2011年12月12日月曜日

EU首脳会議、週末には材料を織り込む余地がなかったようです。
マーケットはドラスティックに動くことなく取引終了。
8日の討議は9日早朝の午前5時まで続く約10時間の長丁場となったとか。

印象としてはユーロ危機克服の決定打を見いだせないままで
今回の首脳会議を経て浮き彫りになったのは、欧州内部の亀裂。
妥協を重ねて聞き克服へ歩調を合わせ始めたドイツとフランスですが、
EU新基本条約の制定について英国が国益保持のために拒否権を発動。
EU加盟27カ国中、英国だけが反対にまわり制定断念となりました。

※『新財政協定』と呼ばれる財政規律強化策は
(1)財政規律の違反国に対して自動的に制裁を発動
(2)財政規律を憲法に明記
(3)予算案を事前にEUの執行機関、欧州委員会に提出
(4)財政赤字を国内総生産(GDP)の0.5%内に抑える方針
などが柱。

この溝が今後のEUの金融規制・税制などにも影響を及ぼすであろうことは
想像に固くなく、やはりユーロ危機はまだまだ市場の中心テーマで
あり続けるんだろうなぁと思います。

◆12月8~9日のEU首脳会議ポイントまとめ◆

①財政赤字がGDP比で3%を上回った国には自動的に制裁
②ユーロ圏17カ国中心に新条約を制定
③5000億ユーロ規模のESMを予定より1年前倒しし12年7月に設立
④ユーロ圏各国などが、IMFに計2000億ユーロを融資。
IMFは、この資金で財政悪化国を金融支援
⑤ユーロ共同債導入は12年6月まで検討継続
⑥ヘアカットはギリシャ救済に限定


①これまでも赤字条件の取り決めはありましたが
制裁発動ルールを一層厳格に。一見根本的な解決に結びつくような材料ではないし、
起立強化は一見ネガティブな印象なのですが、
この財政規律の厳格化でユーロ圏を中心に合意したことは、
ユーロ共同債へ道を開くものかもしれないという見方も。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LVY44S1A1I4H01.html ~ロイター

②「EU全加盟国の27カ国が望ましいが、
(ユーロ圏の)17カ国でも構わない」とサルコジ大統領。
EU基本条約「リスボン条約」改正に限らず、ユーロ圏諸国だけを
対象とした条約制定も視野に。

※英国内では、今後はEUからしっぺ返しを食うかもしれないという
英孤立への懸念も広がっている一方、そもそも与党保守党内では長年、
EUへの(これ以上の)関与を嫌う傾向が根強いこともあり、
EUから脱退するべきという声もあるとか。

※そもそもユーロに加盟していない英国にしてみれば、
ユーロの傘の下で財政政策を束縛される理由がありません。
ECBがインフレを理由に応じようとしないQE(量的緩和政策)を
英国が採用出来るのも英国がユーロに参加していないからですね。

③欧州版のIMF(国際通貨基金)とも呼べるセイフティーネット
ESMの前倒し設立で合意しましたが、銀行と同じ機能を持たせ、
ECBから資金調達できるようにする案は見送り・・・。
これはECBが大規模な融資を迫られル事態となれば
中央銀行としての信認が傷つくとしてドイツが強く反対したため。

③債務危機が中核国へ拡大した背景から推察して
3兆ユーロ規模の安全網が必要という声もある中で
EFSFと新設されるIMF融資、さらに欧州安定メカニズムを
合計しても融資能力は合計1兆ユーロ強にとどまります。
金融支援にも中途半端というか、力不足な印象。

④ 南欧諸国など財政運営に失敗した国々が自助努力を怠る心配がある、
つまり他国の信用にただ乗りして赤字債発行が楽になるため
問題がより深刻になるということを懸念して、
ドイツが協調を拒みました。やっぱりドイツが首を縦に振らないワケです。
しかし、一方で今回財政規律の厳格化でEU合意にこぎつけたことは
共同債への布石という見方もあるわけで・・・。 
⑥そりゃそうね。

26カ国は今後、遅くとも来年3月初旬までの協定締結を目指す構えで、
複数の外交筋によると、英国を除いた首脳会議が
来年1月にも開催される可能性があるそうです。

そして今週のポイントとなりそうなのは格付会社S&Pの動向。

■S&Pは5日月曜に、
ドイツとフランス、オランダ、オーストリア、フィンランド、ルクセンブルクの
「AAA」格付けの6カ国も、引き下げ方向で見直し8-9日開催の
EU首脳会議の結果次第では格下げする可能性があると発表しています。

ドイツ、フランスが格下げされれば、EFSFの格付けにも影響することから
今週S&Pがどう動くかが最大の焦点となってきます。

※EFSFの金利が高くなると、基金は欧州の高債務国に多くの
 資金を提供できなくなる恐れがあるということです。

S&Pがどのような評価をするかはわかりません。
マーケットがそれほど悲観に傾いていないことから見ると
それほど懸念するような事態ではないのかもしれないのですが、、、。
格下げなければユーロ買い戻しが大きく入る可能性も。
ひょっとするとそんな展開になるんじゃないかとも思っているのですが、
格下げとなれば・・・。
個人的には短期的視点でS&Pが動かなかったことでの安心感からの
リスクテイク相場が来たとしても、なんら根本的問題は解決していないことが
蒸し返されるといった流れになると予想。
ギリシャ危機で金融機関は債務元本の50%ヘアカットを迫られています。
銀行の損失が拡大すれば貸し渋り、貸し剥がしが起きますよね。
また政府の財政の悪化で国債発行が増加する中で、金融機関の資産圧縮で
国債の買い手不在問題が顕著となってくればソブリンリスクというそもそもの
問題は全く解決しないですよね。その意味でEFSF規模が不十分という印象は
やはりマーケットを安心させることは出来ないと思っています。

今週はFOMCもありますが、どの時点で注目がアメリカにシフトするのか
このあたりも興味深いですね。

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