先週末、豊商事名古屋セミナーでご一緒した岡崎良介氏によれば
ドル円相場の過去の連騰記録はおおよそ9連騰で一服します。
1970年以降の大型相場で9連騰で上昇が止まったケースが8回。
1976年9月と2002年9月に10連騰という記録がありますが、この2回のみ。
これ以上のドル円の上昇の記録はありません。
ということで、先週末は113.89円までドル円相場の高値がありましたが
NYクローズは113.03円、10連騰にまでは及ばず一服しています。
過去のパターンに倣った連騰記録ストップですが
さて、今週以降、さらなる上昇開始となるのか、センチメントが変わるのか。
今回のドル円相場の上昇は、日銀が日本国債の10年債利回りをゼロ近傍に
ピン止めする政策をとる中で、米金利が上昇したことによる
日米金利差拡大が最大の材料でした。
米長期金利は週末2.35%まで上昇(一時2.4%乗せ)
選挙直前の1.82から0.5%も上昇しています。
JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉氏の試算によると、
日米長期金利差 0.10% 拡大に対するドル円相場の感応度が
選挙前の1.56円から選挙後2.97円に増大しているそうです。
つまり、この相場、米金利上昇のスピードよりドル円上昇のスピードのほうが
スピード違反の印象が大きいということに。
米長期金利上昇スピードは2013年のバーナンキ・ショックを若干上回る程度ですが、
ドル円は、直近終値ボトム11月3日から3週間で10%上昇となっており、
このペースでの上昇は1995年以来なのだそうです。
1995年の円安ドル高は、円高に対処するためサマーズ財務長官とMr円こと榊原さんが
協調介入を行った時です。今回の上昇は為替介入に匹敵するピッチだということも
言えるわけですから、ここからはさすがに注意が必要でしょう。
ここまでのドル円の上昇(米債利回り上昇)は、大統領選前にリスクにかけて
ドル円をショートしていた、あるいは米債に資金を非難させていた向きの
ポジションがひっくり返る過程で上昇した値動きに合わせて
ヘッジファンド勢らの新規買いなどが機械的に入ったことによるものと思われます。
日本の実需(輸入やM&A手当など)がまだまだ買い遅れているために
あまり下がらないという相場展開ですが、
かといって絶対に急落がないかというと、そんなことはないでしょう。
金利への感応度が高まっているということは、米金利が低下すれば
ドル円相場の下落も大きくなるということです。
中長期では、まだまだこの相場は初動だと思うのですが、
短期的にはスピード調整があっても不思議はありません。
上昇が止まれば、一定の押し目が期待できると思っているのですが、、、
こういうすさまじいトレンドが発生している時は日足5日移動平均線を見ます。
※ドル円相場日足 5SMA
強い相場では5SMAがサポートされて上昇が続きます。
24日終値で112.14円近辺を走っていますね。
この5SMAを「NY終値」で割り込んだら、いったんこの上昇は終了と考えます。
100.80円と101.80円台で買ったコアポジションは継続しますが110.58円で
買い増しした分は、ここをNYクローズで下回れば手仕舞い。
日足レベルで緩やかに失速した場合は、日足の5SMAを見てからの判断でいいのですが
もし、相場の急変、急落があるようならザラバ中でも手仕舞います。
その場合は1時間足を見ておくのがいいかな。
※ドル円相場 1時間足 一目均衡表と75SMA
1hはトランプラリーが始まってから、一度も雲を下回っておらず
75SMAがきれいにサポートしています。
ここを勢いよく割り込んで来たら、110円より上で買ったポジションは
一度手仕舞って置いた方が賢明でしょうか。
今週は30日にOPEC総会、週末金曜は11月分の雇用統計が発表されます。
この2つのイベントは注目度が大きく、内容によっては手仕舞いが出るリスク。
原油先物3%下落、OPEC減産合意不確実に
http://jp.reuters.com/article/cru-1125-ny-am-idJPKBN13K20W
減産合意となるか否かはさっぱりわかりません。
事前報道が政治的背景と思惑が交錯しすぎてまるでアテにならないからです。
減産合意に前進しているような報道もあれば、決裂しそうだという報道もあり、、
ちなみに上記記事、サウジが28日の会合に参加しないとありますが
OPEC会合は30日です。28日は閣僚級協議とでもいいましょうか。
28日不参加でも30日減産合意のどんでん返しもあるかもしれず。
9月の非公式アルジェリア会合でも、予期せぬ減産合意報道となりましたので
こうした一連の事前報道は眉唾・・・
膨れすぎた「減産合意バブル」、弾けたらどうなるか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48478
ということで、減産合意で原油が上昇しリスクオン相場が加速するシナリオも
あるかもしれませんが、その場合は、そこがいったんの山になりそうな気もします。
それから、雇用統計。
前回10月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+16.1万人増。
予想の+17.5万人を下回ったものの、8月分と9月分合わせて計4.4万人が
上方修正されていたため好結果。
今回11月分の予想は+18.0万人ですが、さて。
なんだか、足元では強気転換する向きも増えてきた印象です。
(まだまだ慎重意見も多いですが)
OPEC総会、雇用統計控えて一呼吸あるかもしれませんね。
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それでも下がったところはまた、買いで考えています。
中期的に期待できそうなのが
海外投資家が積極的に日本株を買い始めたこと。
海外勢は11月第2~3週に買い越した額は8900億円強で、
2016年度の累計でも1200億円強の買い越しに転じていきています。
半面、個人投資家の売越額は2週合計で8600億円強、
年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行も
計1500億円強を売り越しています。
個人や信託の売りは、やれやれの売りでしょうか。
今年前半の下落で、しこり玉となっていたものが、あがってきたことで
手自まわれている可能性。その売りを吸収して買いあがっている海外勢。
まだまだ上昇余地はあるんじゃないでしょうか。
米金利にしても、足元の上昇スピードは行き過ぎにしても
中長期ではもっと上がると思います。
グリーンスパンFRB元議長は最終的には3、4、5%の領域まで上げると、
ジェフリー・ガンドラック氏は今後5年ほどで6%まで上昇しうると予想しています。
まだまだ大相場は始まったばかり。
あとは、どこで利食ってどこで再度買い参入するか。
これに尽きますね。
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