ジャクソンホール会議はひところで言えば
「早期利上げへの警戒感が後退した」ということでしょう。
テーパリング開始はすで既定路線であるため市場には織り込み済みです。
パウエルFRB議長が「テーパリングを年内に開始するのは適切である」と
したことをヘッドラインにした記事も散見されますが
パウエル議長は「これは利上げの時期を示すものではない」と続けています。
コチラの言葉のほうが重要なんですね。
あのパウエル議長が年内テーパリング開始に言及した!ということが
驚きではなく、利上げ開始時期は早くないだろうという安心感を与えた
という点に市場が反応しています。
年内の早い時期でのテーパリング開始については
すでにFRB要人らが言及してきていますので
市場に織り込ませるのに成功しているんですね。
テーパリングの開始時期については、9月雇用統計を受けて
9月FOMCで言及があるのでは?というのがコンセンサスになりつつあります。
年内の開始であれば9月FOMCで言及して10月以降のいずれかの時点からでしょう。
10月はFOMC会合がありませんので、
11月or12月にスタートするというのがコンセンサスになりつつあります。
ジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演を受けて
米金利は低下、ドル独歩安です。
米株は上昇ですからリスクオン相場ですね。
しかしサマーズ元米財務長官は、パウエル議長の講演を受けて辛口コメント。
⬇
パウエル氏インフレリスク読み違え、穏やかな描写に終始-サマーズ氏
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-28/QYJ8KZT1UM0W01
FRBはインフレリスクを軽んじているのでは?って言いたいようです。
たしかにジャクソンホール会合を受けてコモディティ価格も反発しています。
※COMEXゴールド
※原油
ただし原油の上昇にはハリケーン「アイダ」の接近に備えた
メキシコ湾岸石油施設の操業停止も背景にあります。
数日以内にカテゴリー3のハリケーンとして
ルイジアナ州ニューオーリンズ付近に上陸する可能性が。
ハリケーン「アイダ」、勢力強め米南部に上陸へ 甚大な被害の恐れ
https://www.cnn.co.jp/usa/35175882.html
米株 S&P500
米長期金利
通貨インデックス一覧
果たしてこの楽観がいつまで続くか。
このまま利上げ時期がマーケットの焦点となる時期まで
株上昇が続く可能性も出てきました。
日本の場合は秋の衆院選がありますが、株式市場下値は固い印象です。
新型コロナの感染拡大を織り込むような弱さは見られません。
感染者数は拡大していても重傷者数、死者数が抑え込まれていることで、
金融市場はコロナ感染拡大を意識していません。
コロナ感染拡大のリスクを排除してリスクオフの材料を探すとなると
アフガン情勢、中国経済ということになりますが、
よほどダイレクトに米国に大きな損失が想定されるような事態に発展しなければ
すぐにリスクオフ全開という相場にはならなそうです。
先週金曜は大倉キャプテンとのセミナーがありましたが
キャプテンは株式市場の強さの背景に企業の自社株買いを指摘されていました。
自社株買いによって根雪のように積み上がった短期相場変動ではびくともしない
ポジションが下値を押し上げているという側面もありそうです。
S&P500自社株買いと配当 2020年落ち込みましたが急速に増えています。
昨年コロナ禍では、6月以降米大手銀行の自社株買いが禁じられていました。
銀行らは3月以降自主的に自社株買いを停止していましたが
FRBが6月から禁止措置を導入。
これを昨年12月に条件付きで再開しています。
またテクノロジー企業なども自社株買いを進めていますね。
GAFAの強さの背景には自社株買いの影響もありそう。
大倉キャプテンは利益相反、と指摘されていましたが💦
米企業の自社株買いが加速へ、大手銀の資本還元拡大で過去最高更新も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-07-05/QVOU1JDWX2PS01
先週のキャプテンとのセミナー前にクロス円ショートポジションは
すべてカットしています。ノーポジで週末を迎えました。
秋に向けてリスクオンになるのでは?という気がしてきたんですよね・・・
おそらく次の焦点は米国の利上げ時期ということになりますが
それが話題となるまで半年以上はあるでしょうし、
過度に悲観する地合いではなくなってきているように思います。
テーパリング開始が年内想定でもリスクオフになっていないのです。
ただし、やはり米国の経済指標は重要。
ノイズ的に一喜一憂するでしょうから、買うなら指標を受けて下げた時でしょう。
今週は雇用統計があります。
ウォラー理事は
「7-8月の雇用統計が強ければ、
9月にテーパリング開始を発表する準備が整う可能性がある」としていましたが
先週27日にも、9月3日に発表される8月の米雇用統計で
少なくとも85万人の雇用増が確認されれば、テーパリング開始が可能になる
との見方を改めて示しています。
今週末発表の8月分雇用統計では85万人が一つの分水嶺として注目されるかな。
戦略としては、毎月月末、月初高アノマリーがある
日経平均を31日月末に拾えるチャンスがあれば。
クロス円も同じく押し目を待って買い方向で。
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****今週の主な予定************
30日(月)
・英国市場サマーバンクホリデー祝日で休場
・ダラス連銀製造業活動指数(8月)
31日(火)
・日本雇用統計(7月)
・中国製造業PMI・非製造業PMI(8月)製造業:予想50.2、前月50.4
サービス業:前月53.3
・米消費者信頼感指数(8月)予想124.0、前月129.1
・シカゴ購買部協会景気指数(8月)予想68.0、前月73.4
・米軍、アフガニスタン撤退期限
1日(水)
・豪GDP(第2四半期)
・中国財新製造業PMI(8月)予想50.2、前月50.3
・米自動車販売(8月)
・米ADP雇用者数(8月)予想+675千人、前月+330千人
・米ISM製造業景気指数(8月)予想59.0、前月59.5
・一帯一路サミット(2日まで)
・OPECプラス閣僚級会合
2日(木)
・米貿易収支(7月)
・米新規失業保険申請件数(28日終了週)
・米製造業新規受注(7月)前月比、予想+0.6%、前月+1.5%
3日(金)
・中国財新・サービス業PMI(8月)予想51.3、前月54.9
・米雇用統計(8月)前月比:NFP予想+800千人、前月+943千人
失業率:予想5.2%、前月5.4%、平均時給前年同月比:予想+4.0%
・米ISM非製造業景気指数(8月)予想62.5、前月64.1
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