2022年12月5日月曜日

 ・雇用統計、賃金伸び予想を上回る
・米短期金利上昇も長期金利は低下、ドル安継続
・12月FOMCの利上げ幅は0.5%か
・中国ゼロコロナ政策緩和
・今週、豪RBAとカナダBOC利上げ幅は?
・EUロシア産原油の上限価格60ドルで合意
・OPECでプラス原油生産枠維持
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◆雇用統計、サプライズ!!
市場予想を上回る強い数字でした。

・11月非農業部門雇用者数:+26.3万人(予想:+20.0万人、10月:+26.1万人)
・11月失業率:3.7%(予想:3.7%、10月:3.7%)
・平均時給:前年比+5.1%(予想:+4.6%、10月:+4.9%←+4.7%)
・平均時給、前月比+0.6%(10月+0.5%市場予想の2倍の伸び
                                     :今年1月以来の大きな増加率
                                      :10月分0.5%増(速報値0.4%増)に上方修正

今、米インフレと雇用の指標に関しては
数字が強いほうが良いというフェーズにはありません。
インフレが強いとなれば一段の利上げ強化の可能性が高まるということで
株にとってはむしろネガティブ、というのが利上げ期の反応なのですが、
今回の数字を受けて、株は一時大きく下落するも
NYクローズではダウはわずかながらプラス圏に浮上しています。

11月米雇用統計、「悪いタイミングでまずい統計」-市場の見方
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-02/RM9O8YT0G1L001

まずい統計、と評する向きもあるのはわかりますよね。
しかも、またぞろタカ派コメントが出てきました。

シカゴ連銀総裁、政策金利ピークは若干高めの水準に-インフレ退治で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-02/RM9XOUT1UM0W01
サマーズ氏、米金融当局は市場の予想上回る利上げ必要に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-04/RMC9ILT1UM0W01
ターミナルレートに関し「6%がわれわれが書くことができるシナリオだ」

それなのに、です。
米株は意外と強かった。どういうわけでしょうか・・・?

◆米短期金利上昇も長期金利は低下、ドル安継続

結局、金利が意外と上がらなかったことが一つの要因ですね。

※米国債利回り一覧 短期ゾーン紅組、長期ゾーン青組
 赤星2年債、青星10年債
為替市場でも、一瞬ドルが急騰するのですが続かず。
※ドル円5分足
ドル円日足 結局終わってみればドル円相場は200SMAを割り込んで引けました。
◆12月FOMCの利上げ幅は0.5%か

CME Fedウォッチを確認しても12月利上げ折り込みは0.5%が78%で
利上げ幅が0.75%に拡大するという予想は少ない。
しかもターミナルレートは5.0%から上がっていません。
雇用統計発表直後は動いたのかもしれませんが。。。

市場は、すでにFRBの利上げサイクルは最終局面にあるとみているということですね。
FFレート5%以上の利上げはオーバーキルになりかねないと感じ始めている。
それ以上は上げられないんじゃないか、と思っているということでしょうか。

まあ、それでも現状の4%からは1%の利上げがあるわけですが。

ただし市場はターミナルレート5%到達は
すでに織り込んでしまっているわけです。
サマーズが何を言おうとそれ以上は無理だろうというのが週末の反応ですね。

しかし、10月までメディアは日銀悪玉論を展開し、
構造的に円安になってしまっているのだから金融政策の修正、転換をすべきとの
論説を繰り返してきましたが、日銀が緩和スタンスを変えなくても
151円から133円台まで18円も下がりました。
たしかに年初の115円台から現在133円ですので18円は上がっているのですが。

今年のドル円上昇36円、ざっくり半分は円安要因、半分は米金利のドル高要因だった、
ということではないでしょうか。
おおよそ半値を削りましたが、ここで反発できるか?

世論に負けて日銀が金融政策の修正、転換を行っていたら
更にドル円は下落していたかもしれません。

そうなると、今年米国と比較して下値が硬かった日本株は
下落する憂き目にあうだろうことは想像に固くありません。
黒田総裁の胆力はすばらしいですね。

ドル円は134.35円に逆指値をおいて雇用統計を迎えました。
もちろん、発表の瞬間にポジションは消滅してしまいました。。。

138.82円S ➡ 134.35円手仕舞い

◆米株が強い背景には中国のゼロコロナ政策の緩和もあるか?

上海、新型コロナ規制措置を緩和-中国で政策転換続く
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-04/RMCURST1UM0X01
・北京や深圳、広州の一級都市や省都で規制緩和
・ロックダウン抗議デモが全国に拡大の後で、経済再開に向けた動き

人民元も戻り歩調。
これがドル安のエンジンでもあるでしょう。

※人民元ドル 日足
ただ、緩和することが是なのかはわかりません。

中国主席、欧米製ワクチン受け入れに否定的=米情報機関トップ
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-china-usa-idJPKBN2SO039?il=0
オミクロン株にほとんど効果のない中国製ワクチンに頼っている

今週以降は、ユーロやポンド、オセアニアならキウイを狙って
ドルストレート通貨でのドル売り戦略とします。

※ユーロドル、ポンドドル、キウイドルは200SMAを上回ってきた


◆12/6㈫ RBA豪州準備銀行金融政策


ASX to advance as traders bet on lower RBA rate peak
https://www.afr.com/markets/equity-markets/asx-to-advance-as-traders-bet-on-lower-rba-rate-peak-20221204-p5c3fz
・RBA,政策金利を0.25%引き上げ、3.1%にするとの予想がコンセンサス
・10月CPI:+6.9%(9月+7.3%から低下、予想は+7.6%)
・ターミナルレートは3.6%(来年10月)に低下(先週は3.9%の予想だった
~インフレ圧力のピークと経済の減速を示す証拠が増えていることから、
キャッシュレートのピークが近づいている

~コモンウェルス銀行のストラテジスト
RBAが引き締めサイクルの終わりに近づいていることを示唆した場合、
豪ドルは一時的に下落する可能性がある。

~水曜日に発表される9月期のGDP統計にも注目。
今年2.75%もの利上げを実施してきたため、その影響が出ているか否か?
・コンセンサスは、前期比0.7%増と、前3ヶ月の0.9%増を下回る見込み

豪ドルはあまり強くないですよね。
豪ドルドルは200SMAの下に位置しています。

今週利上げでもむしろ下がるリスクがあるのではなかろうか。

◆12月7日㈬カナダ中央銀行金融政策決定会合

Canadian Dollar Forecast: USD/CAD Looks Poised for Further Upside, BoC Rate Decision Holds the Key
https://www.dailyfx.com/news/forex-canadian-dollar-forecast-usd-cad-looks-poised-for-further-upside-boc-rate-decision-holds-the-key-20221204.html
・12月会合で 0.25%利上げ➡4%にするとの予想がコンセンサス
・カナダは年初0.25%だった政策金利を10月会合までに3.75%に引上げてきた
 ~7月会合では一気に1%の利上げを決定)
 ~9月0.75%、10月0.5%と利上げ幅を縮小
・11月会合では利上げをせず、金利を据え置いている

・失業率が5.1%に低下し、雇用変動が10.1万人と予想を上回っており
堅調な雇用統計は、カナダ中銀が50bpsの利上げを行う可能性の根拠となる可能性も。

・カナダの経常収支は原油価格の下落で、
第3四半期に111億カナダドルの赤字へと急激に赤字拡大へ

このところカナダドルが弱いのは経常収支の急激な悪化が背景だったか。
・しかしながらインフレ率は高く、9月のカナダCPIは前月比で+0.7%と伸びが加速。

このあたりの数字も一部に0.5%の利上げを予想する向きの材料なのでしょう。

しかし、GDP成長率も決して強くないですし(前期比+0.7%)
経常赤字も拡大しているし、ということで
大幅利上げは、むしろカナダの売り材料となりかねないとの指摘も。
0.25%の利上げならコンセンサス通りで
それほど大きくカナダドルが動くことはなさそうですが
このところカナダドルって弱いんですよね。
利上げでむしろ売られるというパターンがあるかも・・・
※通貨インデックス一覧

◆EU、ロシア産原油の上限価格バレル60ドルで合意-G7が支持
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-03/RMAKL2T1UM0W01
・ロシアの代表的な油種であるウラル原油が現在取引されている価格を上回る水準
~G7がロシア産原油を引き続き市場にとどまらせようとしているシグナル

~ロシアは上限価格設定の動きに反対していたが
ラブロフ外相は1日、そうした上限には関心がないと発言、
態度軟化の可能性を示唆。

ロシア、原油上限価格「受け入れず」 対応を検討=大統領報道官
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-oil-idJPKBN2SO02X?il=0
・ロシアのウラル原油は2日、1バレル=約67ドルで取引された。
・ ロシア大統領府のペスコフ報道官
「追加制裁について「受け入れない」と表明」

どっちなんだろう?
ロシア報道官はこのプライスキャップ導入に反発して
この取引を受け入れないとしていますが
外相は、上限導入には関心がないと対応についての言及を避けており
60ドルなら悪くないんじゃないかと思っていそうな感じですね。

原油市場にはあまり波乱にはならない可能性も。
ウクライナは不満を表明していますが。

ロシア産原油の上限価格は「不十分」、ウクライナ大統領が不満
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-oil-idJPKBN2SO034?il=0
・ロシアの予算が年間1000億ドル増えると訴えた
・ウクライナ政府高官は先に、上限を30ドルに設定すべきだと主張

◆OPECプラス、減産維持を決定 日量200万バレル
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0343S0T01C22A2000000/
・11月に始めた日量200万バレルの減産を維持、継続

プライスキャップ導入でロシア産原油の取引が滞るのか否か、にもよりますが。
原油相場をみるに、その問題よりも中国のゼロコロナ政策ロックダウンの影響、
世界の景気後退懸念のほうが上値をおさえていたわけで
ロシア産原油が市場から失われると見ているトレーダーはほとんどいないと思われます。

要するにOPECは減産しないと原油の価格が維持できないということです。
70~80ドルは欲しいということね。
それ以下となってしまうと財政が苦しくなるということでしょう。。。

次回のOPECプラス会合は来年の6月です。


**********今週の主な予定********

5日(月)
中国財新サービスPMI財新サービスPMI
米ISM非製造業景気指数(11月)
 ~ISM製造業景況指数同様、20年5月来の低水準に落ち込む見込む見通し
 ~景気後退懸念を一層強める可能性
ラガルドECB総裁、講演
ユーロ圏、仏PMI
米EU貿易技術評議会(TTC)閣僚級会合

6日(火)
豪中銀政策金利
独製造業受注、PMI
米10月貿易収支
米中間選挙、上院ジョージア州決選投票

7日(水)
日本景気動向指数(10月)
豪州GDP(第3四半期)
中国貿易統計(11月)
カナダ中銀政策金利

8日(木)
日本7-9月期GDP
日本景気ウォッチャー調査(11月)
ラガルドECB総裁、講演

9日(金)
中国消費者物価指数・生産者物価指数(11月)
米生産者物価指数(PPI)(11月)
米卸売売上高(10月)
ミシガン大消費者信頼感指数(12月)

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