2021年6月21日月曜日

 FOMCきっかけでマーケットのセンチメントが変わりました。
FOMCでは23年に2回の利上げを予想と利上げ開始想定時期が前倒しされ、
セントルイス連銀総裁が「22年利上げ開始の可能性」に言及するなど
市場は大混乱となりました。

ブラード総裁、来年に米利上げ開始の可能性も-インフレ高進で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-18/QUWDYTT0G1KW01

しかし市場金利が上昇しているわけではありません。
これは米10年債利回り

よって、GAFAMが崩れていません。
ナスダック総合指数はあまり崩れていないのですが
ダウ平均はかなり大きく売られていますね。

※上段 Facebook Microsoft Alphabet
 下段 Amazon Apple Tesla


一方、ダウ平均構成銘柄個別チャートは…
https://stockcharts.com/freecharts/candleglance.html?[DOW]

ダウ平均


JPモルガンなど金利上昇で買われる金融が下げているほか
キャタピラーなど建機が弱いということは、、、
リフレトレードで買われた一角が売られており
コロナ禍に逆戻りしてしまうのではないか、
という動き担ってきました。テック企業がしっかりですものね。

テクノロジー株が再びファンドマネジャーの選好対象に-割高でも魅力
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-19/QUX0ZYT1UM0W01

米国はワクチン接種が進み経済正常化も進んでいるように見えますが
金利が上がらず、ダウが上がらないというのはどういうことなのか。
基本、金融の正常化は「良いこと」ですので、
この反応は一時的なものかと思いますが、
やはり過剰流動性マネーが逆流する過程では
買われすぎた市場には相応の調整が入るのかもしれません。

商品先物市場はレバレッジが効くデリバティブですので
投機マネーが入りやすく、何かあった場合もっともボラが上がります。
今では暗号資産市場などもそうでしょうね。

※上段 金 鉄鉱石 銅 原油
 下段 大豆 コーン 小麦 木材
 
原油が下がらず巻き返したのはイラン総選挙のせいかと。後述。 

コモディティ市況、トップアウトしたとするなら
インフレ警戒は続かないのでは?とも思いますが
これは10年ブレークイーブンインフレ率

5月半ばから低下傾向にあるのよね。
そして名目金利である10年債利回りも低下。
市場はインフレを警戒などしていないようです・・・。

しかし金利が低下しているというのに、ドル高です。
円は膠着。

※通貨インデックス一覧

単純に、これまでドルショート株ロングのリフレトレードが流行っていたため
その巻き返しが来ているということでしょう。
金利とは全く関係のない「リスクオフ」でドル買いになっているだけです。

この相場、ドルロングが正解でしたが
ドル円が上がらないのはクロス円が売られているから。
つまり、クロス円はロングになっていたってことですね。

同じく、リフレトレードで円売りが溜まっていたんでしょう。
円ショートの巻き返しでクロス円は下落しているのです。

問題はこの「リフレトレード」の巻き返しがどこで止まるか。
金融政策の正常化は、本来、行き過ぎたインフレの抑制と
労働市場の回復が確固たるものとなった場合に行われるものです。
そもそもは景気が良いから正常化するものであり
そのせいで株価が延々と下がり続けるなら、
そのタイミングが早すぎるということですね。

元来、過剰流動性マネーがやりすぎてバブル的となった市場が
崩れることはあっても、本当に景気が良ければ
相場は再び回復するはずです。

問題は、今、本当に景気がいいのか?という点ですね。

今警戒されているインフレが、
供給問題からのボトルネックによるものなら
それが解消してしまえば、本当の物価が見えてきます。
また、中国が商品価格の抑制に動いているのも効いてくれば
意外と物価上昇圧力が強くないことが露呈するかもしれませんし、
米国は労働市場がまだ脆弱です。
ばらまき過ぎの弊害なら、失業給付がとまれば労働市場に人々は
戻ってくると思いますが、雇用統計の数字は4月5月と予想に満たず。

今後、物価や雇用の数字が思いの外「悪い」と
利上げやテーパリングの時期が、やはりそれほど早くないとの観測に繋がり、
株や商品が上昇する、なんてこともありそうな気もしています。

パウエル議長はFOMC後の会見で
「ドットプロットは割り引いてみるべき」と
市場の過度な期待をけん制していますが、
その後、株の下落が続いているので、今週のパウエル議長の議会証言では
かなりハト派的なコメントが出されるのではないか、と思っています。

22日火曜(日本時間23日AM3:00)
     パウエル議長 下院特別小委員会議会証言 

場合によっては、ここでドル高が止まる可能性もありますが、
そこがまたドルの買い場になりそうです。

FOMCタカ派傾斜でユーロ強気推奨を終了-ゴールドマンとドイツ銀
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-17/QUTFC4T0G1KW01

彼らが随分ユーロロング積み上げていたんじゃないかな、、、
ユーロロング推奨やめるんですって。

だからといって、ユーロ高トレンドが終わって
今後ドル高ユーロ安がトレンドになるかどうかはまだわかりません。
彼らのこれまでのユーロ高推奨も転換を強いられているわけで
今後また、それが転換させられる可能性もあります。
外資系金融が必ずしも当たり屋ではありません。

まあ、しばらくは巻き返し相場ですので
ドル高になるんでしょう。。。

現状はポンド円ショート 154.40円S

◆日経平均ロングはあえなくロスカット。
29366円と29020円で買っていましたが28924円でカット。
28908円でショートにスイッチしています。

日経平均はキレイにレジスタンスで叩き落されました・・・。
ちょっとだけ上に抜けたようにみえたので買い参戦したのですが💦
騙されました。水星逆行中は順張りは駄目でしたね、反省。

上昇トレンドが終焉したとは思っていません。
このFOMC豹変ショックによる巻き戻しが終われば
また秋に向けて買い場がやってくると思っています。
しかし、足元はショート。。。。どこで買い戻すかは相場を見ながら。

◆原油だけが強いのは、イランの大統領選挙で
強硬派のライシ師が圧勝したことが影響しているかと思われます。
ライシ師は88年、4人で構成される「死の委員会」の一員として、
最大5000人に上る政治囚の集団処刑を監督したとされる人物で
米国の制裁対象に指定されています。

核合意については前向きに話合うスタンスを表明していますが
「核合意をアメリカによる恐喝の手段にはさせない」とも発言しており
過度な要求には応じない立場も示しています。
選挙前のロウハニ政権よりも米国にとっては話合いを潤滑に進めにくい相手で
あることには違いないと思われ、核合意はまとまらないかも?
というのが原油市場の反応でしょう。
核合意によってイランへの制裁が解除され、イラン産原油が市場に
出てくる可能性が後退した、というわけです。

また、イスラエルでも長期政権を指揮してきたネタニヤフ首相が破れ
連立政権が誕生していますが、まずは最初の2年間は
ネタニヤフ前首相よりもタカ派と言われるベネット党首が首相を務めるとかで
(8政党の輪番制って、、、そんな政権あり?!)
さっそく、新政権はガザ地区を空爆。

イスラエル新政権 ガザ地区を2日続けて空爆 緊張の高まり懸念
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210619/k10013092481000.html

タカ派のイスラエル新首相とイラン大統領の誕生で
イスラエルとイランの衝突を懸念する声も出始めています。

イスラエル ラピド外相 イラン大統領選で当選のライシ師を非難
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210620/k10013094181000.html

中東、偶発衝突の懸念 イラン大統領に強硬派ライシ師: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB186J20Y1A610C2000000

中東情勢に不測の事態があれば原油生産への影響が。。。

原油高は景気回復に水を差すでしょう。
最悪の場合スタグフレーションの懸念も、、、
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****今週の予定****

FOMCが終わりブラックアウト期間があけるため
FRB要人らの発言が相次ぎます。
特に22日火曜のパウエル議長議会証言には注目ですね。

21日(月)
ラガルドECB総裁、欧州議会出席
NY連銀総裁、講演
セントルイス連銀総裁、講演

22日(火)
パウエルFRB議長、米下院特別小委員会で証言
クリーブランド連銀総裁、講演
サンフランシスコ連銀総裁、講演
NY市長選予備選

23日(水)
ドイツ製造業PMI速報値(6月)
ユーロ圏製造業PMI速報値(6月)
米製造業PMI速報値(6月)
ボウマンFRB理事、講演
ボストン連銀総裁、講演
アトランタ連銀総裁、講演

24日(木)
黒田日銀総裁、挨拶
月例経済報告(6月)
ECB経済報告
英中銀政策金利
ドイツIFO景況感指数(6月)
米GDP確報値(第1四半期)
NY連銀総裁、講演
セントルイス連銀総裁、講演
アトランタ連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁 パネル討論会参加
EU首脳会議(25日まで)
FRBストレステスト結果公表

25日(金)
米個人所得支出(5月)
ボストン連銀総裁、講演
クリーブランド連銀総裁、講演

27日(日)
中国工業企業利益(5月)
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