CPIショック、再び?!
今夜発表された米10月CPIを受け、米金利急低下。
ドル円相場も大きく下げています。
米CPI、10月はコアと総合ともに鈍化-追加利上げ観測が後退
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-14/S4487WT0G1KW01?srnd=cojp-v2
10月CPI 前年比 +3.2%(予想+3.3%:前回+3.7%)
前月比 +0.0%(予想+0.1%:前回+0.4%)
コアCPI 前年比 +4.0%(予想+4.1%:前回+4.1%)
前月比 +0.2%(予想+0.3%:前回+0.3%)
詳しくは米労働省
https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf
池田伸太郎氏(https://twitter.com/sikeda23)のポストに
内訳のグラフがあります。
エネルギーの低下が大きくCPIを低下させたことがよくわかります。
一方でサービス部門のインフレはしつこいことも読み取れますね。
特に輸送サービス。
要は原油価格の下落が効いているということです。
原油価格が再び上昇するようだとインフレの再燃リスクがある、
というわけですが、中国の不調をはじめ世界が金融引き締めで
緩やかに景気失速となる中、需要増による原油高騰シナリオは描きにくく、
原油価格が再び高値を目指す展開となるリスクは大きくありません。
※WTI原油日足
OPECプラスが協調減産を継続している他
サウジとロシアが自主減産で供給を絞っているのですが
一方で米国の原油生産は過去最高を更新しています。
U.S. Field Production of Crude Oil
https://www.eia.gov/dnav/pet/hist/LeafHandler.ashx?n=pet&s=mcrfpus2&f=m
先般石油メジャーのエクソンモービルがパーミアンで豊富な生産量を誇る
シェール大手企業パイオニア・ナチュラル・リソーシズの買収を決めた
との報道がありましたが、このパーミアン地区シェール生産量は
OPECの生産量NO1サウジに次ぐ生産量を誇るイラクより日量生産が多くなっています。
エネルギー業界M&A、新時代到来か-エクソンが9兆円近い大型買収
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-12/S2DY9EDWRGG001
いまや世界の原油生産ナンバー1は米国であり
サウジやロシアが減産し続けたところで
そのシェアを米国に奪われるだけというわけです。
イランは隠れ増産を続けていますし・・・。
OPEC生産量、8月はほぼ横ばい-サウジが減産もイランなど増産
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-01/S0BBZNDWRGG001
イスラエルとハマスの戦争にイランが関与しているとして
10月原油価格が急伸する局面がありましたが
米国はじめ世界は戦争の拡大阻止に動いており
そのイランへの制裁強化というベクトルにはないようだ、ということで
リスクプレミアムが剥落し、足元では原油価格が大きく下落していますね。
WTI原油価格 日足
7月からの原油上昇は、そもそものOPECのプラスの協調減産の枠組みに加え
さらにサウジとロシアが自主減産をスタートしたことにあります。
(サウジ日量100万バレル、ロシア日量50万バレル減産強化)
7月から始めたサウジとロシアの自主減産は毎月延長され、
12月末までの延長が発表されていますが、
この減産に原油価格は反応しなくなっています。
むしろ、米国の増産の影響が原油価格に織り込まれ始めていると考えられます。
というわけで、原油価格が米国の増産の影響で上がらないなら
米国のインフレ率の再上昇も考えにくいと思われます。
石油以外の、例えばサービス部門のインフレが更に上昇していくとなれば
話しは変わってきますが、高金利の影響がジワリ効いてくると思われ
そのリスクはあまり大きくはないのでは・・・?
今夜のCPIの結果を受けて米金利はご覧の急低下。
※米国債利回り一覧
先週から米要人らからタカ派発言が相次いでいましたが
追加利上げ観測は強まらず、今夜のCPIを受けて
金利先物市場では来年の利下げ開始時期が5月に前倒しになっています。
※CME Fedウォッチ
来年は5月から利下げ開始、年末までに4回(1.0%)の利下げを折り込む。
というわけで、マーケットのメインテーマが利上げ➡利下げへと
移っていく可能性が高くなってきたことで
米国株はご覧の上昇です。
※米主要株価インデックス リスクオーン
金利低下でドル円はご覧の下落。
ただ、まだテクニカル的にはトップアウトした形ではない。
現状ではまだ上昇トレンドは継続しています。
昨年は介入後8営業日後に
一目均衡表の転換線、基準線をロウソク足の実体が割り込み、
11月10日に発表された10月CPIの急低下で
一気に雲の下限まで急降下。90SMAをも割り込みました。
今回もこのようなテクニカルの急転換がなければ
ドル円がピークアウトしたとは言い難いのが現状ではあります。
145円くらいまで下げてくれれば、昨年のようなパターンになるのですが。。。
ただ、きれいに昨年高値151.90円台で下落しており
Wトップとなる可能性もありますね。
昨年のようなドラスティックな下落とはならないまでも
明日の小売売上高が、予想より弱い数字でもう一段の下落、
さらに12月に発表される11月分の雇用統計やCPIが更に悪化していれば
ドル円がこのままトップアウトする可能性はゼロではありません。
それはデータ‐次第ということですね。
今夜のドル円の下落幅は
昨年のCPIショックと比べるととても地味なのが正直な感想。
0.5975キウイドルショートはCPI前まで順調に下げていたのですが
CPIショックでドル安となったことで一気に吹き上がり
0.5910においていた逆指値が一瞬でHIT。ポジション消滅。
暴力的なキウイ高となりました。
これは他通貨でも同様のことが起きています。
昨晩のブログで注目していたポンドですが
昨日のドル円の謎急落時に一緒に下げたのですが
その前の高値を超えてじり高基調にあったのを見て
ユーロ円のような展開となりそう~ということで
我慢できずにCPI発表前ですが186.21円で買い参戦しました。
案の定、ユーロ円のように今年の高値を取る展開に発展中。
ドル円は下落しているのですがドルスト上昇につき
クロス円は急伸しています。
ドル円が軟化しているので介入警戒も薄く安心感がありますね。
ポンド円、月足をみると2016年に195.88円という高値がありますが、
ここまでは上がらないかな・・・?(淡い期待)
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