2022年8月1日月曜日

 先週の7月FOMCを受け、米金利はじめ世界の金利が低下を強め
米国株は大きく上昇、S&P500は7月、月間ベースで20年11月以来の大幅高。
今回の決算ですが「予想より悪くなかった」ことで米株が上昇を強める展開。
(ここまで決算発表でS&P500種構成銘柄のうち約75%がアナリスト予想を上回る)

マーケットはFRBの利上げがそれほどタカ派的にならないと
安堵したかに見えますが、本当にこんなに楽観的になってしまっていいのでしょうか。。。

1・米国、高インフレ持続
  米PCEデフレータ、前年比上昇率は過去40年で最大
2・サウジは米国の増産要請に応えるか?OPECプラス総会  
3・中国経済停滞続く
4・今週RBA豪州の政策金利発表
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1・米国、高インフレ持続
  米PCEデフレータ、前年比上昇率は過去40年で最大

              
■PCEデフレータ(6月)前月比+1.0%(予想+0.9% 前回 
          前年比+6.8% (予想+6.7% 前回+6.3%・前年比)
           
           
   ~PCE総合価格指数、前年比での上昇率は過去40年で最大          

■PCEコアデフレータ 前月比+0.6%(予想+0.5% 前回+0.3%)
         前年比+4.8%(予想+4.7% 前回+4.7%)
   
       ~コア価格指数、前月比でここ1年余りで最大の伸び

■雇用コスト指数(2022年 第2四半期)前期比 1.3%(予想 1.2% 前回 1.4%)

~雇用コスト指数、予想以上に上昇
 求人件数が過去最高付近にある中、賃上げなどで人材確保に努めており、
 労働コストの上昇が続く(企業収益圧迫で景気後退への懸念増)
 
インフレが持続しており、労働市場を圧迫していることが確認されました。
そして同時に個人消費が鈍リ始めていることも気がかり。

■個人消費支出(6月)前月比+1.1%(予想+0.9% 前回+0.2%)
   個人所得(6月)前月比+0.6%(予想+0.5% 前回+0.5%)
             
  ~個人消費支出は実質ベースで小幅増にとどまる。
   実質所得が目減りし、需要が弱まっている状況
 
■貯蓄率は5.1%に低下、2009年以来の低水準

20年4月には33%にまで急騰していた米個人貯蓄率ですが
あっという間に貯蓄が、、、使ってしまったのね。
2009年来の低水準ってリーマンショック後ですよ。

この高インフレが労働市場を圧迫し、
個人にはお金がなくなってきている。。。。
不安しかありませんが、この場合FRBはどうするのが正解なのか。

インフレ退治したいなら、市場にハト派的と取られるような
メッセージを発信すべきではないと思いますが。。。

この強い結果を受けて、市場での9月FOMC利上げ観測がタカ派シフト
しているものの0.75%利上げ観測は28%程度にとどまっています。
すっかり市場は9月は0.5%利上げに留まると楽観していますね。

ここから注意しておきたいのが、このまま株価上がり続けると
インフレがなかなか沈静化しないことから
FRB要人らからタカ派発言が飛び出す可能性があることでしょうか。

2・サウジは米国の増産要請に応えるか?OPECプラス総会


8月3日OPECプラスが開催する共同市場監視委員会(JMMC)は
インフレがさらに加速するか、沈静化するか、、、
原油価格の今後を担う重大イベントです。

米国バイデン大統領は7月中東を歴訪し、サウジアラビアのサルマン国王、
ムハマンド皇太子と会談、原油の増産要請を行いました。
サウジ側から確約を取り付ける事ができていないのですが
米国側はサウジが「数週間以内」に原油増産へ向けた何らかの行動を
採るとして、増産に強い期待を示しています。
サウジが増産に応じるか否かは原油価格を大きく動かすでしょう。

WTI原油は200SMAがサポート、ここを割り込み下落加速となれば
米金利一段と低下するかもしれません。

※WTI原油日足チャート

サウジとしても世界景気後退が懸念されはじめ、
原油価格が130ドルの高値から90ドル台まで下落している中で
更に原油価格が下落するリスクを取ってまで増産要請に応えるのか?
それにはそれ相当の米国側からのお土産がなければ、、、と思いますが
それも米国内からの批判の種となりかねません。

2018年イスタンブールのサウジアラビア総領事館で
ジャーナリストのカショギ氏を殺害したとして
バイデン大統領はサウジアラビアを厳しく批判してきた経緯があります。
ここで人権問題を無視してサウジに歩み寄る姿勢に米国内からは
批判の声もあり、どこまでの交渉がなされたかは疑問です。

短期間で大きく動いた原油価格ですが
(20年4月はマイナス40ドルまで下落していたが22年6月は130ドルに)
産油国は原油高で潤っています。
サウジの経済は絶好調。

Saudi Arabia Economy Grows at Fastest Pace Since 2011 on Oil
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-07-31/saudi-arabia-economy-grows-at-fastest-pace-since-2011-on-oil
・サウジアラビア第2四半期GDP +11.8%
・原油高背景に2011年以来最も速い成長ペースを維持
・失業率は2008年以来の最低水準

対して日本や欧州などエネルギー輸入国は
原油高で貿易赤字が拡大し通貨安に見舞われ大変です。
このことが資源を持たない国がエネルギー安全保障を見直す
きっかけとなり日本でも原発再稼働機運が高まりつつあります。

しかし、米国は産油国であるにもかかわらず
2四半期連続でGDPがマイナス成長、テクニカルリセッションに陥っています。
産油国ならエネルギー生産を増やせばいいのですが
バイデン政権が脱炭素政策を掲げてしまったが故に
エネルギー基調は生産を増やす方向に設備投資を拡大せず
配当や自社株買いを増やしています。
バイデン政権は国内での原油増産にも失敗しているということです。

今週は原油価格に注目です。

3・中国経済停滞続く

中国7月製造業PMIは49.0、新型コロナ再流行で再び50割れ
https://jp.reuters.com/article/china-economy-pmi-idJPKBN2P6076
新型コロナの感染拡大が落ち着き、政府はコロナ対策を緩和したが、
感染が確認された地域は再び対策強化の対象となる。
製造業の中心地である広東省深圳市では感染が増えており、
世界的なサプライチェーンの混乱懸念が高まっている。


中国が牽引する形で世界経済を盛り上げる時代も終わったようです。

そんなこんなで、今の株高はベアマーケットラリーだと思っていますが
買値にストップロスを置く形で日本株、米株も
個別株をいくつか物色して保有しています。
成長持続もマクロ要因で売られすぎた銘柄を中心に。
少なくても足元売り相場ではないですが、
インデックスはいつまた急落に転じるかわからないので買っていません。

インデックスの戻りが止まり再下落となるリスクがあるのは
今下り続けている金利が再び勢いよく上がりだす時でしょう。

それはさらなるインフレ指標が出た時かもしれませんし
今週のOPECを受けて原油再上昇となった場合かもしれません。
あるいは9月のQT加速がきっかけかも。

その時にはインデックスショートを持っていたいですね。

為替のポジションはクロス円ショート継続。
ユーロドルはなかなか下げないので、一旦撤退しました。

全般にドル金利低下が為替市場のテーマとなっておりドル安です。

※米国債利回り一覧

主要国金利は軒並み低下しているのですが、、、ドルが最も弱い。
※主要国長期債利回り一覧
こうなると日米、日欧、日豪などなど金利差縮小で
ドル円、クロス円下落が大きくなるわけです。

※ドル円、クロス円日足チャート一覧
ユーロドルは戻り基調を強めておりショートが分が悪いセンチメントに。
ポジションカットしました、、、前日高値超え水準です。
ユーロドル 1.01928ドルS ➡ 1.0238ドルで損切り

ドルストレートよりクロス円がわかりやすい展開ですね。

ユーロ円138・82円S 継続
豪ドル円95.18円S 継続

原油が急落することがあればカナダ円下落も大きくなりそう。

4・今週は豪州の金融政策会合

7月27日に発表の豪4-6月期四半期CPIは前年比+6.1%。
1-3月期 +5.1%からインフレ率は急加速していますが
予想が+6.3%でしたので予想に満たず。
さらに前期比+1.8% は 1-3月期+2.1%からインフレ鈍化です。

コンセンサスは 0.5%の利上げですが(1.35%➡1.85%)
予想どおりの利上げに終わるのではないかと思います。
コンセンサスを上回る利上げのサプライズを発表するほどには
前期比でみればインフレ加速は大きくなかったですし、、、

0.5%を超える利上げがあればサプライズ。
豪ドルが大きく上昇する可能性が大きいです。
可能性は0ではありません、カナダが7月に
1%の利上げに踏み切りましたので、、、。(コンセンサス0.75%)

今週は豪ドルも動きそうですね。
ただし8月は豪ドルは下落しやすいアノマリーがあります。

※過去20年の豪ドルの値動き季節性 8月の下落が目立つ
RBA通過後、豪ドルが上昇する局面があれば売り参戦したいかな。

ちなみに8月は円高のアノマリーがあることも有名。

■■今週の主な予定■■

1日(月)
中国財新製造業PMI(7月)
米ISM製造業景気指数(7月)
クウェートのハイサム・ガイス氏がOPEC事務局長に就任

2日(火)
豪中銀政策金利
米自動車販売(7月)
米求人件数(6月)
シカゴ連銀総裁、セントルイス連銀総裁、講演
米共和党全国委員会(RNC)夏季会合(5日まで)
米中間選挙予備選
(アリゾナ州、カンザス州、ミシガン州、ミズーリ州、ワシントン州)

3日(水)
NZ雇用統計(第2四半期)
豪州小売売上高(第2四半期)
ユーロ圏小売売上高(6月)
米ISM非製造業景気指数(7月)
OPECプラス閣僚級会合

4日(木)
ECB経済報告
英中銀政策金利、ベイリー英中銀総裁 記者会見
テスラ年次株主総会
クリーブランド連銀総裁、講演
米中間選挙予備選(テネシー州)
米保守政治行動会議(CPAC)(7日まで)トランプ前米大統領講演の予定

5日(金)
日本景気動向指数(6月)
カナダ雇用統計(7月)
米雇用統計(7月)
プーチン露大統領、エルドアン・トルコ大統領 会談

7日(日)
中国貿易統計(7月)

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