2015年1月11日日曜日

これっていわゆる「リスクオフ」の動きだったんですよね~

株安 ダウ ▲170・50
円高 119.76まで上昇も118.37円まで1円50銭まで下落
金高 +7.6ドル 1216.1ドル
債券高 10年物 1.9501%まで下落 
雇用統計を受けて、株安・円高・金高。債券高です。
リスクオフの時の資金の流れと同じ。。。

そ、そんな悪い内容だった?!

いえ、
雇用統計の数字、良かったんですよ。
瞬間判断できるNFPと失業率は、、、ですけれど。

◆12月米雇用統計
①NFP +25.2万人(予想+24万)11月分は+35.3万人に上方修正
②失業率 5.6% (先月5.8%) 08年6月以来低水準
雇用者数は14年年間では295万人増となり、過去15年で最大の伸び

→これを見て、初動はドル買いで反応したということでしょう。
早期利上げ観測も強まったと思われます。

③賃金上昇率(平均時給)
前月比で▲0.2%減 24.57ドル06年以降で最大の落ち込み
11月分も0.4%増から0.2%増に大幅に下方修正

しかし、よくよく発表内容を精査してみると賃金上昇率は悪化。。。
これは失業率の改善は進んでいるものの、
新規に創出されている雇用はホワイトカラーのオフィスワークの
ようなものは少なく、パートタイムのような低賃金の職が多い
という見方ができるので、「雇用の質の悪化」が懸念される結果。
最低賃金のフードサービス関連の雇用の伸びは2012年来で最大だそう。

表向きの数字が良くても質が良くないという
判断が難しい内容となったのですが、
これをマーケットはどんな風に解釈したというのでしょう、、、。

難しいのは株価下落というのは、
何か事件や有事があったり、景気に悪い指標が出たりした場合に
起こるものである反面、
早期利上げ観測が高まったりすることでも起こり得る反応です。

今回の下落はどちらだったのか。

イエレン議長は雇用の「質」の改善が見られなければ、
利上げはしないという慎重派。
利上げは意外に遅いかもしれないというような今回の内容では
実は株価は上がってもいいんじゃないかと思われます。

ところが、株価は上昇した。

ということは、株式市場は早期利上げは変わらずとみている
と考えていいのかと思います。
だからこそ、利食いが旺盛だった。。。?!
他に、リスクと思える材料は出ていかなったですよね。金曜夜。

あるとすれば原油下落くらいでした。
北海ブレント 50.11(‐0.85)
WTI原油 48.36(‐0.43)
2009 年4月以来の安値水準

解せないのがドル円の下落。

もし、そうとらえている(早期利上げ観測は変わらない)
のだとすればドルは上昇するはず。
ところが、ドルも下落した…。

為替市場の方はコチラが意識されていたのではないでしょうか。

シカゴ連銀のエバンス総裁
雇用統計の発表直後に米CNBCテレビのインタビューで、
労働市場の改善に好感を示した一方で
「利上げは16年が好ましい」と述べたと伝わった。


低い賃金の伸び率が低インフレの圧力として働くとの見方も示した。

つまり、賃金の伸び率も低く、インフレが懸念されていない現状に
おいては早期利上げは必要ないという意見ですね。

ちなみにエバンス氏はFOMC2015年度メンバー。

2015年のFOMCメンバーは

イエレンFRB議長、フィッシャー米FRB副議長、ブレイナード理事、
パウエルFRB理事、タルーロFRB理事、ダドリーNY連銀総裁に

①エバンス・シカゴ連銀総裁、(ハト派)
②ラッカー・リッチモンド地区連銀総裁、(タカ派)
③ロックハート・アトランタ連銀総裁 (中立)
④ウィリアムズ・サンフランシスコ地区連銀総裁(ハト派)
の4人が加わります。
この新たに加わるメンバーのうち2名がハト派。

(ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁、米クリーブランド地区連銀のメスター総裁、米フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁、米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁の4人が投票権がなくなりましたが、タカ派で知られるプロッサー総裁とフィッシャー総裁がいなくなる一方、ハト派のエバンズ総裁とウィリアムズ総裁が入ったことで、利上げが遅れるという見方も出ているようです)

また、ウィリアムズ氏も年初の講演で、
「引き締めを急ぐ理由はない」
「2015年後半の利上げも除外しない」とハト派に傾斜した発言をしています。

つまり、株式市場は利上げが早いと受け止めていても、
債券市場や為替市場は利上げが遅くなるリスクに
すでに備え始めているということなのかもしれません。
なんか変な話だけど。
だから、ドル安になったということじゃないでしょうか。
雇用統計受けて、ユーロドルも上昇しましたね。

また、著名債券投資家の(債券王と呼ばれた)ビル・グロス氏も
賃金の伸びが景気の成長を持続させるには十分ではないとの見方を示しており、
米国の債券利回りは現在の水準を維持すると見ているようです。
2015年中に短期金利の引き上げに踏み切ったとしても終盤になると
予想しており、利上げ時期が市場予想の今年年央より
はるかに遅れるという予想なんですね。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KE1NW20150105

また、ビル・グロス氏に代って新債券王と呼ばれているジェフリー・ガンドラック氏は、
Fedが利上げに踏み切ると考えているものの、
なんと長期金利の上昇より「低下」を見込んでいるというのです。

米10年債利回りは2014年、2.17%で取引を終えましたが
2015年末の予想は
ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値は 3.24%。
ガンドラック氏はなんと金利低下を予想で
2012年に示現した1.38%を割り込むと読んでいるんです。

原油相場が2014年末の55ドルからさらに下落し40ドルに到達した場合、
デフレ圧力が強まるため、、、だそうです。

つまり、FRBの利上げが遅れるという予想だけでなく、
利上げしても、金利は上がらないという不思議な現象が起こり得る、
ということで、これは、原油価格の急激な下落がもたらす
デフレ圧力によるものということですね。

となると、ドル円もそう大きく上昇しないかもしれません。
しかし、ドル円が上がらなくても、120円より円安になることは
望まない向きも多いようですし、日本経済にとっては悪くないのでは??

利上げが遅いことは株式市場は急落のリスクが遠のくということでも
ありますし、利上げするかもしれないという思惑を織り込みながら
株価が調整される期間が伸びますから、
利上げが遅ければ遅いほど、株価が崩れるリスクも遠のくと思います。

まとめると、、、
今年はドル高であることには違いはありませんが、
米金利上昇は本当にゆっくりゆっくりです。
ドル円上昇もその勢いはあまり期待できないかと思います。

また、株式市場は調整があっても、買い戻されるでしょう。
利上げの可能性が強まっても、利食いが一巡すれば買われると思う…。

ということで、ドル円ロングはそんなに焦って作らなくてもいい。

ただ、ユーロの下落でドル高となる可能性は大きく、
その意味ではドルインデックスの上昇は続くんでしょうね。
ポンドドルショートは雇用統計前に手仕舞ってしまいました。
ユーロドルやポンドドルにも戻りがあってもおかしくない…。
と思ったので、、、また戻り高値を売りたいと思っています。


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