1・ロシアに焦り?核使用をチラつかせ、ウクライナも交渉のテーブルへ
2・G7、SWIFTからロシア排除
3・ロシア中銀の利用制限
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ロシア大統領、核抑止部隊の高度警戒態勢を命令 経済制裁など受け
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-nuclear-idJPKBN2KW0L9
プーチン大統領、「核抑止部隊」に厳戒態勢を敷くよう命令
この核抑止部隊というのは
"他国の核兵器使用に対抗して核兵器を使用する"軍隊という名目ですが
他国の核兵器使用の可能性は低く、単にロシア側が核使用を
チラつかせている、というようにしか見えません。
プーチン大統領の手持ちのカードが少なくなってきて
追い込まれているようにも見えます。
ただ、これが効いたのかどうかわかりませんが
ウクライナ側が交渉に応じると表明しています。
まだヘッドラインのみで詳細がわかっていません。
「ウクライナ大統領:
前提条件なしでロシアと協議へ ベラルーシとの国境で行う予定」
「ロシア通信は27日、ウクライナのメディアの報道として、
ロシアとウクライナの停戦交渉が始まったと伝えた」
ベラルーシというのはロシアべったりですから
丸腰でベラルーシ国境にウクライナのゼレンスキー大統領が向かう
となれば危険とリスクが伴うと見られるのですが
どのような形で交渉が実現するのかがわかっていません。
イスラエルが和平仲介を申し出ているのですが
イスラエルが間に入ってくれるのか?
ゼレンスキー大統領の身柄の安全が確保できるのかちょっと心配です・・・。
ロシアがなぜここまで追い込まれているかというと
西側の結束が固く、矢継ぎ早にロシア制裁が決められていることと、
おそらくプーチン大統領の思惑よりも
キエフ陥落に時間がかかっていることにあると思います。
ウクライナ国防総省の試算として
ロシアは1日に150億ドルもの戦費を使っている、とされています。
2~3日でカタをつけるつもりが4日経ってもウクライナは銃を降ろさず。
ゼレンスキー大統領も国内に残りウクライナ軍の士気を高めています。
1日150億ドルということは1日1.7兆円、10日で17兆円?!
長期戦は難しいということで新たなカードを切ろうということでしょう。
ロシア側に焦りが見え始めた、というのがここまでの印象ですが
ロシアとウクライナの交渉がいつの時点で成立するのか
どのような形で決着するのかが全くみえませんので
まだどちらに軍配が上がるかはわかりません。
2・G7、SWIFTからロシア排除
明日、28日月曜の東京マーケットがオープンする前に
更に事態が進展する可能性もありますので
明日の市場がどのように動くのか難しいところではありますが
SWIFTからのロシアを締め出すことが決まった、ということが
金融市場に及ぼすインパクトは小さくないと思われることから
やはり週末に買い戻されたリスク資産は戻りを売られる可能性が
大きいのではないか、と考えています。
日本も14時間遅れでSWIFTからのロシア排除に参加を表明しました。
SWIFTからのロシア排除に日本も参加、プーチン氏ら資産凍結 首相表明
https://jp.reuters.com/article/japan-russia-ukraine-idJPKBN2KW0G4
SWIFT=国際銀行間通信協会 銀行間の決済ネットワークです。
200の国と地域の1万1000以上の金融機関が
国をまたぐ貿易などの決済や送金に使うシステム。
1日当たり4200万件の送金情報を扱い、決済額は1日当たり5兆ドル、
日本円でおよそ575兆円にもなります。
これが利用できなくなると貿易決済から締め出されるということになりますので
ロシア経済にとっては大打撃ですが、ロシアから石油やガス、メタルや小麦などを
輸入している企業や国にとっても打撃なので、
ロシアをSWIFTから締め出す事はできないのでは、とも見られていました。
特にEUはロシアへのエネルギー依存が大きいですよね・・・。
(EUは石油の30%程度、天然ガスの34%程度をロシアに依存している)
当初はロシア排除に反対していたドイツなどEU諸国が
態度を転換させたことは意外でした。戦況を読んだということでしょうか。
日本は石油の4%程度、LNG=液化天然ガスの8%程度をロシアから輸入。
LNGは三井物産と三菱商事が出資するサハリンでの石油・天然ガスプロジェクト
「サハリン2」からの調達が主で、日本の電力会社やガス会社なども購入しています。
日本の電力価格が上がるリスクであるとともに
伊藤忠などはロシア連邦・東シベリアでの石油探鉱・開発・生産事業に参画していますが
ロシアとビジネスしている企業の株価などには大きな下落圧力となるでしょう、
ロシア関連株、制裁で打撃懸念 欧州銀やガス銘柄に売り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB22BEW0S2A220C2000000/
JTはウクライナにタバコ製造工場があるんですね。。。
緊迫化のロシア・ウクライナ地域、日本企業は370社超が進出
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000436.000043465.html
日本企業は347社がロシアに進出。
最も多いのは「製造業」の156社となり、全体の4割超を占める。
トヨタ自動車など完成車メーカー各社のほか、自動車部品メーカーも。
「卸売業」(87社)は総合商社のほか、
ロシア産水産品を取り扱う水産物専門商社、中古車の輸出・販売業者などが進出。
ウクライナ・ロシアへ進出する日本企業の現状と対応
https://jp.reuters.com/article/ukraine-japan-companies-idJPKBN2KT0IL
●ソニー
キエフにエレクトロニクスの販売拠点があり、現地社員が数十人在籍。
●コマツ
ロシアを中心に建設・鉱山機械の生産・販売・サービスなどを展開。
ロシアを含むCIS(独立国家共同体)の21年度売上高比率は約8%の見通し。
SWIFT禁止された場合はロシアが外貨を一切受け取れなくなり影響は大きい。
●みずほフィナンシャルグループ
●トヨタ自動車
●大和証券グループ本社
●住友商事
●日立製作所
●楽天
●SBIホールディングス
●丸紅
すでにロシアルーブルは暴落しており
S&Pグローバルは25日、ロシア国債の格下げを発表しています。
「トリプルBマイナス」→投機的水準にあたる「ダブルBプラス」へ。
ムーディーズも近く格下げを発表する模様。
ルーブル安でロシアのインフレが止まらないだけでなく
海外から物が入ってこない、あるいは海外のサービスが利用できなくなるなど
様々な経済への打撃が、ロシア国民の不満へと繋がり
ロシア国内からプーチン政権の倒閣運動が広がる可能性もありますが
やや時間がかかるでしょうか。
3・ロシア中銀の利用制限
米欧、ロシア中央銀行の外貨準備の利用制限…決済網排除に加え為替介入も阻止
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220227-OYT1T50092/
外貨準備約6300億ドル(約73兆円)の利用を制限する制裁
昨今のエネルギー高でロシアの外貨準備は潤沢ではありますが
クリミア併合の2014年以降、制裁を課せられてきたことから
ロシアはドルの構成を引き下げてきました。
ロシア中銀の外貨準備のうちドルの割合は2021年6月末時点16.4%。
1年前は22.2%だったのでかなりのピッチでドル比率を引き下げています。
ユーロの割合は32.2%。人民元13%、ゴールド22%。
ロシアが国外資金へのアクセスを失うことで
国際通貨を売ってルーブル相場を支えようとする介入ができなくなります。
⬇ドル依存を引き下げ、GOLDの比率を高めてきた経緯。
ロシア、米国債を大量売却 制裁強化を懸念か/2018年7月19日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33168780Z10C18A7FF8000/
ロシアの金保有、ドル上回る 「ドル依存」脱却狙いか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODJ241EK0U1A120C2000000/
2020年6月時点外貨準備に占める金比率は22.9%(ドルは22.2%、最新では16.4%)
金が米ドルの比率を上回った。
プーチン大統領、「戦費」も準備万端 金など外貨積み上げ/2022/02/02
https://forbesjapan.com/articles/detail/45635/2/1/1
ロシアの金保有量、足元では1300億ドル(約15兆円)相当まで積み上げている。
この金準備を売却することもできないのでしょうか・・・?
⬇これは24日の豊島氏のコラムですが
ロシアはソ連崩壊後の1990年、大量の保有金を売却したことで
金価格が大きく下落したことがあります。
ロシア金大量売却の可能性
https://gold.mmc.co.jp/toshima_t/2022/02/3447.html
週明けからはロシアの金売却への懸念が金相場を大きく動かすリスクも
あろうかと思っています・・・。
自動車排ガス触媒として必要になるパラジウムなど
ロシア産メタルは上昇する可能性が大きいと考えられますが
GOLDはロシアがキャッシュ化するリスクもあることに留意しておきたいですね。
ダウCFD35024ドルショートは継続。
為替は週末ポジションなしです。
週明けからはリスク資産売り方向で考えていますが
ロシア、ウクライナの交渉の行方次第では戻りが更に大きくはいって
株高が演出される局面が来る可能性もあるか。
ともかくボラティリティが高い相場なのでポジションサイズは小さめに。
ユーロを再度売りたいと考えていますが週明けからの値動き次第。
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今週の予定
02/28(月) 前回 予想
08:50 日本 1月鉱工業生産・速報値(前月比) -1.0% -0.7%
08:50 日本 1月鉱工業生産・速報値(前年比) 2.7% 0.1%
09:30 豪州 1月小売売上高(前月比) -4.4% 0.3%
23:45 米国 2月シカゴ購買部協会景気指数 65.2 63.0
03/01(火)
09:30 豪州 10-12月期経常収支 239億豪ドル 149億豪ドル
10:30 中国 2月製造業購買担当者景気指数(PMI) 50.1 49.8
10:45 中国 2月Caixin製造業購買担当者景気指数(PMI) 49.1 49.2
12:30 RBA 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表 0.10% 0.10%
17:55 ドイツ 2月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) 58.5 58.5
18:00 ユーロ 2月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) 58.4 58.4
18:30 英国 2月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) 57.3 57.3
22:00 ドイツ 2月消費者物価指数(CPI、速報値)(前月比) 0.4% 0.8%
22:00 ドイツ 2月消費者物価指数(CPI、速報値)(前年比) 4.9% 5.0%
22:30 カナダ 12月月次国内総生産(GDP)(前月比) 0.6% 0.0%
22:30 カナダ 12月月次国内総生産(GDP)(前年比) 3.8% 3.8%
23:45 米国 2月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) 57.5 57.5
24:00 米国 2月ISM製造業景況指数 57.6 58.0
24:00 米国 1月建設支出(前月比) 0.2% -0.2%
03/02(水)
06:45 NZ 1月住宅建設許可件数(前月比) 0.6%
09:30 豪州 10-12月期四半期国内総生産(GDP)(前期比) -1.9% 3.0%
09:30 豪州 10-12月期四半期国内総生産(GDP)(前年同期比) 3.9% 3.6%
17:55 ドイツ 2月失業者数(前月比) -4.80万人 -2.00万人
17:55 ドイツ 2月失業率 5.1% 5.1%
19:00 ユーロ 2月消費者物価指数(HICP、速報値)(前年比) 5.1% 5.4%
19:00 ユーロ 2月消費者物価指数(HICPコア指数、速報値)(前年比)2.3% 2.5%
21:00 米国 MBA住宅ローン申請指数(前週比) -13.1%
22:15 米国 2月ADP雇用統計(前月比) -30.1万人 35.0万人
24:00 カナダ カナダ銀行 政策金利 0.25% 0.50%
24:00 米国 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
25:00 ロシア 1月失業率 4.3% 4.2%
28:00 米国 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
03/03(木)
09:30 豪州 1月住宅建設許可件数 (前月比) 8.2% -3.5%
09:30 豪州 1月貿易収支 83.56億豪ドル 95.00億豪ドル
10:45 中国 2月サービス部門購買担当者景気指数(PMI) 51.4 50.8
14:00 日本 2月消費者態度指数・一般世帯 36.7 35.0
17:55 ドイツ 2月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)56.6 56.6
18:00 ユーロ 2月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)55.8 55.8
18:30 英国 2月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)60.8 60.8
19:00 ユーロ 1月卸売物価指数(PPI)(前月比) 2.9% 2.4%
19:00 ユーロ 1月卸売物価指数(PPI)(前年比) 26.2% 27.0%
19:00 ユーロ 1月失業率 7.0% 7.0%
21:30 ユーロ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
23:45 米国 2月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値) 56.7 23:45 米国 2月総合購買担当者景気指数(PMI、改定値) 56.0
24:00 米国 2月ISM非製造業景況指数(総合) 59.9 61.0
24:00 米国 1月製造業新規受注(前月比) -0.4% 0.5%
24:00 米国 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
03/04(金)
08:30 日本 1月失業率 2.7% 2.7%
08:30 日本 1月有効求人倍率 1.16 1.15
16:00 ドイツ 1月貿易収支 70億ユーロ 66億ユーロ 55億ユーロ
16:00 ドイツ 1月経常収支 239億ユーロ
18:30 英国 2月建設業購買担当者景気指数(PMI) 56.3 57.5
19:00 ユーロ 1月小売売上高(前月比) -3.0% 1.3%
19:00 ユーロ 1月小売売上高(前年比) 2.0% 9.1%
22:30 米国 2月非農業部門雇用者数変化(前月比) 46.7万人 40.0万人
22:30 米国 2月失業率 4.0% 3.9%
22:30 米国 2月平均時給(前月比) 0.7% 0.5%
22:30 米国 2月平均時給(前年比) 5.7% 5.8%
2022年2月28日月曜日
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