火曜日

ホームレスマネーがサブプライム危機を救う?

またまた、サブプライムに絡む巨額の損失のニュース。
スイスの大手UBS銀行が100億ドルの追加評価損、このニュース単体ならばマーケットには再び動揺が走ったでしょう。ところが、GICシンガポール政府投資公社1兆1000億円そして、中東の投資家が(投資家って個人でしょうか?まさか、、、!推測ではオマーンのSWF)2000億円を出資、資本増強。シティがアブダビの政府系ファンドに助かられたことも記憶に新しいのですが、このニュースにある雑誌で読んだ記事を思い出しました。

この間たまたま書店で手にした『Voice』12月号。
そもそもはジム・ロジャーズ氏がバーナンキ氏の政策に噛み付いたインタヴューを(インフレなのに金利を引き下げるなど狂気の沙汰だ、、、というようなことを言っています)読みたくて買ったのですが、この雑誌の中にもう一つ面白い論文?が。

大前研一氏が「サブプライム危機は怖くない」として、「世界にはおよそ6000兆円の“ホームレスマネー”が、投資機会を求めて徘徊している。サブプライム危機が、世界大恐慌を招くことはない。」というようなことを書いているんです。

ちょっと要約してみましょう。
この過剰流動性マネーは日本のGDPの10倍以上、およそ6000兆円も世界中で徘徊していると見られ、この中にはOECDの古い国(スウェーデンやカナダ、オーストラリア、アメリカ、ドイツ、イギリスなど)の高齢化により使い切れないなっている年金、貯金、保険などが上げられます。貯まっているにもかかわらず、彼らは自国に対して十分なリターンがある「投資機会」を見つけられないでいます。(日本も、自国投資だけではもう1%のリターンも上げられない)
さらに、このような年金マネーに加え、オイルマネーが台頭し始めました。原油価格の上昇にともなって、その総計はますます増えています。先日シティ救済でその名を轟かせたアブダビ投資庁、サウジ、ドバイ、、、など中東勢に加えてロシアマネーが加わり、さらには外貨準備NO1の中国マネーなどが新たな投資先を模索しています。
大前氏は、この目に見えない6000兆円の資金は、経済を直す力もあれば破壊する力もあるとしていますが、ハイリターンを求めて動くこの資金は、むしろ状況が厳しいところに殺到すると考えられ、これが、今、アメリカの住宅不況が深刻化しもうダメだといわれた時点で再び流入を開始し、サブプライム危機を解消するだろう、、、と、指摘しているのです。

この所のSWFの動きはまさに大前氏が指摘した危機的状況に動き出し、株価を支えています。この論文のように、サブプライム問題は過剰流動性マネーが救済する形で乗り切ることができるのでしょうか?私はまだ、そうした見方には懐疑的ですが、少なくても現状のマーケットにおいては、そのようなムードとなってきていますね。