2023年12月15日金曜日

 パウエルさん、突然ハト派になりましたね、びっくり。

11月のFOMC会合では、利上げはせず金利は据え置いたものの
パウエル議長は記者会見で
「12月の次回FOMCで利上げを決定することはあり得る」
「インフレ率を持続的に2%まで低下させるプロセスは、まだ長い道のり」
と発言していました。

今回12月FOMCでは、同じく利上げはせず金利を据え置き
パウエル議長は記者会見で
「利下げは視野に入り始めている」
「今回のFOMC会合でも利下げの議論をした」

と利下げに言及。
パウエル議長はこれまで
追加利上げの可能性が残ることを繰り返し言及していましたが、どうした?!

11/28にこれまでタカ派だったウォラーFRB理事が
急にハト派発言を行ったことも記憶に新しいですが
議長、お前もか…という心境です。

【12月FOMC】
・政策金利は 5.25-5.5%、3会合連続で据え置き。

【ドットチャート】
・ドッツ予測中央値、今後追加利上げはないとの見通しが示された。
・来年24年末の金利予想中央値 4.6%、年間0.75%の利下げ予想(0.25%✕3回)
 ~9月FOMCでは来年2回の利下げ予想だったが、更に予想利下げ回数が増えた。
 ~8人が3回未満の利下げ予想:5人がそれ以上の利下げ予想
・25年末時点で3.6%になる予想。

ドットチャートはピクテさんのサイトから拝借。
https://www.pictet.co.jp/investment-information/market/today/20231214.html

【SEP/経済見通し】 
・23年~25年のインフレ予想が軒並み下方修正
・24年の成長率下方修正(長期見通しに変更はなし)
QT(量的引き締め)のペース変更についての議論はなかった。
QTは続いていますので、引き締め政策は継続されるという点も重要でしょう。
7月の利上げを最後に、現状3回のFOMCで利上げは見送られており
来年には利下げが始まることが、引き締め政策から緩和政策への
ピボット(転換)として株式市場は総楽観状態にありますが、
今もQTは粛々と続いています。
今は金利のコントロールではなく、バランスシート縮小という形での
引き締め政策が続けられているという点を忘れてはならないでしょう。

利下げ開始時にはQTも停止されると思われますが、
まだ利下げは開始されておらず、引き締めは続いているのに
株式市場は大きく上昇しています。
これショートカバーかな、FOMCがタカ派となると見込んだ売りが
踏み上げられているのかもしれませんね。。。

ただ、こうした流れに逆らっても売り向かっても怪我をします。
踊る阿呆に見る阿呆といいますが
運用者(プロ)はこの上昇に乗るしかないのが実情でしょう。
見ているだけではベンチマーク運用に劣るということです。
※米国主要株価インデックス
※米国債利回り2年10年30年
米長期金利は4%を割り込んでしまいました。
ついこの間(10-11月)まで5%を超えて
HigherfourLonger等と言っていたのに。
これだけ米金利が下がっていますのでドル売りが加速中です。

ガンドラックは米金利もっと下がるって言ってます。
米10年債利回り、来年までに3%台前半に低下へ-ガンドラック氏
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-13/S5MKUPT1UM0W00
~一方で債権王と呼ばれたビルグロス氏は 4%台が適正水準としていますので
現状はやや行き過ぎということになります。

ドル金利は長期金利5%から4%割れまで一気に低下していますが
これに相関する形でドル円相場も下がりました。
ドル金利が更に下がればドル円はもっと下がりますが
ドル金利が下げ止まれば、ドル円相場は下げ止まると思われます。

となると次の焦点は日銀ですね。
来週の日銀会合で、
前のめりになったマイナス金利解除期待が剥落すれば
一旦ドル円相場の買い戻し=リバウンドが入りそうでもあります。

※ドル円日足チャート
ただ足元ではまだモメンタムがドル円下落方向に働いていますし、
毎年12月下旬はドル安傾向が強いこともあり
ドルショートはもう少し粘ろうかと思います。

昨日FOMC前に145.24円で軽めにショートしておいたのは正解ですが
ポジション軽めのときはうまくいくのよね。。。
ガッツリ持っていませんでしたので、FOMC発表直後に143.90円で増し玉。
(結局発表時点で起きていた・・・)

ドル円ショートコストは145.24円と143.90円。
日足の200SMAを割り込んでしまいましたので
当面のターゲットは今年の上げ幅に対しての半値押しの139.56円。
日銀会合前には再考します。
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今夜はECB理事会とBOE理事会も。中銀ウィークですね。

【12月ECB】

・中銀預金金利 4%/主要金利4.5%に据え置き。2会合連続の据え置き。
・PEPP(パンデミック緊急購入プログラム債)来年下期から月75億ユーロ削減
・経済予測/インフレ見通し 24年 2.7% / 25年 2.1% / 26年 1.9%見通し

声明
「政策金利は必要な限り、十分に景気抑制的な水準に設定される」
「インフレは長期にわたり高過ぎる水準にとどまると見込まれる」文言は削除も
「インフレ率が再び一時的に上昇する可能性が高い」との文言盛り込む

ラガルド総裁記者会見 早期利下げ開始観測を牽制
「我々は利下げを議論していない」

ユーロドル日足 

利下げ観測の牽制がはいったこともありユーロ急伸
FOMCに比べるとタカ派です。

ユーロは12月下旬に上がるシーズナリティがある、と繰り返し
ブログで書いてきましたが、買うのが遅れた。。。
FOMC後ドル安となったためユーロが急伸しちゃったのですが
そのタイミングユーロ買い。コスト1.0889ドル。

【12月BOE】

・政策金利5.25%に据え置き 6対3 3会合連続据え置き
・利下げは議論されず
・23年末インフレ予想 4.5%(11月からやや引き下げ)

声明
「金融政策は長期にわたり制約的な必要がある公算」
「インフレ圧力がさらに持続する証拠があれば一段の引き締めが必要になる」

ベイリーBOE総裁
「近く利下げがあるか憶測するのは時期尚早」
「金利は現在の水準程度にとどまる必要がある」
「市場はインフレ持続のリスクを過小評価している」

FOMC ECB理事会と比較して
最もタカ派メッセージが打ち出された印象。ポンド急伸。

これは昨日の記事ですが、10月GDPが悪く、
市場では来年の96bpの利下げが織り込まれていました。
この市場の利下げ期待を牽制するMPC会合となったため
ポンドが買い戻されているといったところでしょう。
英中銀の来年利下げ幅96bp織り込み-10月GDP受け
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-13/S5LKK7T0G1KW00

ポンドドル日足 このチャートは強いな・・・上昇トレンドにありますね。


ポンドの押し目買いでも良さそうです。

トレードするならあくまで「ドル売り」の局面です。
ドルストレート通貨でのドル売り他通貨買いですね。

クロス円は円高圧力も強いのでパフォーマンスが落ちます。

※通貨インデックス比較 ドル独歩安です。
来週の日銀で、「円」がどう動くかにも注目ですが
海外勢は今日を持って本格的なクリスマス休暇に入ってしまうでしょうから
流動性が著しく低下する中での日銀会合です。
ボラ上昇には注意したいですね。

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