ジョンソン英首相は、EU離脱後の移行期間の延長がないこと確実にする法改正を目指す方針
この報道からポンド売りが加速しています。
総選挙で保守党が勝利すれば、英議会ではEU離脱関連の法案が通りやすくなるため
EUとの間の約束である1月末までのブレグジットが可能になる、というのが
これまでのポンド買いの材料でした。
ブレグジットとなれば、移行期間までにFTA自由貿易協定(FTA)の批准を終えられるのか、
これが焦点となってきます。移行期間は2020年12月末まで。
つまり、ブレグジットする1月末から12月末までの11カ月間の間に
EUとの間で自由貿易協定で合意しなければなりません。
間に合わなければ移行期間を延長すればいいんじゃないの、、、って話もあるんですが
ジョンソン首相は移行期間の延長ができないよう法改正に動くとのこと。
自由貿易協定での合意の期限が来年12月末までで動かせなくなるということね。
じゃあ、何とか11か月でEUとの間でFTA合意すればいいんじゃないの、、、って話ですが
EUとカナダのFTA交渉は7年もかかったんです! 7年です。
果たして英国とEUは11か月で交渉がまとまるの、、、?!
という懸念が出てきますね。
これが新たな「合意なき離脱」リスクの誕生。
じゃあ、なんでそんな無茶な法改正をするの?!
ジョンソン首相は英国内に渦巻く「ブレグジット疲れ」から
結論を急ぎたい国民の支持を集める形で今回の総選挙で大勝したわけですので
移行期限の延長は国民の支持を得られないということなのでしょう。
北アイルランドのバラッカー首相との電撃会談で離脱合意への道筋を作った
ジョンソン首相のことですから、ウルトラCの策でもあるんでしょうか・・・
英に再び「合意なきEU離脱」不安-移行期間延長しない法改正へ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-17/Q2MR0GT1UM0W01
ということでポンドが売り込まれ始めたわけですが
それでも、総選挙直前のレベルに落ちてきたところです。
選挙結果を受けて急騰しましたので、その分が剥落した状態。
ここからさらに下落が続くのかどうか、まだ見極めができません。
押し目買いを考えていたんですが、ちょっとこの流動性の低下し始めた時期に
ポンド買いで入るのはリスクが高そう・・・。
まさか、移行期間の期限までのFTA合意が新たな合意なき離脱リスクと
なるとは思ってもいなかったので、このニュースをどう受け止めていいのか
まだ消化しきれていませんので、様子見とします。
また、米中通商協議の第一段階合意を好感してリスクオン相場の地合いが
続いているとの指摘もありますが、
FRBによる短期レポ市場への資金供給が隠れQEだとして
これがバブルを発生させているとの指摘もありますね。
これがFRBのバランスシート推移。
10月15日からFRBは資金供給を開始しています。
ものすごい勢いでリバウンド中ですが、このニュースによると
バランスシート縮小前のピークだった残高4兆5000億ドルを突破する日も
そう遠くないようですね。
FRB、金利抑制に全力 越年資金53兆円供給
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53384760V11C19A2FF8000/
BISが構造的問題と指摘した短期レポ市場のドル不足ですが
年末はドル需要が増す時期とあって、警戒が強まります。
というわけでなんと越年の資金供給を計4900憶ドル(約53兆円)実施するとか。
50兆円ですよ、50兆円。何そのスケール。
これをやらないと、資金調達できないところが出てきて
これが信用リスクを高めると〇〇ショックというような
危機につながりかねません。
そして、これだけの規模のTビルがあるんですか、ってこと。
あくまでFRBが購入しているのは短期債で、これは資金供給だから
QEではないとパウエル議長はおっしゃってましたが
11日、長期国債を将来買う可能性も示唆しちゃいました。
長期債まで買えば完全にQEですね。量的緩和政策です。
なぜこんなことが起こっているか、というと
銀行が国債を買っちゃってて、キャッシュがないという構造的問題があるとBIS
これは金融規制によるところが原因のようですね。
リーマンショック以降、リスク資産保有はかなり厳しくなっています。
また、量的緩和を続けた副作用との指摘も。
資金が潤沢な状況となった結果、市場での短期資金のやりとりが減少し
「迅速で円滑な市場の取引に必要な内部手続きや知識(といった当事者の経験)が
衰え始めているかもしれない、とかなんとか。
リーマンからたった10年でそんなに脆弱になるもんなんですかね。
10年で銀行の中の人もずいぶん入れ替わっちゃうものかな?
「ドル不足は構造問題」 BIS、金利再急騰に警鐘
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53151830Q9A211C1000000/?n_cid=SPTMG002
これを見た金融市場が、じゃぶじゃぶマネーの行き場を探している
というのが現状のリスク選好相場というわけですが
今夜もダウは強含みで推移しています。
となると、クロス円も買いでいいのかしら…・
ですが、ポンドに新たなリスクが生じたため、今夜は全般ポンド売りと
なっており、ポンド円が安い。
為替市場はポンドにつれて動く側面も大きいので
ポンド円安がクロス円全般の上値を抑えているようです。
欧米勢もクリスマス休暇に入ろうという時期で流動性も低下していると
思われますし積極的にポジション取りたい時期ではないので
ノーポジです。
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2019年12月18日水曜日
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