2022年9月12日月曜日

 1・岸田首相との会談後の黒田総裁コメントでドル円下落?
2・FRB高官らのタカ派発言にも株高、ドル安
3・ECB理事会0.75%利上げ、ユーロ反発基調
4・エリザベス女王逝去
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1・9/9(金)黒田総裁「1日に2-3円動くのは急激な変化」-首相と会談

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-09/RHX8E9T0AFB401
急激な為替変動は将来の不確実性高め好ましくない、動向を注視
為替市場動向も説明、岸田首相からは特段の指示や要望はなかった
~両者の会談は6月20日以来、4度目。

8日(木)には 財務省と日銀、金融庁の3者会合が開催され
神田財務官が、最近の円安進行は「明らかに過度な変動」とし
「動きが継続すればあらゆる措置を排除せず必要な対応を取る準備がある」
と述べていますが、為替市場がこれに反応することはありませんでしたが。。。

黒田総裁のコメントが効いた、というより
あらゆる市場における「ドル高の調整」だったような印象です。

というのも、9日東京時間オープンから、特に材料もないのに
あらゆる通貨ペアで一斉にドル高の修正が起きていました。

※ドル円、ドルストレート通貨 15分足

ドル安が起きていたのはドル円相場だけではありませんでしたし
そのタイミングはきれいに東京時間オープンの9時から始まっており
黒田日銀総裁のコメントとは関係がなかったのです。

果たしてこのドル高の修正は、週末に向けての一時的な動きだったのか。
それともなにか大きな変化が水面下で進んでいるということなのか。

気になるのは、先週末はFRB高官らによる相次ぐタカ派コメントでも
ドルはそれほど大きく買われることがないまま1週間を終えたことと
株式市場が彼らのタカ派コメントに動じることがなかったということです・

2・FRB高官らのタカ派発言にも株高、ドル安

◆ウォラーFRB理事
「9月FOMCでの再度の大幅利上げ支持する」
「少なくとも来年の序盤までは利上げを継続することが好ましい」

◆ブラード・セントルイス連銀総裁
「9月FOMC、75bpへの傾斜をより強めているところだ」
「政策金利はより長期間、より高い水準に設定されていなければならない」

ところが米株は上昇継続、反発のフェーズへ
※主要米国株インデックス
この反発はひとまず200SMA(ピンクのライン)までかと思います。
ここを超えてくるとまたムードが大きく変わると思いますが。。。

風向きが変わった背景には欧州や英国などの動向に
市場のテーマがシフトしつつある、ということなのでしょうか?
先週は木曜にECB理事会、そして英トラス新首相誕生、エリザベス女王逝去など
欧州、英国からのニュースも多かったですね。

3・ECB理事会0.75%利上げ、ユーロ反発基調

◆9月ECB理事会、政策金利0.75%引き上げ決定 1.25%へ
 ~ユーロ発足後0.75%利上げは初めて
 
◆経済・物価見通し
インフレ率 22年 8.1%、23年 5.5%に上方修正 24年2.3%に鈍化
成長率 22年3.1% 24年0.9%に鈍化

発表直後は、想定の範囲内の結果とあってユーロは下落するのですが
市場ではECBのさらなる大胆な利上げを見込む声が強まっています。

10月も0.75%、12月に0.5%、来年第1四半期に0.25%との見方も。
10月の0.75%織り込みは60%程度まで上昇しています。

かといって米国の利上げペースを超えることはないでしょう。
本格的にユーロが買われる理由にはなりません。
あくまでイベントをきっかけにした「揺り戻し」に過ぎないと思いますが。

4・エリザベス女王逝去、19日国葬

トラス新首相の任命からわずか2日。エリザベス女王が8日崩御。
今年2月に新型コロナウイルスに感染されても無事回復されていたのですが
今回はあまりに急なことで驚きを隠せません。
市場への影響があるとは考えていませんが、
エリザベス女王の崩御で10日間は喪に服す、ということで
英政府関連の一部業務が停止しています。

これにより15日に予定していたBOEの金融政策委員会(MPC)を
1週間延期し9月22日とすることになりました。

先週6日就任したトラス新首相は早速光熱費抑制策を打ち出すことを表明。
今年の冬から来年の冬にかけて18カ月間、家庭用電気料金を現行水準で凍結
することを計画しているようです。
費用は1000億─1300億ポンド(およそ16兆930億円)の見込み。
これによって今後数四半期に英経済が景気後退に陥る可能性は
薄れるとの見方もありますが、この政府融資は今後10~20年にわたり、
顧客の料金に上乗せする形で返済されることになるということで
英経済の力強い成長は長期的に見込めないという話でもあります。

エネルギー問題解消のためにシェールガス採掘、
北海油田ガス田再開発に乗り出すという計画も。
脱炭素計画は一旦棚上げでしょうか。

英トラス政権、国内シェールガスと北海油田開発へ 自給自足狙い
https://news.yahoo.co.jp/articles/92168564ef5a3bc7994e6385f8a5113431732ea6

ただし、こうした転換に否定的な声もあがっているようです

ポンドにとってプラスになる話ではありませんが
これまで売り込まれてきたポンドをひとまず買い戻すきっかけに
なった可能性はあります。

それとテクニカル的に20年3月のコロナショックの安値と面合わせした、
という事象もポイントで、一旦買い戻そうという向きがあっただろうことは
想像できますね。

※ポンドドル コロナショックの安値付近で止まって反発中
かといって、ポンドもまた力強い買い材料があるわけではなく
あくまでこれまでのドル高の調整が入っているだけでしょう。
戻りの目安はフィボナッチリトレースメントを参考に。

それは豪ドルドルやカナダドルのチャートからも同様のことがいえますね。

※豪ドルドル日足  
コロナショックの安値からの反発の上昇に対しての50%押しレベルで反発
戻りの目安はまずは200SMAまでか
※カナダドル日足 豪ドルドルを同じ
ビル・グロス氏はこんな事を言っていますが、、、

◆グロース氏、急落したポンドをロングに-ドルは過大評価
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-08/RHWUKYT1UM0Y01

しかし、サマーズ元財務長官はドル高はまだまだ続くと指摘しています。

◆ドルには「並外れた強み」、日本が介入しても勝算乏しい-サマーズ氏
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-09/RHYB22DWRGG001
ドルには一段の上昇余地がある
「ひどく高価な外国産エネルギー」に依存していない

私もユーロやドルには買う材料が乏しくドルが強い相場が
結局続くような気がしていますが、
ドル円に関してはわかりません。
わずか8ヶ月で30円も円安ドル高が進んでいます。
調整が入る時はかなり大きくなりそうな気がするんですが、、、
それが今じゃないにしても。

ポジションは大きく変わりました。
ドル円ショートになっています。

ドル円139.26円L ➡ 143.20円近辺で手仕舞い、ドテンショート
ポンド円L 162.34円 ➡ 165.24円手仕舞い
NZドル0.6375ドルS ➡ 0.6089ドル手仕舞い

ECB理事会のあとユーロドルを  0.9992ドルでショートしましたが
東京時間の上昇で踏み上げられ1.0035ドルでロスカット。

短期的にはドル高修正方向のポジションを構築します。

今週のイベントでは米CPIに注目しています。
7月の米CPIは前年比+8.5%と6月の+9.1%から大きく鈍化しましたが
8月、さらに鈍化していればドル高基調の修正が強まる可能性も。

原油、ガソリン価格が下がっていますので
8月CPIは前年比+8.1%と更に鈍化する予想になっています。
もしCPIが鈍化したところで9月FOMCの利上げ幅は0.75%で、
この市場コンセンサスが変わることはないと思いますが。

****今週の主な予定*****

英国は9~19日まで服喪期間となりますが
服喪期間中の英経済指標が発表されるかどうかわかりません。
BOE理事会は15日➡22日に延期が決まっています。

12日(月)
中国・香港市場は中秋節のため休場

13日(火)
日本国内企業物価指数(8月)
ドイツZEW景況感指数(9月)
ユーロ圏ZEW景況感指数(9月)
米消費者物価指数(8月)
OPEC月報

14日(水)
英消費者物価指数(8月)
米生産者物価指数(8月)

15日(木)
NZ GDP(第2四半期)
豪雇用統計(8月)
米小売売上高(8月)
米NY連銀製造業景気指数(9月)
米フィラデルフィア連銀景況指数(9月)

16日(金)
中国小売売上高・鉱工業生産(8月)
英小売売上高(8月)
米ミシガン大学消費者信頼感(9月)
ロシア中銀政策金利
北大西洋条約機構(NATO)会合(18日まで)

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