2023年8月27日日曜日

 2023年のジャクソンホール会合は
年内利上げ確率を上げる結果に。

事前にジャクソンホール会合では
自然利子率、中立金利などが上がっている可能性が議論されるのでは?
と騒ぎすぎたために、会合前にすでに
ドル金利高、ドル高、株調整が入っていましたが
蓋を開けてみれば自然利子率など話題にものぼらず。

中立金利に関しては、パウエル議長が講演で
特定の水準を確定するのが難しく
金利抑制的な水準を定めるには不確実性がある、との見解を示しました。

要するにそれが上がっているのか、現状が望ましいのか、
はっきりしたことはわかんないんですよ、というニュアンスで、
タカ派的となることを期待した向きにとっては拍子抜け。

パウエル議長の講演はタカ派トーンではあったものの
従来から示しているスタンスを踏襲したに過ぎず、
一見するとノーサプライズ、ノーイベントに見えますが・・・。

◆FRB:タカ派スタンス堅持だが従来通りでサプライズなし
パウエルFRB議長のジャクソンホール講演要旨
https://is.gd/S9nVGS
・適切であればさらに金利を引き上げる用意がある
・インフレ率が2%に持続的に低下すると確信できるまで、
  ~金利を制約的な水準に据え置く
・データに基づいて次の金利動向を決定する
・中立金利の水準は明確ではない

◆日銀:従来どおりハト派スタンス維持
日銀総裁、緩和維持は「目標やや下回る」基調インフレが理由
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-jackson-hole-ueda-idJPKBN302005
・日銀は基調インフレがなお目標を下回っているために金融緩和を継続している、
 との従来通りスタンスが改めて示す

◆ECB:タカ派スタンス堅持もサプライズなし
ECB総裁、インフレ抑制「中銀はまだ勝利せず」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25CTP0V20C23A8000000/
・ECBは「インフレとの戦いにまだ勝利していない」
・「政策金利を十分に制約的な水準に定める必要がある」
~インフレ抑制へ金融引き締めを続ける構え
~次回9月ECBでの利上げはあくまで「データ次第」で
  追加利上げの是非を慎重に判断する方針

ラガルド講演全文はこちら
Policymaking in an age of shifts and breaks
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230825~77711105fe.en.html

事前にタカ派となる期待が盛り上がりすぎたため
株式市場にはむしろ安心感が広がり上昇となりました。
◆米国株式市場=上昇、FRB議長講演を消化
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPL4N3A63VB

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ただ、ジャクソンホール会合を受けて短期金利が上がってきました。
長期金利はほぼ動かず。これまでの長期金利上昇は一服したのですが、
短期金利は今年3月のシリコンバレーバンク破綻で急落する直前の
金利水準に到達しています。
短期金利が今サイクルの高値を超えてくるようだと、
やっぱりドル高が続くということになるでしょうか。

※米国債利回り一覧 短期(2年)金利上昇が加速

FRBは6月FOMCで年内あと2回の利上げの可能性を示し、
7月に利上げを実施していますが、ジャクソンホール会合前は
年内あと1回の利上げは金利先物市場では織り込まれておらず、
7月利上げで打ち止めの可能性を織り込んでいましたが、
ジャクソンホール会合を受けて「11月利上げの可能性」が出てきました。
折り込みは46.7%ですが、据え置きの確率より高くなってきました。
※CME FEDウォッチ


ジャクソンホール会合前は、年内の利上げの可能性を織り込んでおらず
7月の利上げで打ち止めか、という折り込みだったのですが
(FOMC6月見通しでは年内後2回やるとの見通しが示されているにも関わらず
 マーケットはその内1回7月利上げで終わりの可能性を織り込んでいた)

ジャクソンホール会合を受けて年内の追加利上げの可能性が出てきたことで
為替市場ではドル全面高の展開となりました。

※通貨インデックス一覧

※ドル円 ん~高値超えてきそう。。。
要するにドル高のトレンドに変化はなかった・・・。
介入警戒はくすぶるものの、ジリジリと円安が進みそうです。

こんな数字も影響しているかな?

ミシガン大学消費者信頼感指数(確保値)1年・5-10年インフレ予想

1年先のインフレ期待値 3.5%(速報値 3.3%)
5-10年先のインフレ期待値 3.0%(速報値 2.9%)

ドル高継続ということで
1.0851ドルのユーロドルショート継続。

************来週の主な予定***************
28日(月)
・豪小売売上高(7月)
・英国市場はサマーバンクホリデー祝日のため休場

29日(火)
・日本雇用統計(7月)
・米 6月 FHFA 住宅価格指数(22:00)
・米 6月 S&P コアロジック CS 住宅価格指数(22:00)
・米 7月 JOLTS 求人件数(23:00)

30日(水)
・月消費動向調査(14:00)
・豪消費者物価指数(7月)
・ドイツ消費者物価指数(8月
・米 8月 ADP 雇用統計(21:15)
・米 4-6月期 GDP 改定値(21:30)
・ 7月中古住宅販売仮契約(23:00)
・米GDP改定値(第2四半期)

31日(木)
・日本7月鉱工業生産(8:50)
・中国製造業PMI・非製造業PMI(10:30)
・ユーロ圏 7月失業率(18:00)
・ECB議事録(7月27日開催分)
・ユーロ圏消費者物価指数(8月)
・インド 4-6月 GDP(21:00)
・米 7月個人所得・個人支出(21:30)
・米個人所得支出(7月)
・米PCE価格指数(7月)
ピル英中銀チーフエコノミスト、会議「先進国の金融政策」出席
ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
コリンズ・ボストン連銀総裁、講演

1日(金)
・日本4-6月期法人企業統計(8:50)
・中国 8月 Caixin 製造業 PMI(10:45)
・米 8月雇用統計(21:30)
・米 8月 ISM 製造業景況指数(23:00)

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