中東産油国のサプライズ減産で難解な展開。
昨日未明、東京市場月曜オープン前に
原油を動かすビックニュースが飛び込んできました。
●OPECプラス、予想外の追加減産表明 米「得策でない」
https://jp.reuters.com/article/global-oil-idJPKBN2VZ0HE
・5月から日量約116万バレルの追加減産を行う~今年末まで
・OPECプラスの減産量は日量366万バレルに(世界需要の3.7%相当)
・現状は200万B/Dの減産、これを年末まで堅持すると予想されていた
●自主減産量内訳
ロシア:50万B/D減産
サウジアラビア:50万B/D減産
UAE:14.4万B/D減産
イラク:21.1万B/D減産
クウェート:12.8万B/D減産
オマーン:4万B/D減産
これを受けて週明け月曜の原油先物市場はギャップアップ!!
※これはWTI原油
WTI原油先物は4.8ドル(6.3%)高で寄り付く
これだけ原油が跳ねると、株や為替市場への影響も出てきます。
石油関連株は軒並み高。
こちらは日本株市場。https://kabutan.jp/themes/?theme=%E7%9F%B3%E6%B2%B9
そして米国株市場でも。
為替市場ではオイル生産国カナダ・ドルが高い。
※通貨インデックス一覧 資源国豪ドルにも連想買い?
ドル円、クロス円売り狙いでしたが、
今日の東京時間は原油高のせいでドル円がギャップアップで寄り付き
仲値こそ円買いが旺盛でしたが東京時間は円安傾向が強い展開でした。
これは原油高となれば貿易赤字拡大につながる、という思惑からでしょう。
※ドル円15分足 黄色い点線は原油高が背景と考えられる
NY時間、ドル円は大きく下落していますが、これは後述。
原油高はインフレ要因となります。
米国のインフレ再燃となれば
FRBは金融引締めを緩めるわけにはいかなくなります。
金融システム不安から景気先行き警戒が強まってきたというのに
インフレが収まらないというのは困る。
●ブラード総裁、「FOMCの仕事がもう少し難しくなる」-原油高で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-03/RSHM2UT1UM0W01
・減産決定は予想外だった
・原油価格の上昇はインフレ抑制を目指す米金融当局の仕事を一段と難しくする
そしてNY時間になってなぜドル円が大きく下落をし始めたか。
ISM製造業景況指数が低下していたためでしょう。
●米ISM製造業景況指数、20年5月以来の低水準-雇用大きく低下
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-03/RSJLL4T0G1KZ01
・3月のISM製造業総合景況指数は46.3に低下-市場予想47.5
・雇用指数は46.9に低下、20年7月以来の低水準-低下は3カ月連続
・新規受注は44.3に低下
・入荷遅延指数も下げて14年ぶり低水準
※ISM製造業総合景況指数46.3へ
長期金利は低下を加速させています。
※米国債利回り一覧
さらに、金利低下要因(米国債上昇要因)がいくつか有るとブルームバーグ
●米国債にさらなる上昇期待、雇用強ければ衝撃か-有利な材料も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-03/RSHM2UT1UM0W01
短期的には債券市場とって有力な材料が少なくとも三つそろっている(金利低下要因)
1・日本の投資家が新年度入りで買いを増やすと予想される
2・1週間にわたる米中・長期国債の入札休止
~今週の米国債入札はTBのみ。
11日の3年国債までクーポン債の入札は予定されていない
3・日本の対外債券投資は増加傾向、米国債ファンドへの資金流入継続
となると、ドル金利が上がりにくい環境の中で
ドル円相場はやはり軟化してくるのではないか、と思われます。
原油高はドル円上昇の材料ですが、原油が上昇トレンドを形成するかどうかは微妙。
今日の追加減産のニュースで跳ねたとはいえ、
下落前のレンジ水準に回帰しただけ、ともいえます。
原油上昇トレンドが明確になるためには
供給サイドからの材料だけでなく、
消費量が伸びるというような需要サイドの材料が重要になってきます。
中国はじめ世界の原油需要が旺盛ならそもそも急落前にもレンジではなく
上昇していたはずです。世界需要はあまり強くなかったということでしょう。
※WTI原油 そもそもレンジ内回帰しただけ
というわけでドル円132.85円でショート。
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