先週末、突然リスクオフの様相に包まれたマーケット。
22日金曜
ダウ工業株30種平均:25502.32ドル(▲460.19ドル)
ナスダック総合株価指数:7642.67(▲196.29)
10年物米国債利回り:2.44%(▲0.09%)
3か月物財務省短期証券:2.45%前後で高止まり
→逆イールド:長短金利逆転現象、12年ぶりの発生
ゴールド:1312.3ドル(+5.0ドル)
ドル円安値 109.74
ユーロ/ドル相場安値 1.1273
ユーロ円安値 123.82ドル円
トルコリラ円安値 18.77円
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トリガーはドイツの3月PMI速報値とされていますが、
いろいろとリスクオフの背景とされるニュースがありましたので整理。
①独・3月製造業PMI速報値:44.7(予想:48.0、2月:47.6)
2012年8月以来の低水準 2か月連続で50を割る
独10年債利回り、2016年来のマイナスへ
https://info.finance.yahoo.co.jp/fx/marketcalendar/detail/11142
2017年12月の63.3がピークでダダ下がり
PMIは購買担当者を対象にアンケート調査するもので
新規受注や生産高、受注残、価格、雇用、購買数量などの指数に
一定のウエイトを掛けて算出。
景気実態を正確に映すとされており、50が好況、不況の分水嶺。
44.7って。落ち込み酷くない?!(;'∀')
ドイツは中国との貿易量が多く、中国景気の失速の影響なんじゃないかな。
1年前のニュースだけど。
https://www.afpbb.com/articles/-/3165822
②ユーロ圏・3月製造業PMI速報値:47.6(予想:49.5、2月:49.3)
ドイツだけじゃないわね、ユーロ圏でみても6年ぶりの低水準
③米・3月製造業PMI速報値:52.5(予想:53.5、2月:53.0)
米・3月サービス業PMI速報値:54.8(予想:55.5、2月:56.0)
欧州だけじゃなくて、米国のPMIも悪化。まだ50を上回っていますが、、、
米国はISMの注目度の方が高いですが
こちらも2017年4月来の低水準に沈んでいます。
④トルコ中銀が金融政策の突然の引き締め
1週間レポ年24%の資金供給停止し、
別の政策金利である翌日物貸出金利(25.5%)や
後期流動性貸出金利(27%)に切り替える
→使用する政策金利を切り替えることで利上げに近い効果を狙った?!
しかし、政策の透明性に欠け発表後もリラは下げ止まらず。
何故突然トルコ中銀は金融引き締め策を発表しなくてはならなかったか。
トルコリラが急落したからですね。
※新興国通貨対ドル相場チャート
ではなぜリラが急落を始めたのでしょうか。
⑤トランプ米大統領が21日、
イスラエルが1967年の第3次中東戦争で占領したゴラン高原について
イスラエル主権を認めると表明。
トルコはイスラエルと対立関係にあります。
トルコのエルドアン大統領は「地域に新たな危機をもたらす」と警告。
中東情勢や対米関係悪化への懸念からリラ売りが進んだとみられます。
リラ円市場では日本勢のリラロングが積み上がっていたことが警戒されていましたが
リラ円のストップがHITする形でリラ円下落が加速した側面も大きいでしょう。
そして、リラ円下落がクロス円下落を誘引したという面も。
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米経済指標、PMIは決していい数字ではなかったものの
同日発表された中古住宅販売などは悪くありませんでした。
◆米・2月中古住宅販売件数:551万戸(予想:510万戸、1月:493万戸←494万戸)
昨年3月以降ほぼ1年ぶりの高水準を記録。
住宅ローン金利の低下が影響とみられます。
◆1月卸売在庫速報値:前月比+1.2%。
悪化予想に反して、伸びは12月の+1.1%から拡大。2012年9月来で最大となった。
卸売り売上高は前月比+0.5%と、4カ月ぶりのプラスに改善
しかしながら、先週末は米国債10年長期債の利回りと3日物短期債利回りが逆転、
逆イールドとなったことが嫌気され、
株式市場も大きく下落するリスクオフの様相となりました。
過去50年を検証すると、
10年と3カ月の金利の逆転状態が10日続いた場合、
平均で311日後に景気後退(リセッション)が始まるのだそうです。
チャートを確認しておきましょう。
※世界の主要株価
リスクオフの様相が強まったのは欧州時間からでしたので
日経、上海、韓国などアジアのインデックスは週明けからが心配ですね。
※ドルストレート
ドイツが震源地となったことで、ユーロ売りが大きいのですが
その背景に中国の失速があるとみるならオセアニアも安心できる状況にはありませんね。
ということで、豪ドルやカナダも下落が大きくなる可能性も。
※クロス円日足
トルコ円下落が効いた側面もあったと思われるクロス円。
クロス円下落はリスクオフですね。
また、米国の金融政策は年内利上げなしどころか、利下げまで織り込み始めており
欧州もまた、3月のECBでTLTRO9月再開を決め他だけでなく年内利上げなしを明言。
米欧が緩和姿勢を強固にしたところで、日銀は何かできるんですか?_!
新たなカードがないとなると、
他通貨安で結果的に円買いが旺盛となるリスクもありますね。
ドル円は年年初からのトレンドラインを下抜けてしまいました。
先週はカナダ/円ショートが踏みあげられて様子見していましたが
(クロス円の中で200EMAを下回ってるのがカナダ、豪ドル、ユーロ)
カナダ円下落に再度乗りました。
コストは82.49円。ちょっと出遅れましたが、、、、。
今回のリスクオフ相場、どこまで深押しがあるでしょうか。
米国のFF金利は2.25~2.50% です。
長期金利がこれを下回ってきたわけですから、やややりすぎです・・・。
市場は将来の利下げを織り込んでいるということになりますので
これが長期化するならFRBは利下げせざるを得ません。
市場金利の方が低いと金融機関は利ザヤを稼げませんし
そもそも、利下げしなくてはいけないってことは景気が良くないってことよね。
だから、これは一時的な現象に終わる可能性もあります。
昨年12月、クリスマスに向けた株の下落も
金利市場の異変が不吉なサインとなっていました。
12月3日、米5年物国債利回りと2年債利回りが逆イールドとなったのです。
(2007年6月以来、11年半ぶり)
これに驚いた市場は、FRBの出方に注目していたのですが
12月FOMCでパウエル議長がバランスシート縮小について問われ、
タカ派的スタンスを崩さなかったことで
Xmasに向けて、リスクオフが加速していった、、、のでした。
これは年明け早々にパウエル議長が利上げを急がない
慎重なスタンスを見せたことから解消され、
安心感からおよそ2か月に及ぶ猛烈な反発相場を演じたのですが、
今回は、Fedが超ハト化した後の事態ですので、
前回のようにパウエル議長が何か言ったからと言って
市場に安心感を与えることは出来ないのかもしれません。
ただし、市場が気にするリセッションシグナルは
10年債と2年債の利回りの逆イールドです。
これに関していえば、12月の時よりまだスプレッドは余裕があるんですよね。
12月の時は10年債と2年債の利回りは 一時0.1%を割り込みましたが
足下ではそこまで行ってませんね。
※10年債と2年債スプレッド
とはいえ、ほんの些少なレベルの話ですけどね・・・
※10年と2年逆イールドは05~07年に逆転、
住宅バブルが崩壊して08年から景気後退入り。
どっとコムバブル崩壊の01年の前年も逆イールドが確認されています。
逆イールドから1年後には注意が必要ですが、
現在まだ2年10年は逆転していないのです。
だから、本音では騒ぎ過ぎは無用かと思ってたりします。
カナダ円はショートしてみましたが、
また踏みあげられないようコストで撤退するつもりですし、、、。
週明けは幾分下落すると思いますが。
米株だけを見ていると、まだトレンドは崩れていないのよね。
中小型株のラッセル2000は崩れたかな、、、これは気になるけれど。
高値もみ合いとなる可能性はありますが、ショートは慎重に。
※米主要株価インデックス
本格下落は4月になってからじゃないか、って気もしてるんだけど、
予想するんじゃなくて、値動きについていきましょう。
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ポンドはよくわかんないですね。
欧州連合(EU)は21日のサミットで、合意なき離脱を回避すべく
英国に2週間の猶予を与えることを決めました。
29日の離脱期限までに英国議会がメイ首相の合意離脱協定案を支持しなかった場合、
4月12日まで合意なしで離脱するか、長期の延期を要求するかの判断をするよう提案。
次のヤマは4月12日か。
ポンドは方向感を失っており、手が出しにくいですね。
大きく売られたら買おうかな、という感じで見ていますが。。。
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今週の注目イベント、あんまり重要なイベントはありません。
日本株市場は優待権利取りの買いが支えたりするのかしら?!
24-25日:エバンス米シカゴ連銀総裁講演
25日:ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、
ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
26日:デイリー米サンフランシスコ連銀総裁討論
3月コンファレンスボード消費者信頼感指数:予想132.1(2月131.4)
2月住宅着工件数:予想121.8万戸(1月123万戸)
27日:ジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁講演
米1月貿易収支:予想-575憶ドル(12月—598憶ドル)
ドラギECB総裁講演
28日:ウィリアムズNY連銀総裁、
ブラード・セントルイス連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁講演、
10-12月期GDP確定値:予想前期比年率+2.4%(改定値+2.6%)
10-12月期個人消費:予想前期比+2.6%(改定値+2.8%)
29日:カプラン米ダラス連銀総裁講演、
クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長講演
米1月PCEコア:予想前年比+1.9%(12月⁺1.9%)
英国ブレグジット期限(延期見通し濃厚)
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2019年3月24日日曜日
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