2015年9月6日日曜日

8月の米雇用統計は「米利上げが9月に実施されるのか否か」を占う上で
通常より注目度が高かったのですが、その結果とその後の値動きに関しては
メディアによって受け止め方が違うようですね。

ドル軟調、雇用統計発表も不透明感根強く
http://jp.reuters.com/article/2015/09/04/ny-forex-idJPL4N11A3ZD20150904
[全般的には9月の米利上げへの決定打を欠く内容と受け止められた。]

ドルが総じて高い、雇用統計受け利上げ観測強まる
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NU5KPWSYF01U01.html
[8月の米雇用統計を受け、金融当局が今月に利上げ開始を決定するとの観測が強まった]
~ドルは主要16通貨の大半に対して値上がり。
特に南アフリカ・ランドとブラジル・レアルに対して大きく上昇]


各主要通貨インデックスを見てみると、、、


傾向としては「ドル高」「円高」なんですね。
リスクオフの巻き返しで上昇したユーロは再び下落基調にあります。
これは先般ECBでの極めて緩和的スタンスが影響しているのかもしれません。
そして下落が大きいのが「ポンド」そして「豪ドル」「キウイ」などの資源国通貨。
雇用統計発表のその日も下落しえ終えていますので、
解釈としては
「雇用統計を打行けてドル高加速、利上げ観測強まる。」
という方がしっくりきます。
ドルインデックスを見ると、それほど動いてはいませんが、
どうも8月24日月曜の株式急落時のリスクオフ大混乱のドル安が底で
じわじわとドル高回帰のように見えますね。

※ドルインデックス

現実に利上げされる前の「米利上げをにらんでの最後のドル高相場」に入った
のかもしれません。実際に利上げされれば「材料出尽くしでドル高終焉」の可能性が
大きいように感じていますが、やはりまだ現在は利上げ前、ドル頭打ちとなるには
早いということでしょう。ここから幾分ドル高は加速するかもしれません。

ただし、ドル円相場は別です。ドル高でも上昇しません。
上記チャートを見ればわかりますが、ドル高なのに円高、、、
というのは、米金利上昇だけが材料ではありませんね。

米金利が上昇すれば、日米金利差拡大でドル円相場ではドル高円安となるはずです。
それなのに、現在の相場では「ドル高」「円高」となっています。

これは、米利上げによって引き起こされるかもしれない
「株価崩落」「金融市場の巻き返し」を警戒している動きなのでしょう。

雇用統計の発表後のNYダウは 16102.38 ▲ 272.38(▲ 1.66%)下落しています。
これはやはり、9月利上げの可能性を織り込んだ動きですね。

◆8月雇用統計

①NFP非農業部門雇用者数前月比が17.3万人増と20万人の大台を割れ(ネガティブ要因)
 ~ただし、6月分、7月分が合わせて44000人の上方修正(ポジティブ要因)

②失業率 7月の5.3%から「5.1%に改善」7年4か月ぶり(ポジティブ要因)

③時間当たり賃金は「8セント上昇」1月以来の大幅な増加(ポジティブ要因)

著名投資家のビル・グロス氏は「米雇用統計は年内利上げに十分な内容だ」と述べています。http://toyokeizai.net/articles/-/83293

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週明けからのマーケットはどうなるでしょう。

利上げを警戒した売りが東京市場にも波及するなら
日経平均は更なる下落となる可能性があります。。。。

そうでなくても4日金曜日の日経平均は 17792.16(▲390.23)▲2.15%
8/25に付けた安値17806円を下回っています。
2/10の17652円以来7ヶ月ぶり安値。
残すは8/24の夜間でつけた先物17160円か?!
というレベルにまで下落してきています。

急落時にロングしたすべての日経平均CFDは
18000円割れで手じまっていますが、正解でした。
豪ドル円とキウイ円のショートも継続中です。
119.50円にドル円ショートの指値を置いていたものが
雇用統計後の乱高下でHIT。これも継続します。

◆ここからは、日経平均の悲観シナリオ。

「海外勢の日本株売り」

海外勢が日本株の売り越しに転じています。
年初から8月第1週までに現物株と先物合計で約3.4兆円買い越していた海外勢。
一転8月第2-4週で計3兆6850億円の売り越しに転じました。
特に第4週は1兆8830億円と2008年8月からのデータで最大の売り越しとなった。
ブルームバーグによれば8月28日までの3週間で
海外勢は日本株を1.43兆円引き出したこととなり、
3週間というスパンで見るとこの金額は2008年の
ベア・スターンズ倒産時を上回る歴史的記録だそう。

「対抗した日本勢の買い」

GPIFなど国内年金の売買を経由する信託銀行は、
8月第4週、現先合計で昨年12月第3週以来となる5155億円を買い越し。
日銀のETFは8月第4週は、24日の337億円1回だけだったものの
金融調節のデータでみた8月は3494億円の買いで月間最高。
個人は8月第4週は現先合計で2674億円の買い越しですが
投資信託の7922億円の買い越しと合わせると1兆円超のプラス。

しかし、圧倒的な海外勢の売りを前に、先週は日経平均株価も
直近安値を割り込む嫌な形で終わっているのです。。。

「日銀ETF買いのペースも鈍り・・・」

そして恐ろしいのが、これまで日本株が下落すれば買い発動してきた
日銀のETF買いですが、、、
8月までは1回337億円の購入額だったものが
9月4日の購入は317億円と20億円少なかったのよね・・・。

なぜ?!

なんと、このペースで日銀が買い介入していくと
あと21から22回程度しか買うことができないんです。

2015年の日銀ETF購入回数

1月10回
2月4回
3月7回
4月8回
5月6回
6月12回
7月8回
8月9回
9月は4日に1回購入、金額317億は2015年で最低金額。

3兆円のうち、2兆2686億円購入済み。
残りは7314億円。
最近の1回の買い入れ金額が337億円でしたので
それで計算するとあと21回程度、、、ということになります。
だから9月に入って317億円に20億減額したのかもしれません。。。

ということで、日本株はもっと落ちるかもしれません。

16000円台に入ったら再び日経平均CFDを買うつもりですが、
足元では相場が戻ったら売りたい気分。

というのも、短期的には急反発だってあり得る需給に。
空売り比率は4日まで3日連続で40%を超え過去最高レベル。
裁定売り残は8/28時点で5295億円で、
統計開始の1991年4月以降、過去最高です。

ショートカバーでの上昇局面もあるだろうと思われ、
ボラティリティの高い相場はまだまだ続くと思います。
また明日7日からは上海市場が再開します。

中国株がどう動くのかも無視できませんものね・・・。

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中国ニュース出来になるのがこれ

中国 人民元の為替予約で新たな通達http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150901/k10010212851000.html

為替予約、、ということで、通常の為替取引ではないのですが
為替予約で元売りがしにくくなりますね。

中国でドルに換えるときには20%ロックされちゃって
しかもその20%の保証金は1年間使えず利息もつきません。

こんな規制が急にできちゃうってことは、
それほどに現在、中国からの資本流出が深刻だということでしょうし
今後も外国企業は元建てでの契約は避けるでしょうから、
中国との貿易はますます細っていくものと思われます。

元安を食い止める一手ではあると思いますが、
それよりも中国は米国債を売却してドルを調達、
そのドルでドル売り、元買い介入をして元安を食い止めている、
ってことの影響が、足元では甚大です。

米債券市場「逃避買い」不発、ちらつく中国の影http://news.infoseek.co.jp/article/04reutersJAPAN_KCN0R40P6/

「米国株式市場が先週、急激に下落した際、多くの投資家は債券への「逃避買い」が起きると予想していた。ところがその予想は外れ、著名ファンドの多くで多額の損失が発生。投資家の間では困惑が広がっている。」

リスクオフの時は安全資産である米国債が買われるはずなのに
買われない、、、って中国が売ってるからですね。
8月の米雇用統計を受けて、市場は9月利上げもあり得るという
ムードになっているようですが、
このことが、米国利上げに影響を及ぼすことはないのか、
それが気になっています。

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