2011年7月19日火曜日

リスクオンなのかリスクオフなのか。
日替わりでムードが変わるので今はどちらとも判断が付きかねます。

あの著名投資家ジョージ・ソロス氏が率いる
「クオンタム・エンドウメント・ファンド」(255億ドル規模)の
現在の現金比率は約75%に達しているとか。

どうも今年6月半ば、ファンドが年間で6%のマイナスとなったことから、
取引を手控えているようです。
ソロス氏も「現在の状況は金融危機のさなかよりもはるかに不可解で予測しにくい」
「市場は本質的に不安定だ」と警戒を強めているそうです。
但しこの発言は今年4月のもの。
4月時点からすでにこの相場に違和感を感じていたようですが、
6月のマイナスパフォーマンスを受けて
現在はほとんどキャッシュにして様子見に徹しているってことですね。
そりゃ難しいわけです。ソロスが難しいっていう相場なんですもの。

先月公表されたバンク・オブ・アメリカの調査では、
現金の比重を高めているヘッジファンドなどを含めた資産運用会社の割合は全体の約18%と、
1年ぶりの高水準となっているのだそうです。ちなみに5月は6%。3倍になってます。

という状況ですので、ヤマ張ってポジション取るのはリスクが大きいのでしょう。
流動性も低下しているということです。
私の見方はずっと変わらずダウ大天井、ドル大底打ちで巻き返し、ユーロ下落、金高・・・・という
ものなのですが、今日の流れだけを見るとユーロが再び買い戻されていて原油も再度100ドルを
目指すようなリスクテイク気味の動き。。。先週のリスクオフ相場を思い返せば、
ある程度のショートカバーがあってもおかしくないとも言えますけど。

ちょっと振り返っておきます。

◆先終末15日は欧州金融機関のストレステストに注目も、あまり波乱にはなりませんでした。
結果は欧州の90の銀行のうち8行が不合格、不足額は総額で25億ユーロ。
内訳はスペインが5行、ギリシャが2行、オーストリアが1行。

市場では事前に「21の銀行が不合格になる」との噂が広がっていたため、
それと比較すれば好感される内容で公表後はユーロは買い優勢。
でも、疑問もあったのでしょうか、それほどの大きな買いではなかったですね。
ダウ平均もグーグルの決算やM&Aニュースが相場を下支えし42.61ドル高の
12479.73ドルで終了。

◆しかし、週明け18日月曜になって一転
ストレステストの結果は信頼性に欠けるとの見方が広がりユーロ売り再開。
ドイツとユーロ圏高債務国の国債利回り格差も拡大し、
金価格はとうとう未踏の1600ドル台にまで高騰。スイスフランも史上最高値更新です。
金とスイスフランだけを見ていると、ずっとずっとリスクを懸念している相場なんだなー
ってことがわかります。おっと米債もそうだ、連邦債務上限の引き上げが難航しているというのに
債券利回りは低下、安全資産としての輝きを放っています。
ま、誰もアメリカがデフォルトするなんて思っていないんですよね。
共和党と戦うオバマ大統領というのはパフォーマンスに過ぎないと
市場は完全に楽観しています。債務上限は期日前ギリギリに引き上げに合意がなされるんでしょう。
でも、その事自体はマーケットに楽観とは言えないはずですけれど・・・。

◆ところが今日火曜になっては再びユーロが買い戻され上昇しています。
現在ダウ平均は再び12500ドルを回復していますし、金相場は1600ドルを割り込んできました。
ほんと忙しい毎日。日替わりでムードが変わっちゃうんだもの・・・・。

しかしながら、ソロスがこの相場を警戒してキャッシュ比率を高めているように
今のリスクテイク相場はどこまでも買い上がれる程の強い材料があってのことではありません。
金余りの行き場がなくグルグルどこかに入って行くだけなんじゃないでしょうか。
QE2マネーは吸収しませんから過剰流動性相場には違いないんですものね。
市場にお金はあるんです。しかし、だからといって欧州の問題が解決出来るわけでもアメリカの
景気回復を確固たるものにできたわけではありませんでした。それが大きな問題であると思っています。

◆欧州ストレステストについて
JPモルガン・カザノブが欧州銀27行に対してより厳しい条件で独自査定を実施。
資本不足となったのは20行で不足額は800億ユーロだったそうです。
JPモルガンはEBAの査定について
(1)政府債務にからむリスクが完全に査定されていない
(2)普通株と内部留保で構成される「狭義の中核的自己資本」比率を5%と低めの水準で査定した
としてテストとしての価値が低いと指摘しています。

同じく英銀については250億ユーロ、仏銀が200億ユーロ、独銀が140億ユーロの資本不足になると指摘し、
今回のストレステストの生ぬるい査定に疑問を呈する動きも出ているというニュースも出てきています。
まあ、予想に難くないですけれどね。

ここからの戦略としてはユーロが意味なく買われたりしたところを売りたいのですが、
どこまで戻るかを慎重に見極めなくては踏みあげられるので気をつけないと。
ドル円はこのまま75円を割り込むような下落トレンドが続くんだろうなぁ。。。

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