ドル円、猛烈に反発し下落の半値以上を取り戻しています。
ドル円日足
今回は海外ファンド、インサイト・インベストメント(122兆円規模)が
YCCの修正ではなく「解除」を予想し
日本の10年債先物をショートしていました。
こうした動きを受けて
7月第2週に日本国債の10年債利回りは0.485%まで上昇、
(YCC政策による上限は0.5%)
ドル円相場も円金利上昇に反応して円高となる局面も見られたのですが
先週、またもブルームバーグの観測記事がドル円相場を動かしました。
■日銀は現時点でYCC副作用に対応の緊急性乏しいと認識-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-21/RY49W3DWX2PS01?srnd=cojp-v2
何一つ目新しいことはないんですけど、
日銀会合直前にブルームバーグが観測気球を打ち上げて
ドル円が急変動するってのがパターン化してきましたね。
日本の消費者物価指数は総合CPI、コアCPIともに+3.3%(6月)で
日銀のインフレターゲット2%を大きく上回っていることが
YCC解除の思惑に繋がっているものと思われますが、
記事にあるように
「日銀は来年の賃上げが鍵を握るとみており、金融緩和の継続によって経済を下支えすることが非常に重要と判断している。企業の積極的な価格転嫁や人手不足などを背景に賃金と物価の好循環への期待は強まっているが、持続的・安定的な2%の物価目標の実現に自信が持てない状況に大きな変化はないという。」
ということですので、物価だけでなく賃金上昇が伴ってこそ
持続的安定的2%の物価目標実現と考えているため
この先は、日本の賃金の指標こそが重要と考えるべきでしょう。
その意味で今年の春闘賃上げ率が30年ぶりに高い水準となったことは良い知らせ、
※春闘ー「春季生活闘争」
春闘 賃上げ率 平均3.58% 3%超は約30年ぶり 連合まとめ
https://is.gd/l5VKZD
ただし、30年以来の、ということではダメです。
昨年に続いて、2年連続で、というフレーズが確認できないと
賃上げが持続的とは言えません。今年だけで終わる可能性もあります。
日本のデフレ体質は30年続いたのです。
しかも、春闘というのは労働組合がある企業。
労組のない零細中小企業は含まれません。
働き方の多様化で現在では雇用者数の4割弱を
非正規従業員が占めており組合に加入していない働き手も増えています。
日本の雇用の70%は中小企業なんですよね。
令和4年度の税制改正によって、2022年4月1日から
賃上げ促進税制とは、従業員の給与引き上げを行った中小企業を
支援するための制度が始まっており、機運は高まっていると思いますが。
ということで、日銀は辛抱強く賃金上昇を待つスタンスですが
来年までやらないで待つのかどうかまではわかりません。
専門家の8割が年内修正、解除予想が8割
植田日銀、YCC修正「10月までに」専門家8割が予想
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB125Z70S3A710C2000000/
ただし、YCCを解除したからといって
日本の長期金利が急騰するような環境でもない。
それはJGBのイールドカーブを見ればわかります。
きれいな順イールド(長期国債のほうが利回りが高い)
YCCで操作されていない10年以外の金利を見れば
YCCが解除されたからと言って、10年の金利だけが暴騰するとは考えにくい。
15年の金利が0.79%ですよ。
上がってもせいぜい0.7%前後では?
現在0.4%前後ですので、上がることは上がりますが
これが日本の賃上げを妨げるほどの悪影響を及ぼすのかどうかですね。
YCCは解除しても問題ないような気もしますが、
今回7月の解除はなさそうだ、というのが現状のコンセンサスです。
しかし、日銀会合本番前に随分ドル円が動いちゃいました。
今週どう動くのか予想は難しい。
先週139.41円でロングしたドル円は141.64円で手仕舞いました。
141.68円でドテンショートしてしまったのですが、、、
ちょっとアゲインストのままNYクローズ。
先週の勢いのいいドル円上昇はショートカバーだろうと思うのですが。
日銀のYCC解除にかけたポジションがまだ解消されきっていないなら
さらなるドル円上昇もあるかもしれませんので
そうそうにショート撤退するかもしれません。
また、来週日銀会合の28日の朝、東京都区部のCPIが出ます。
28日:7月東京都区部消費者物価指数(CPI)
前年比 前回+3.2% 予想+2.9%
コア(食料エネルギー除)前年比 前回+3.8% 予想+3.7%
東京は前回6月の数字より予想が弱い。
インフレ鈍化予想なんですよね。
東京のインフレ率は日本のインフレ率の先行指標となりうるので
ひょっとしたら日本のインフレ率がピークアウトする兆候と捉えられるなら
YCC解除の期待の一層の剥落でドル円上がっちゃうかもしれません💦
更に言うと、来週は28日の日銀会合だけでなく
FOMCやECB理事会もある「中銀ウィーク」なんですよね。
【FOMC 7月25-26日】
今回の利上げは織り込み済み。0.25%の利上げ。5.25-5.50%へ。
市場の焦点は次回以降の利上げの有無や最初の利下げ時期がいつになるか。
市場はインフレが鈍化していることから、
今回の利上げで“打ち止め”との見方を強めています。
・6月の米消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.0%で、5月の+4.0%から鈍化。
コア指数も前年比+4.8%で、5月の+5.3%から鈍化。
意外と注目は翌日27日の 4-6月期GDP速報値、PCEコア価格指数では?
米4-6月期GDPは前期比年率1.8%増(前期+2.0%)と、
4四半期連続で成長減速が予想されています。
しかしながら、プラス成長が続く見通しであるため
リセッション警戒は強まりませんね。
※ゴールドマン・サックスは
今後1年間の米リセッション確率20%に引き下げました。
(25%➡20%へ)
ただ、あまりに強い数字が出れば、9月以降の追加利上げ観測が強まり
ドル高となる可能性も。
■PCEデフレーター6月 予想
前年同月比 予想+3.1%、前月+3.8%
コア 予想+4.2%、前月+4.6%
【ECB理事会】
前回に続き0.25%の利上げ予想。4.00%➡4.25%へ。
前回会合後ラガルド総裁は数次の利上げを示唆するタカ派発言を行っています。
確かにユーロ圏の6月の消費者物価指数は前年比5.5%(コア前年比も同水準)
ピークの昨年秋の10%超えからは鈍化もの米国3.0%と比べるとまだ高いですね。
コアCPIは5月の+5.3%から上昇して5.5%となっており、ラガルド総裁は
引き続きタカ派トーンの会見をしそうではありますが、
先週はこれまでタカ派であったECBメンバーの発言に変化が見られました。
オランダ中銀クノット総裁
「7月より後の利上げはあり得るが確実というわけではない」
「コアインフレは横ばい状態となったようだ」
ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁
「あと25bpの利上げで十分」
「インフレは低下しており更なる金融引き締めはユーロ圏経済に悪影響を及ぼす恐れ」
ドイツ連銀ナーゲル総裁
「ECBは来週の理事会で25BPの利上げを実施する可能性が強い」とうえで
「一段の利上げ決定は「データ次第」とトーンを弱める。
これまでは
「インフレを抑制するためにあと数回の利上げを実施する必要」と発言してきた。
ユーロ、上値が重くなってきましたよね。
このまま7月以降の利上げが難しいというムードが強まれば
更にユーロが弱含むかもしれません。
そして日銀へ。
******今週の主な予定***************
24日(月)
ドイツ製造業PMI速報値(7月)
ユーロ圏製造業PMI速報値(7月)
英製造業PMI速報値(7月)
米製造業PMI速報値(7月)
米ナスダック100指数リバランス
BRICS安全保障会議(25日まで)
25日(火)
日銀「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」
米コンファレンスボード消費者信頼感(7月)
IMF世界経済見通し
26日(水)
豪消費者物価指数(第2四半期・6月月次ベース)
米FOMC、パウエルFRB議長記者会見
27日(木)
中国工業企業利益(6月)
ECB政策金利、ラガルドECB総裁記者会見
米GDP速報値(第2四半期)
バイデン米大統領とメローニ伊首相、会談
28日(金)
日銀金融政策決定会合、植田日銀総裁記者会見
東京都消費者物価指数(7月)
豪小売売上高(6月)
ドイツ消費者物価指数(7月)
米PCEデフレータ(6月)
ECB専門家予測調査
G20環境気候相会合
ネタニヤフ・イスラエル首相とエルドアン・トルコ大統領、会談
29日(土)
EU防衛相非公式会合
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