米中の通商問題は落としどころが見えず、株式市場は不安定ですが
ドル円相場は勢いよく上昇開始。何故、リスクオン時にみられるドル円上昇なのか。
この記事にヒント。
焦点:過去最大の対外M&A、「買収玉」が跳ね返す円高圧力
https://jp.reuters.com/article/japan-merger-yen-analysis-idJPKBN1K111S
実需のドル買いがドル円を支えているということですが
トムソン・ロイターの集計によると、今上期の日本企業による
海外企業の合併・買収(M&A)は合計13兆0079億円。
これまで最大だったのは16年下期の8兆4701億円。80年以降で最大。
13兆円規模というと、政府・日銀が震災後の11年下期に断続的に実施した
為替介入13兆6045億円に匹敵する規模とのこと。
もちろん、M&Aの総計全てが外国為替市場での円売りになるわけじゃありません。
外貨の調達には様々な手段があるわけですが、、、
それでも、海外企業を買うわけですから外貨は調達しないといけないのは事実で
かりに実弾として外為市場でドル調達するとなると「買い切り」の玉ですので
これは介入しているようなものですよね。
13兆円のうち、半分出たとしても6~7兆円ですよ、これは大きい。
また、記事の最後の部分に
財務省によると、1月から最新の5月までに行われた対外直接投資は
合計で6兆6843億円。15年以降3年連続で更新し続けている
過去最高ペースに衰えはない。~との記述。
これは、純粋に6兆6843億円の円売りが出ていたということでしょう。
金利の無い国内債券で収益があげられなくなった機関投資家らが
外債、外国株などの投資を積極的に展開していたということ。
単純計算で19兆。こりゃなかなかドル円が下がらないわけです。
日本株とドル円の相関が薄れている背景にはこれがありそうね。
それから、今日は西原宏一氏と番組でご一緒したのですが
興味深いことを話されていました。
米中貿易摩擦などの影響で下落する人民元。これが中国当局による
ハンドリングなのかどうかはわかりませんが、人民元安、ドル高がトレンド化
していることは紛れもない事実。
これをヘッジしなくてはならない場合、どうします?!
人民元市場は流動性が低くヘッジなどがやりにくい。
ということで、同じアジアの通貨である円を売ることで
元下落をヘッジしようという向きがあるとかなんとか。。。。
元安が円売りでヘッジできるというのはにわかにはピンときませんが💦
だって、対外純資産世界一の円はクラッシュ時、リスクオフ時には
レパトリ警戒から猛烈に上昇するんですよ。これが元安というリスクヘッジに
売られるって、なんだか不思議なんですけれど、まあ、そういう指摘があるようです。
頭を柔らかくしないと今の相場見えてきませんね。
従来の教科書的相関は塗り変わっていくものです。。。
ということで、ドル円とユーロ円ロング、継続のままです。
それからこの記事も是非読んでおきたい。
コラム:貿易戦争でも世界経済が失速しない「3つの理由」=村上尚己氏
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-naoki-murakami-idJPKBN1K10FP
以下、簡易抜粋
①第1に、米国では減税政策などによる景気押し上げ効果が、関税引き上げによるネガティブインパクトをかなり相殺することが見込まれる。米議会予算局(CBO)の試算によれば、家計に対する減税政策だけで2019年までの2年間に年平均800億ドル、国内総生産(GDP)比0.5%相当の所得押し上げ効果がある。
対中輸入2000億ドル規模まで関税引き上げが広がった場合は、累積的な関税負担は約435億ドル。
米国経済全体でみれば、減税効果で家計部門の総需要が増え続けるため、潜在成長率を上回る経済成長が続く可能性が高い。
②第2にインフレ率を控除した実質政策金利はほぼゼロ。
景気が後退局面に入る前には、多くの場合、実質政策金利が3%以上まで上昇、金融環境が景気抑制的に作用し、景気後退が訪れるのが経験則。長期金利は今年緩やかな上昇が続いているとはいえ低水準のまま。
③第3~バブルの兆候がない
住宅投資のGDP比率について、1940年代後半からの長期推移をみると、平均は4.6%。多くの場合、景気後退が発生する前には、この水準を超える住宅市場の盛り上がりが起きていたが、2018年初でこの比率は3.9%と、平均からかなり低い数値。
自動車関連消費のGDP比率についても言える。家計の住宅・耐久財消費の状況から判断すれば、米国の景気後退入りはまだ遠い。
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