2016年4月24日日曜日

4月は例年、月前半と月後半で相場動向が真逆になりやすい傾向が強い。
とブログやコラムで書きましたが、2016年もそのような相場展開。

4月18日頃(4月第3週頃)から、いよいよ本邦機関投資家勢が動き出す、
というカレンダー的な要素もありますが、今年の場合は、
年初からガンガンに日本株を売り込んできた海外勢の売りが止まったことが
最も大きな材料だったのだと思います…。

財務省が21日発表した対外及び対内証券売買契約などの状況では
4月10日~16日の海外投資家による日本株への投資は3週連続の買越。
買越額は5386億円。4/3~4/9は1465億円の買越し、3/27~4/2は4152億円の買越。

東京証券取引所が21日に発表した4月第2週(11~15日)の
投資部門別株式売買動向でに海外投資家は2週連続で買い越し。
買越額は3848億円で、2015年5月第4週(3970億円)以来ほぼ1年ぶりの大きさ。
前の週は326億円の買い越し

こちらのURLに、グラフがあります。
(日曜夜段階では最新のデータが反映されてませんが)

差引という欄を見てください。
海外勢が今年に入ってから12週も売り越していたことがわかりますね。

この流れが4月に入ってから止まっているのです。

この売りの主体が原油安による財政悪化によるサウジなどの
産油国のSWFオイルマネーではないか、とも言われています。
売り手は欧州系金融機関であったことと、それらの後に産油国らの
政府系ファンドがいたのではないかというのが専らの見立てですが、
原油価格下落が止まってそこそこ反発していることで
執拗に日本株を売らなくても良くなった??可能性と、
来週の日銀の金融政策決定会合に向けての期待が高まっている、
ということが挙げられています。

22日金曜のブルームバーグ記者による観測記事、
金融機関にも日銀がマイナス金利で貸出をするというのも
上昇を加速させる燃料となりましたが、その前から、
19日火曜あたりからセンチメントは変わっていましたね。

日銀への期待には「ヘリコプターマネー」の存在も指摘されています。

ヘリコプターマネーというとベン・バーナンキ前FRB議長を思い浮かべますが、
別の言い方をすると「財政ファイナンス」
これ、日本では法律で禁じられています。財政法の第5条。

簡単に言うと日銀が直接政府から国債を買って資金を供給する、ってこと。
それだけ聞くと、え_?それって今もやってるじゃない、、って思うでしょ。

今は違うんです。日銀はあくまで「市場から国債を購入している」んです。
市場を通さずにダイレクトに国債購入はしていないんです。
(でも市場にあるのは僅か1日程度だそうで、形式的ではあるようですが)

今、市場関係者や海外投資投資家勢の間で噂になっているのが
日銀が直接政府から国債を買い入れるヘリコプターマネーをばらまく政策に
日本が踏み切るのではないか、ということのようです。

これが、日本株のショートの買戻し、ドル円の買戻しに繋がっていると
みられるのです。

え?でも法律で禁じられているんでしょ。

って疑問もあるかと思いますが、
財政法「特別の事由がある場合に、国会の議決を経た金額の範囲内」なら例外。
日銀法でも「目的達成上必要がある場合に、財務相及び首相の認可を受けた時」
は例外となっており、現在を例外と仮定しちゃえば出来ちゃうものです。

現在は黒田日銀総裁はヘリコプターマネーについては否定していますが、
黒田さんって、マイナス金利導入の時も1週間前の国会で否定していたにも
関わらず導入しちゃった経緯があります。。。

これがいいことなのか悪いことなのかの議論は置いておいて、
これが期待されていることで、今の株価上昇とドル円上昇がある、
ということになると、やはり28日の日銀の金融政策決定会合の重要度は高く
期待外れなら一度売られるリスクがあるでしょう。

また、週末のブルームバーグの観測記事で冒頭したドル円、日経平均ですが

日銀:金融機関への貸し出しにもマイナス金利検討-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-22/O60OA16S972C01

~日銀当座預金の一部に適用している0.1%のマイナス金利(政策金利)を拡大する際は、市場金利のさらなる引き下げを狙って、貸出支援基金による貸出金利をマイナスにすることを検討する可能性がある。~

これについてMarketHackでおなじみ広瀬隆雄さんが
Twitterで書き込んでくださっているのですが、
日銀が参考にしているのは、ECBが導入している
TLTRO 2「貸出条件付き長期資金供給オペ第2弾」とであると。

~銀行の融資資産の30%までを上限として、担保になるものをECBに持ち込めば、それをベースに4年間、0%の金利(現行のMROレート)でECBが銀行にお金を貸しますという措置~

これについては広瀬さんの3/11のブログを参照あれ。
(3月ECBの追加緩和策を受けてそれを解説した記事です)
https://www.triauto.jp/marketblog/2016/03/h11.html

つまりは、日銀からどんどん借りてどんどん貸し出せ。
ってことですが、資金需要がないのであればあまり意味がないという意見も。

ともかく、日銀への期待が高まって、海外勢が日本株を買い戻している、
ってのが足元の相場の強さの背景ですね。
ですから、過度な期待が高まりすぎて上がりすぎると
失望の売りも大きくなるのではないか、という懸念も出てきます。

それでも、今週はまず28日の日銀に向けてのラリーで
日本株、ドル円、クロス円を上手に利食って、
失望で落ちたところをまた拾うという戦略でいるの。

急落したらそのまままた下落トレンドに回帰するんじゃないの?っていう
見方もあるでしょうけれど、5月末には伊勢志摩サミット、この夏の参院選に向けて
売り込みにくい地合いに変わっていると思います。
原油価格も下値が固くなっていますし、必要以上に日本株を売りで攻めるような
センチメントにはないと思います・・・。
今回の日銀で期待された政策が発表されなくても、
6月にやるのではないか、という期待が下値を限定的なものにするのでは?

GWにも入りますので、28日の急落ですぐさま拾うということでもないですが、
もしかすると、急落なんかなくて、そのまま上に行っちゃう可能性だって
ゼロじゃないかも、って気がしています。
少しだけ、ポジション残して日銀会合を迎えようかなぁという気もしますが、
それはまた今週の相場を見てから考えますね。

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