2021年2月28日日曜日

 先週(2月最終週)は長期金利がみるみる上昇。
24日水曜の上昇では株式市場もなんとか持ちこたえていましたが
25日木曜の急騰ではあっさり1.5%を突破し。一時1.614%まで上昇、
流石にこれには株式市場が動揺をみせました。

何故動揺するかって、
S&P500の配当利回りは現在1.48%程度と算出されていますが
これを米長期債利回りが上回ってしまったってことです。
高値警戒が強い株の配当利回りより
債券利回りのほうが高いなら、債券にシフトしようと考える向きが
出てくるだろうということになってくるわけですが、
それにしても、金利が急騰下局面では、債券は猛烈に売られていたわけです。

なぜ米金利は急騰したのか。

①7年債応札不調

25日、米財務省は620億ドル規模の7年債入札を実施したのですが
応札倍率は2.04倍と過去6回入札平均の2.35倍を下回り需要は低調。
外国中銀を含む間接入札落札比率は38.1%と前回の64.1%を大幅に下回った。
~応札の不調は米国債の需要が低下しているとの警戒につながります。
米国が借金しすぎ(国債を発行しすぎ)で、いよいよ
買う人がいなくなっちゃうんじゃないの?てことです。
まあ、そんなことは無いでしょうけれど。

②500億ドル(約5兆3300億円)に上る持ち高が解消された可能性
 米国債急落の主犯は巨額の持ち高解消か、入札不調と流動性消失も共犯
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-26/QP4Q75DWX2Q701
・期間短めの国債が大きく下げ利回り曲線がフラット化したため、
 リフレ取引で人気のあったスティープ化を見込むポジションに打撃

これに関しては、先週は月末でしたので、ポジション調整といいますか
リバランス的なフローがあったのではないか、という見方もできます。

③市場の流動性が低下?

・ボラティリティーが急速に上昇する時に高頻度トレーダーが
 債券市場から撤退する傾向

26日金曜には1.52%近くまで上昇した米長期債利回りが
1.4%割れまで急低下してきており、流石に先週の急騰の是正が
入りましたが、ここからは米金利がさらに切り返して上昇するのか、
あるいは金利上昇が緩やかとなり落ち着きを取り戻すのかにかかっています。

金利が再上昇するようなら、株の調整はまだ続きます、、多分。
金利が落ち着いてくるようなら、押し目を拾う動きが活発となるかな。

ダウは大きな下落となったものの、S&P500とかSOX指数とか、
押し目を形成したというレベルの下落でしかありません。
これがさらに下がるか、押し目完了となるかは金利次第ってとこ。

金利上昇はまさかの1.9兆ドルのフルパッケージで決まりそう、ってな
追加経済対策下院通過というニュースも在るんじゃないかな。
大盤振る舞いパッケージなので1.9兆ドルからかなり減額されるのでは?
というのが市場の見方でしたが、下院は満額で通過したのね。

これが上院で通るかどうか、ですが、
ここに最低時給の引き上げも含んでいるんだから
(コロナ禍のどさくさ、喫緊の課題ではない)
流石に上院はこれに反対すると思うんですが、
それでも再度1人当たり1400ドルの個人向け一時金が
配られる見込みであるほか
週400ドルの失業保険を8月末まで支給するなど
個人家計の現金が増える政策であることから
株式市場にはポジティブ、という見方もありますよね。

ところが、イエレン財務長官はこんな事を言っています。

米国 デジタル課税の「適用除外」案を撤回 G20会合
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR26DPB0W1A220C2000000/
・イエレン氏「適用除外」と呼ばれる事実上の骨抜き案の撤回を表明
・7月に伊北部ベネチアで開くG20の財務相・中銀総裁会議で合意をめざす

要するに「IT企業」GAFAMなどに課税しようというものです。
これはGAFAMなどハイテク企業の上昇に水を差す可能性が・・・。

高すぎて買えなかった個別株銘柄などは
長期的には拾うチャンスがきそうです。
ただ、インデックス投資はちょっと難しいかな。。。

さて為替ですが、世界の金利が上昇しているのに
日本の金利は 0±2%に釘打ちされています。

※世界の長期債利回り

しかしながらこれだけ世界の金利が上昇してくると
日本だけが低金利のままでいいのか、という疑問が・・・・。
というわけでこんな思惑が出てきたようです。

長期金利が5年ぶり高水準、政策点検控え市場は日銀の対応に注目
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-26/QP3TMIT0G1L901?srnd=cojp-v2
・次回日銀金融政策決定会合3月18、19日
・3月に発表する政策点検で長期金利の変動許容幅を拡大するとの思惑
・変動幅拡大は「金利上昇容認と受け取られる懸念も

もし、変動幅を拡大すればこれは引き締めと受け止められかねないので
円高要因とされる可能性もありますね。
(上下のバンド幅なのでマイナス方向にも許容するため
 決して引き締めを意味するものではないのですが、
 世界の金利上昇局面では、これに引っ張られて日本の金利も上昇圧力となるため
 金利上昇容認=国債買い入れ金額減少=引き締め?という見方につながりかねない)

日銀は18~19日なのでまだ心配することもないですが、
今月は「点検」結果が出てくると思われますので注目度が高いんですよね。

足元ではドル独歩高です。

※通貨インデックス一覧

月末の特殊フローがあった可能性もありますので、
月初からの値動きがもとに戻る可能性もあり、このままドル高が続くか、
資源国通貨が下がり続けるかはわかりません。

ただ一つ言えることは「円安」だけは継続していた、ということ。

これでドル円は上昇となりました。
株が下落しているというのに、ドル円が強かった。
この傾向は今後も続くと思っています。

週末の急落でクロス円ロングが消滅。

キウイ円77.36円L→ コストでカット(T_T)
豪ドル円83.68円L→ コストでカット(T_T)
ドル円105.14円L 継続
ユーロ円127.49円L 継続

3月って、年度末なので、このままリバランスの動きが続いちゃう
可能性も否定できませんが、基本は金余りですので
豪ドル円、キウイ円、ポンド円などクロス円の買い場探しとします。

英国のワクチン接種、1500万人を超える 首相は「偉業」と称賛
https://www.bbc.com/japanese/56066282
英国はワクチン接種が早いのが評価されているようですので強気。

※日経平均って、月末に下落して月初に上がるパターンが半年続いています。
このパターンを踏襲するなら今週から上昇基調へ?


2/25 ひろこのスペシャリストに聞く!は
大倉たかしキャプテン登場です!!
ドル円相場は大底をつけたのか。
金利が為替を動かしているわけではない、と大倉キャプテン。
では一体何を見ればいいのでしょうか。


<2021年ドル円相場の焦点>
『ドル円相場は大底をつけたのか』
https://youtu.be/FTDswyMuHNo
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■来週の主な予定■
 米雇用統計や米ISM製造業景気指数、OPECプラス会合に中国全人代

■1日(月)
中国財新製造業PMI(2月)
米ISM製造業景気指数(2月)
NY連銀総裁、講演
アトランタ連銀総裁、講演
クリーブランド連銀総裁、講演
ミネアポリス連銀総裁、講演
エネルギー会議CERAウィーク

■2日(火)
日本雇用統計(1月)
豪中銀政策金利
米自動車販売(2月)
ブレイナードFRB理事、講演
サンフランシスコ連銀総裁、講演

■3日(水)
豪GDP(第4四半期)
中国財新サービス業PMI(2月)
米ADP雇用者数(2月)
米ISM非製造業景気指数(2月)
スナク英財務相、予算案発表
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
シカゴ連銀総裁、講演
フィラデルフィア連銀総裁、講演

■4日(木)
米製造業受注(1月)
米新規失業保険申請件数 (2月27日終了週)
OPECプラス閣僚級会合
   ■OPECプラスが原油高を受けて4月から減産幅を縮小する思惑が。
    もし、減産枠を縮小すれば(減産する量を減らす=増産)
    原油が下落する可能性。
    金利上昇でインフレ懸念が高まっていた、とするならば
    原油安は悪いことではないという受け止め方になるかも。

■5日(金)
米貿易収支(1月)
米雇用統計(2月)
中国全国人民代表大会(全人代)開幕

■7日(日)
中国貿易統計(1-2月合算)
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