今回の9月FOMCは新たなリスクの幕開けとなるかもしれない、
大きな不安を残すものとなりました。
市場には「永遠のゼロ」と映画のタイトルになぞらえて
米国利上げは当面難しいのではないか、という見方が出てきています。
モーニングサテライト
三菱東京UFJ銀行の鈴木敏之氏
年内の利上げがなければ、「永遠のゼロ」金利になるかもしれない
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/feature/post_97697
◆利上げ見送りは予想された結果だが、、、
注目された声明で「米経済は緩やかに拡大」といった部分を
タイトルにして報道しているメディアも多いようですが、
大事なのはそこじゃありません。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK17HB1_X10C15A9000000/
重要だと思われるポイントは
「最近の世界経済と国際金融市場の動向は経済活動をいくらか制約し、短期的にはインフレ率の下押し圧力をさらに高めよう。」
「~、海外の動向を監視している。」
「労働市場がさらにいくらか改善し、物価も中期的には目標の2%に向かって戻っていくと合理的に確信できた時、政策金利の誘導目標を引き上げるのが適切になると予想している。」
こうした部分です。
①米国だけの問題ではない、世界経済、海外の動向を意識
声明の中に
「最近の世界経済と国際金融市場の動向は経済活動をいくらか制約し」
「~海外の動向を監視している」
というコメントが見られました。
これは、米国材料だけでは利上げが難しいことを明らかに示した
ということであり、これは、普通に考えれば中国や新興国リスクを
慎重にみて利上げを見送った、ということでもあります。
となると、中国や新興国経済が安定してこないことには
利上げができないの?!ということでもあり、
それがいつになるのかはさっぱりわかりません。
米国が利上げせずにずっと待っていれば、自ずと回復して
持ち直すんでしょうか?中国経済の回復などを待っていたら
いつまでも利上げできないんじゃないですか?
という不安につながるものだったと受け止める向きもあります。
②インフレ率はまだまだ利上げできるレベルにない
[FOMC声明は「インフレ率が2%に向かって戻っていくと合理的に確信できた時
政策金利の誘導目標を引き上げるのが適切」
としているのですが、下押しの圧力がある、ということを
声明で認めています。
FOMCの経済見通しをみれば2%までの上昇予想は2017年です。
年内どころか、来年も難しいんじゃないか。って話よね。
③マイナス金利を予想したのはダレ?
ドットチャートがインパクトがありました。
17人のうち1人の参加者は15年末と16年末のFFレートを
マイナス0.125%と見込んだことが明らかになったのです。
利上げどころか、真逆です、マイナス金利の見通しが出てきたんです。
まだ、全体としては最初の利上げに適切と考える時期を
17人中13人(前回6月は15人)が年内に1度以上の利上げを見込んいるので
年内利上げのバイアスは維持しているのですが
前回より利上げすべきではないという人数が2人増えています。
そして1人はマイナス金利にするべきと。
関係者の間ではコチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁ではないか、
と噂されています。もっともハト派発言が多い方ですね。
④四半期経済予測
2015年の実質GDP成長率が上方修正されるも
16年と17年は下方修正
潜在成長率を示唆する長期予測は1.8~2.2%(前回2.0~2.3から下方修正)
失業率見通しは2015年~17年まですべて下方修正
⑤昨日中国が夜に政策スタンスというのを突然発表
中国が夜に文書を発表するのは異例ということで、
FOMCと同じ日にこのようなものを発表したということが
なにかかなりの危機感を持っているという受け止め方も。。。?!
ということで、年内利上げのバイアスがまだ強いのですが
細かく精査すると、年内は無理。来年だって無理かも??
ということで、マイナス金利やQE4というような言葉まで
出てきています。
◆不安を金融市場が織込み始めた
通常、利上げ見送りなら株は上がりますよね。
これまでだったらイエレンプットといって、イエレンさんがハト派的な発言を
してくれるから安心、市場に優しいとしてリスクオンという
反応となってきました。
ところが昨日のダウ平均の反応は最初は上昇して200ドルくらい
上がっていたのですが、終わってみれば65ドル安。
今日の日経平均も250円を超える下落。
日本の場合はシルバーウィークを控えてのポジション整理も
あろうかと思いますが、利下げ見送りで上がらない相場、というのは
やはり何かが変わってきたのではないか、というように思います。
トレードは難しくなりそうですね。
利上げしちゃってくれたほうが、あく抜けできたろうに、
また、いつ利上げするのか?ということが燻り続けることとなります。
もしかしたら、ドル高の是正が盛大にはいるかもしれませんね。
ドル安基調となっていくのかな?