この6月がドル円相場の転換点となるのでしょうか。
5日の5月米雇用統計を受けて125.84円まで上昇したドル円相場でしたが
先週は黒田日銀総裁の「実質実効為替レートからみればこれ以上円安に
なりそうにない」と発言したことで、一気に122円台まで落ちました。
為替市場の見方は2つに大きく分かれてきたように見えます。
△強気派
~為替は行き過ぎるもの。望まない円安となる可能性
①日米の政策は真逆 米国利上げ近し
ゼロ金利、バズーカ継続の日本と、利上げに向かうアメリカ、
自ずと日米金利差は拡大、ドルは上昇するしかない
②動き出した6頭目のくじら
GPIFや3共済に代わって、ゆうちょが向こう3年で30兆円、
年間10兆円の外債投資計画(米債ならドル買いが起こる)
③ようやく外もの投資に動き出した機関投資家
主要9生保は今年度合計で4兆円に迫る規模の外債投資を計画
(契約者に約束した利回りの確保が難しくなっているため、
少しでも高い利回りが期待できる外債投資を増やす方針)
※ただし、昨今の円安加速で様子見姿勢?
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC06H01_W5A600C1NN1000/
④日本企業のM&A加速(少子化の国内から海外に事業拡大)
・東京海上、米HCCインシュアランス 9400億円で買収
・第一生命 米プロテクティブ生命 5750億円買収(2月)
第一生命・渡辺社長「M&A、北米・アジア軸に」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC10H1A_Q5A610C1EE8000/
アメリカの会社を買う際にはドルが必要、つまり
為替市場で生保のドル買いが起こるという実需、買いきりの玉。
⑤超長期チャートのレジスタンス超え
1990年4月高値 160.35円(この後1995年4月79.75円まで円高)
1998年8月高値 147.67円(この後2011年10月75.56円まで円高)
この2点の高値を結んだレジスタンスライン(上値抵抗ライン)は
122円台前半を走っていましたが、ここを5月下旬、
日経平均が12連騰を見せる中で、上抜いてきました。
今度はこの122円前半がサポートライン。
割り込まなければ超長期チャートのテクニカル的には
新たな相場誕生ということで、強気継続。
▲弱気派
①黒田総裁指摘の実質実効為替レート
このチャートは豊商事YMTVのプログラム
本音で言わせてで使用されたものです。
(会員制ですので口座を作ってご覧くださいね~)
黒田総裁はこれ以上円安になりそうにない、と発言されましたが、
実際ドル円レートと比較してその実質実効為替レートを
見たことがありますか?セミナーではそのそれぞれの推移チャートから
今後、ドル円相場がどのように動く可能性が大きいのかを
大倉キャプテンが解説してくださっています。
このチャートを見ると、、、
やっぱり黒田さんのおっしゃる通りという気がしますね。
②米国オバマ大統領「強いドルは問題だ」発言
火消し発言もあり、公式ではないのですが本音でしょう。
現在米下院における貿易促進権限(TPA)法案に関する
採決の動向に注目が集まっており、米下院は11日、
TPP交渉妥結に不可欠とされるTPA法案を含めた
2つの法案の手続きを承認、12日午後の本会議でも
賛成多数で可決していますが、
関連する貿易で失業した労働者への財政措置を盛り込んだ法案は否決、
これにより法案成立は週明け以降に持ち越され、TPP交渉もさらに
遅れることが必至。日米両国は最短で六月末の大筋合意に向けた
閣僚会合を開く青写真を描いていたが会合は早くても七月以降になる見通し。
TPP合意に向けては過度なドル高は好ましくないのが米国の本音。
③貿易収支の赤字縮小
3月分は黒字に転換してしまった日本の貿易収支。
4月は再び赤字ですが、原油安や訪日外国人による円買いが
構造的なドル買い要因だった赤字幅を縮小させてしまっています。
③ギリシャ破たん、EU離脱リスクや中国経済、米株下落などの
テールリスク
どちらが優位かを判断するのは難しく、
需給からいえば、まだまだドル買いが旺盛だと思われますが、
日米の要人発言は公式ではないにしても本音を漏らすことによる
牽制とみることもでき、為替を動かすのは結局政治だしなぁ、、、と
いう切り口でみれば、もうこれ以上のドル高円安は許容しないと
思われるため、何らかの抑制手段に出てくるリスクもありますね。
しかし、金融政策などからはドル高円安方向に引っ張られるのは必至で
日米ともに景気テコ入れのためにそういう政策を取っている以上、
すぐさま逆の政策を取るわけにも行かず、出来ることは
口先介入くらいじゃないですか?
ということは、望まないが行き過ぎてしまう可能性は否定できません。
現時点で125円が天井だったのか否かを判断するのは難しいですが、
先日の高値125.84円を超えれば、やはり望まぬ方向の円安がまだ
進むということでしょう。
122円を割りこんでしまった場合は、超長期レジスタンス超えが
ダマシだった可能性も出てくるため、大天井を付けたという可能性も。
まずはチャートポイントを意識してみるしかないかな。
今週のポイントは何といっても17日㈬のFOMC。
19日㈮には日銀金融政策決定会合があります。
黒田総裁の会見では、先週の実質実効為替レートに関する
質問が必ず出るだろうから、どのように修正するのか、
あるいはさらに強調するのか、発言に注目と大倉キャプテン。
18日のユーロ圏財務省会合でギリシャ問題の
ニュースが出てくればユーロが動く可能性も。
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5日(月)
米鉱工業生産・設備稼働率(5月)
米NY連銀製造業景気指数(6月)
ドラギECB総裁、欧州議会委員会で公聴会
16日(火)
独ZEW景況感指数(6月)
英消費者物価指数(5月)
米住宅着工件数(5月)
米議会予算局、連邦財政の長期見通し発表
17日(水)
日本貿易収支(5月)
ユーロ圏消費者物価指数(5月)
米FOMC・イエレンFRB議長、記者会見
18日(木)
NZ・GDP(第1四半期)
中国新築住宅価格(5月)
米消費者物価指数(5月)
ECB経済報告
ユーロ圏財務相会合
19日(金)
日銀金融政策決定会合
EU財務相理事会
ユーロロングをどこで手仕舞うかが今週の課題。
キウイショートはまだじっくり持とうかな、と。
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