1・ユーロドル、パリティ到達
2・イエレン財務長官、鈴木財務大臣会談
3・原油急落、コモディティ全面安
4・米国逆イールド常態化?主要国長期金利一段の低下
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1・ユーロは1ドル=0.9998ドルまで下落し、2002年12月以来の安値に。
足元ではやや反発しています。パリティ割れで下方向に走るという感じではありません。
※ユーロドル月足 2002年来の安値へ
ロシアは夏の恒例メンテナンスのため、
11日月曜日にノルドストリーム1パイプライン経由のガス供給を一時的に停止。
※ヨーロッパ最大のガス輸入インフラであり、
ロシアからバルト海を経由してドイツに年間約550億立方メートルのガス供給。
メンテナンスによる10日間のガス供給停止ですが、
10日後にロシアがガス供給を再開させないのでは?という懸念が高まっています。
ユーロについては景気も良くない。
昨日のブログでも書きましたが、
うまくアップロードされていなかったようですので、再度あげておきます。
※「ユーロには買う材料があまりに乏しすぎる。
先般ドイツが31年ぶりに貿易赤字に転落したことが話題となりましたが
ユーロ圏の貿易収支は赤字が恒常化。
そしてとうとうユーロ圏経常収支まで赤字に転落しています。
これらもユーロ売り要因ですね。
2・イエレン財務長官と鈴木財務大臣の会談、
一部には為替について話し合いが行われ、介入実施の確約を取り付けるのでは?
なんて見方もあったようですが、ないですよね、やっぱり。
日米財務相「為替、適切に協力」 イエレン氏介入に慎重
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA123XH0S2A710C2000000/
・為替介入に関する議論はなかった
・会談後、記者団に対し、為替介入について
「まれで例外的な状況でしか正当化されない」と改めて慎重な見解を示した。
ロシアの侵攻が為替変動高める、日米が適切に協力-財務相声明
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-12/REWA4ZT1UM0X01
・イエレン氏は「鈴木氏は円相場の動きについてわれわれに概説した。
大きく下落したことは明らかだが、政策についての協議はしなかった。」
この記事中にあるように今回のイエレン氏の目的は
「ロシア産石油の価格上限の問題をアジア歴訪の中心に据えている。」
これです⬇
ロシア産石油価格上限設定、衝撃回避に極めて重要-米財務省高官
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-12/REVY5DT1UM0W01
エネルギーアナリスト大場紀章氏によると
G7でロシア産石油を(ガスではない)輸入しているのはドイツと日本だけ。
そしてドイツはすでに年内にもロシア産石油の輸入を停止することを表明。
つまりG7においては実質、日本に向けての要請である、とのこと。
日本は現在エネルギー自給がままならないため
ロシアから石油を買うな、とは言わないまでも、買うなら上限価格を
1バレル=40-60ドル程度に定めよというものですが、
ロシアがこれを飲むかどうかはわかりません。
制裁によってロシア産原油が市場から締め出されれば
石油価格が140ドル程度にまで暴騰するリスクがあるため、
と米財務官は分析してとり、これでは世界の(米国の)インフレが
一向に沈静化しないというのがこの要請の背景にあるものと思われます。
また、ロシアが高騰する原油価格によって歳入増となっており
戦費が途絶えることがない=戦争が長期化しているという面もあり
原油価格を下げさせることが制裁強化につながるという話でもあります。
ロシアから買うな、といっても買う国はあるので
原油価格を崩すしかない、というものです。
現在のエネルギー市場動向は本日エネルギーアナリスト
ポスト石油戦略研究所代表大場紀章氏に解説いただいていますのでぜひ動画を。
【ひろこのスペシャリストに聞く!】
<EU、ロシアからのガスが止まる?>
『原油はもう、下がらないのか』
https://youtu.be/KebyaHeAKAI
このような米国の思惑を織り込み始めたか、
それとも景気後退懸念が急速に織り込まれているのか、
WTI原油価格は95ドル台まで下落しています。
3・原油急落、コモディティ全面安
WTI原油 95ドル台
原油価格の先行きに関しては見方が分かれています。
シティグループはリセッションのシナリオとなれば
WTIは年末65ドル、来年末45ドルまで下落すると予想。
GSは強気を崩していません。最近の下げは売られ過ぎであり
ファンダメンタルズとリンクしないとしています。
JPモルガンはマイルドなリセッションならばブレント価格で90ドル前後へ、
深刻なリセッションだと78ドル前後まで下落するとの見方。
一方で、前述したロシア産石油の価格上限設定にロシアが抵抗し
報復措置として石油生産を日量500万バレル削減する「最も極端なシナリオ」では
北海ブレントが380ドルに急騰する可能性があるとの見方を示しています。
原油は生産国ロシアの原油の制裁の行方によっては
上にも下にも大きく動くため予想は難しいですが、
銅や穀物など他のコモディティ価格も一斉に下がっていることから
米国はじめ世界の利上げが効いてきたことによる
リセッション警戒でコモディティ市場から資金が流出している、
ということなのかもしれませんが。
※主要コモディティ日足チャート
※貴金属4商品日足チャート
4・米国逆イールド常態化?主要国長期金利一段の低下
※米国債利回り一覧
長短金利逆転(逆イールド)はリセッションシグナルと言われていますが
10年2年の金利どころか、1年利回りが10年利回りを上回ってきた。
1年未満の金利上昇が続きているのに長期債利回りが上がらない。
市場のリセッション警戒がコモディティ市況に波及しているのかもしれません。
世界の長期金利も低下傾向を強めています。
※主要国10年債利回り
ユーロドル1.0439ドルS
キウイドル0.6226ドルS 継続です。
NOTE
IMF専務理事が債務危機警告-コロナや戦争、利上げで「危機重なる」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-12/REWWRHT1UM0W01
・途上国ではディストレスト債が2500億ドル相当に積み上がり、
過去に例を見ないような連鎖的なデフォルト(債務不履行)が発生する恐れ
・途上国と新興国の約30%は債務がディストレス
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