トランプラリーは、週末11日金曜106.93円高値まで。
107円に巨大なオプションバリアが存在するとの噂がありまして
これが突破できずに106円台後半でもみ合う形で大統領選の週が終わりました。
トランプ勝利目前に、想定外の結果が出るかもしれないという驚きから
101.19円まで円高ドル安が進行したのですが、
トランプリスクを悲観して売ったのは東京市場だけで
その後の勝利宣言以降は、トランプ氏が意外トマトも?!という見方や
トランプ氏がこれまで主張してきたインフラ投資に減税などの
政策を先取りして織り込む形で、買い戻され高値追いとなった相場。
さてこのラリーどこまで続くでしょうか。
◇過去の大統領選後のアノマリーから考察
米大統領就任後3か月間は「ハネムーン期間」
政権交代後の新政権の最初の100日間はメディアによる
批判や性急な評価を避ける紳士協定が存在します。
最初の3か月は、トランプ氏のバッシングはそれほど出てこない。
就任式は2017年1月20日。
その後3日月ほどということですので、2017年4月くらいまでは
トランプ氏のバッシング報道は出てこない・・・・はず?!
その代わり、100日を経過した後は
「最初の100日間は成功であったかどうか」を厳しく問うのが常
だそうですので怖いのはそこからですね。
Sellin Mayの格言にしたがって、
4月の高値では売り抜けておいた方がいいでしょう。
では、それまでは(半年近くある~~)上がると考えていいのかどうか。
このラリー今から半年近くも続くんでしょうか・・・。
◆大統領選後のドル円相場
①トランプ氏が掲げる政策からの方向性
※連邦法人税率を35%から15%に引き下げる企業税制改革
(法人税制はレーガン政権下の1986年以降抜本改革が先送りされてきた)
米国企業の収益が上がり景気にプラスで米株高であれば日本株高、ドル円上昇。
※本国投資法
多国籍企業が海外で上げた収益を本国(アメリカ)へ戻す際の税率を
15%から10%に引き下げる案を唱えています。
米企業が海外に貯めたドルは2兆ドル(210兆円)にも上ると指摘されており、
この米ドルがアメリカに戻れば、スケールの大きいドル買いが発生します。
ブッシュ政権2期目の2005年に同様の政策が実施されていますね。
西原氏有料メルマガにて竹内氏がその時の値動きを解説しています。
「EURUSD相場は2005年年初の1.3547から11月に1.1640安値へと約14.1%ものUSDの増価となっている。ドルインデックスでのEUR構成比率は以前にも申し上げたが57.6%であり、インデックスで見てもほぼ同じ増価幅となっている。
ただ仮に今回この法案が可決したとしても、当時と同程度の資金移動が起こるかは怪しい。当時は法人所得税率を35%→5.25%と今回とは比べ物にならない程度まで軽減していたからだ。」
2005年は相当のドル高となったのですが、その時は35%⇒5.25%(1回限り)
今回は15%⇒10%、減税幅が小さいのでその効果はどの程度出てくるか…
といったところでしょうか。
2005年は3000億ドルが米国に戻ったそうですが。
アップルやグーグルなど高税率を嫌う米大企業が節税のため海外に
資金を逃避させるのを防いで、米国に戻す考えですね。
今後10年間で6兆1503億ドル(約640兆円)の減税、加えて
1兆ドルのインフラ投資を唱えていますので、財政出動、金利上昇、ドル高。
ドット・フランク法の廃止も唱えていますので、金融株も上がっていますが、
金融規制撤廃で、米株がバブル化する可能性だってあります。
②「米大統領選後は円安」ジンクス。
先日もブログで取り上げましたが、
※1996年からの5回の大統領選後4回は上昇トレンド
http://fx-koryaku.com/articles/number/3241
1996年以降の米大統領選、翌年の円相場は
5回連続で円安・ドル高。
※今の相場環境に照らし合わせて考察すれば、ドル高となる要因は
①米金利上昇
財政拡大による金利上昇で日米金利差拡大
実際、米国10年債利回りは週末10日終値時点で2.15%まで上昇しています。
◆悲観的見方
そうはいっても、この金利上昇はあまりにも急すぎます。
これを軽く考えないほうがいいという指摘もたくさんありますね。
①財政拡大に伴う国債増発を見込んだ債券売りで米金利が上昇した面もある。
米景気の足かせになる「悪い金利上昇」と指摘する向きも。
米国債の格下げリスクや円高・ドル安リスクが連想されやすくなると
予想する声もありますね。
悪い金利上昇かどうかは、捉え方が難しいですが、
利回りが2%を超えてくると、株式市場から債券市場へと
資金が還流しやすくなる可能性がでてきます。
米株の平均配当利回りは2%程度とされており、これまでは債券利回りが
1%台で株式投資よりも妙味薄であったことが株高の一因でもありました。
史上最高値を更新して高値にある株を利食って、利回りが上昇し価格が下がった
米国債券に投資する向きが出てくる可能性は否定できず、
利回り急騰は株の急落を招くリスクを孕むとして警戒しておく必要があります。
※ダウ平均株価日足(ちょっとやりすぎかなぁ・・・)
11日金曜はベテランズデーで米国株市場は休場。
②新興国アセットの急落
米金利上昇でメキシコやブラジル、インドネシアなど
新興国から米国への資金流出も出てきました。
これでさらに米国が利上げに踏み切れば、新興国通貨や株などが一段安となる
リスクも。。。リスクオフ相場再燃画の売りをよぎりますね。
2015年12月に向けては米利上げにむけて新興国アセットが売られ、
リスク回避の円高が加速したことがありました、これがまだ1年前のことです。
ただ、米利上げは現実に1度は実施され、今後も利上げサイクルに入ったことが
明らかになったわけで、1年前ほど新興国アセットに資金が偏っている状況に
あるとは思えず、すでにそのリスクには備えたポートフォリオになっていると
考えることもできます。実際、人民元は安値を更新し続けていますが
2015年の時のように金融の混乱を招くような問題とはとらえられていませんね。
個人的にはそれほど新興国アセット急落がリスクとは感じていません。
リスクは米金利上昇による株価への影響のほうでしょう。
◆大統領選後の株価
広瀬隆雄さんの記事が興味深い。
株価が下がるとしょんぼりし、株価が上がるとはしゃぐ絶望的なひとたち
http://blogos.com/article/197663/
「株式市場の歴史を紐解けば、当選直後の株価の反応と、その1年後の株価の動きは、真逆になっていることの方が多い(笑)
~一例として1932年にフランクリン・ルーズベルトが大統領に当選した翌日、ダウ工業株価平均指数は-4.5%も暴落しました。
翌1933年3月3日にルーズベルトが大統領に就任すると、ルーズベルトは周囲の意見を無視し、ただちに銀行休業宣言し、3月15日まで株式市場も休場を決めました。
ところが株式市場は専門家の予想の真逆に動き、大相場を演じます。
結局、1933年のダウ工業株価平均指数の年間パフォーマンスは+66.7%でした。つまり当選時の悲観とは真逆のことが起きたのです。
1948年にハリー・トルーマンが当選したときもダウ工業株価平均指数は-3.8%下がりました。市場関係者は「トルーマンは重工業支持者(smoke-stack man)ではない」と考えたからです。しかし1949年から1952年にかけては4年間に渡る強気相場が起きました。
もっと近年では2008年にバラク・オバマが大統領に当選した日、ダウ工業株価平均指数は-5.3%暴落しています。しかしその後の2期にわたるオバマ政権では米国株式市場は強気相場を経験しました。
一方、大統領当選後、株価が上昇したケースでは、1年後、株価は下がっている場合が多いです。
このように当選直後の株価の動きは、その後の株価を占う先行指標としては、まったくアテにならないのです。」
確かに、まだ何もしていないのに米株上がり過ぎ~
史上最高値更新です。この反動のリスクも常に警戒しておきたいですね。
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さて、今後の戦略ですが、
今週のポイントは
14日(月)
黒田日銀総裁、講演
日本GDP速報値(第3四半期)
中国小売売上高(10月)
中国鉱工業生産(10月)
ドラギECB総裁、伊財務省主催会合出席
ダラス連銀総裁、講演
リッチモンド連銀総裁、講演
サンフランシスコ連銀総裁、講演
15日(火)
独ZEW景況感指数(11月)
独GDP速報値(第3四半期)
英消費者物価指数(10月)
英生産者物価指数(10月)
米小売売上高(10月)
フィッシャーFRB副議長、講演
ダラス連銀総裁、講演
ボストン連銀総裁、講演
16日(水)
米鉱工業生産(10月)
米生産者物価指数(10月)
セントルイス連銀総裁、講演
ミネアポリス連銀総裁、講演
フィラデルフィア連銀総裁、講演
17日(木)
安倍首相・トランプ次期米大統領、会談
豪雇用統計(10月)
米消費者物価指数(10月)
米住宅着工件数(10月)
米新規失業保険申請件数(12日までの週)
米フィラデルフィア連銀景況指数(11月)
イエレンFRB議長、議会証言
18日(金)
ドラギECB総裁、講演
ダラス連銀総裁、講演
セントルイス連銀総裁、講演
カンザスシティー連銀総裁、講演
スケジュールKlugFXより
http://klug-fx.jp/fxnews/detail.php?id=340708
米FOMCボードメンバーによる要人発言が相次ぎますね。
ただ、すでに先週末にFRBのフィッシャー副議長が
サンティアゴで行われたチリ中央銀行主催の会合で
金融政策当局として最大限の雇用と物価の安定という目標を
ほぼ達成したと述べ、利上げの論拠が強まっているとの見解を示しています。
これを受けて先物市場から算出する12月の利上げ予測は、
およそ7割だったものが8割に急上昇。
トランプ勝利で利上げが不透明になると指摘されてきましたが
12月利上げはありそうね。
17日にイエレン議長が米上下両院の合同経済委員会で議会証言と
質疑応答に臨む予定ですが、安倍首相とトランプ氏の会談にも注目。
ここで期待剥落というシナリオは考えにくく、
今週もラリーは継続するような気がしますけれど・・・。
◆テクニカル
7月の日銀会合前の「ヘリコプターマネー」期待では107.49円までドル円相場が
上昇しました。結果発表された政策がETF6兆円への増額のみでヘリマネでは
無かったことで、ドル円相は急反落。8月お盆には100円割れ示現まで円高が
進行したのですが(;^_^A
まずはこの7月高値107.50円までの上昇がターゲット。
ここを超えれば次は109円前後です。
これはアベノミクスの高値125.85円から2月の安値98.90円を
フィボナッチリトレースメントすると38.2%戻しにあたる水準。
ここを超えて初めて円高トレンドが終了した、と確認できるわけね・・・。
ですからまだはっきりとドル高のトレンドに変わったとは断言できないの。
恐らく底入れしたとは思いますが、そう簡単じゃないでしょう。たぶん。
ということで、今週は107.50円を超えられるかどうかがポイントね。
それを超えたら年内109.50円、この辺りは利食い場でしょう。
年末高となれば、年末年始のリスクは大きく、年明けからの円高には
注意したいと思うのですが、そこまで円安が続くかどうか。。。ですね。
ポジションは全て継続ですが、米金利の上昇と米株反落、
原油安に留意しながら、105.30円の増し玉分は手仕舞いも考えます。
NZドル75.10円ロングは先週76.57円で仕切りました。
ドル円、日経平均、ポンド円ロング継続です。
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