通貨インデックス一覧です。
①トリガーはECB理事会。
政策の変更はなかったものの、ECBの緩和政策の出口が模索され始めた?!
スタンスが変化したと市場は受け止めたようです。
ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、今回の声明から
「目標達成に向け正当化されるなら理事会は利用可能なあらゆる措置を利用する」
との文言を削除したことを明らかに。削除の理由について
「デフレリスクに促された一段の措置の導入に向けた緊急性がもはや存在しないことを示唆」
これが理事会の見解だったと説明しています。
加えてECB当局者の一部が量的緩和(QE)終了前の利上げを主張、
検討がなされたことも当局者コメントとして報道されています。
ただし、今回はQE終了前の利上げについては支持は広がらなかった模様。
ドラギ総裁は必要に応じて利下げを行う用意があることも表明はしていますが、
こうしたヘッジコメントに新味はなく、「QE拡大の緊急性の後退」「QE終了前の利上げ」
こちらのインパクトが大きかったということで、
「金融政策面からのユーロ売り圧力」は消えたとみていい、ということになります。
ただし、来週15日のオランダ選挙は4月フランス選挙などの
欧州の政治リスクがユーロにどのような影響をもたらすのかはワカリマセンが。
ECBのスタンスの小さな変化は、為替市場ではユーロ相場の大きな上昇をもたらしました。
②そして2月雇用統計。トランプ政権かで初の丸1か月データ)
NFP非農業部門雇用者数 23.5万8(予想19万)
失業率 4.7%(前回4.8%から低下)
労働参加率 63% (62.9%から上昇)2016年3月以来の高水準
平均時給 +2.8% (+2.6%からプラス0.2%加速)
建設業雇用 +5.8万(2007.3月以来の大幅増)
小売り ▼2.6万
3月利上げ機運の高まりに水を差す内容ではなく、利上げに太鼓判と思われる
好結果ではありましたが、雇用統計後からドルは軟化。
このところ、利上げ思惑に関しては、確信となるイベント確認で売られる
「事実売り」的な値動きが観測されますね。
先々週はFRB高官らのタカ派発言ではドル買いが加速していたのに
最後、金曜にイエレン議長がタカ派発言したところで、いったんドル買い終了。
そして先週は、ADP雇用指数の好結果受けてドル買いが加速するも
雇用統計が出たところで、ドル買い終了。。。。
さて、週明けからの動きは?!
そしてFOMC受けてどちらに動くでしょうか・・。
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実はこうした欧米の金融政策イベントに絡む通貨の値動きだけが
現在のマーケットを作り上げているわけではなさそう、、、という話があります。
というのは、本邦3月期末につきポジションの整理が行われている気配。
昨年2016年は日銀がマイナス金利導入したために日本国債での運用益を見込めなくなった
という背景もあったのですが、本邦機関投資家らはせっせと外債投資を行っていました。
※国内投資家による対外証券投資
これは10月の記事ですが、、、
外債シフト止まらず ドル調達コストより利回り追求
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF03H0P_T01C16A0EN2000/
しかも、これらの外債投資は「ヘッジ付」
つまり、日本国債より利回りのいい外債(米国債)を買って運用益を確保しても
もし、為替市場で円高ドル安になってしまったら、ドル建てで購入外債は
為替分損をしてしまう、、、為替リスクをなくして外債益回りだけを取りたい、
ということで、同時に為替市場では「円買いドル売り」を行うんですね。
これが為替ヘッジ付外債投資。
トランプラリーで、この投資は大損害となっているとみられます。
だって、そもそもこの時期の米債利回りって、、、
※米10年利回り
2016年1月から2016年7月まで、利回り下落しちゃってますね…。
大倉キャプテンの指摘だと
国内機関投資家らの平均取得の利回りは1.5~1.7%くらいじゃないかと…。
7月とかすごい買ってるけど、この7月に米債利回りって史上最低の1.3%台を示現。
つまり、利回りがすごく低い時、、、米債価格がほぼ天井圏で買っちゃってるってこと。
現在はど底から見ると利回りは2倍に。債券価格は半分近くになっちゃってるのね。
おまけに為替市場でのヘッジ(円買い)も110円以下のコストであった可能性が
大きいってことですよ。つまり、トランプラリーでドル円が上昇しちゃって
為替ヘッジの分でも損が出ちゃってる可能性が大きいということ。
これは由々しき事態。
ということで金融庁が動きました。
金融庁、地銀に特別検査 まず3グループ
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS08H5A_Y7A300C1MM8000/
金融庁検査、地銀の運用リスク注視 まず十六・北越・フィデア
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO13898940Z00C17A3EE9000/?n_cid=SPTMG002
「数百億円単位で損失を計上する地銀が出てきた」
地銀はじめ本邦機関投資家勢は「損切り」に動いているとみられるのです。
つまり、米債を売る、円買いのヘッジを外す。
米債売りが出れば米債利回りは上昇圧力。
円買いをやめればドル円相場は上昇圧力。
Wでドル円相場の上昇をもたらした可能性がある、というわけね。
表層的には、3月利上げ織り込みがドル円上昇をもたらしているとの報道が多いのですが、
こうした実需のポジション整理の動向が為替市場にもたらす影響も小さくありません。
この動きが3月期末に向けてさらに出るのか、一段落しているのかはわかりませんが、
米国の金融政策だけが為替を動かしているわけではないということは
認識しておく必要がありますね。
FOMCで利上げがあれば、事実売りでドルが下がるとのコンセンサスが多い印象。
ドルが下がれば買い場でしょう。4月くらいまではドル高かな。
3/15はオランダ選挙やFOMCなどイベント多し、で暴落論が随分前から
囁かれていますが、そういう時はそれほど下がりません…。たぶん。
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それから、為替にかかわる気になるニュースをいくつか。
シカゴ投機筋 7日時点の建玉報告では円の売越10週ぶり拡大
円の売越幅が10週ぶりに拡大。前週から4683枚多い
5万4700枚と2月7日以来1カ月ぶりの高い水準。
米10年物国債の先物市場で投機筋(非商業部門)による売越幅は
2週ぶりに大きく縮小し、前週比11万1145枚少ない29万8514枚。
前週の売越幅はデータが開示されている1993年以降の過去最高水準
この状況から推測できるのは、投機筋らは
円売り再開。つまりドル買いに転じているということ。
10週ぶりということは、おおよそ今年に入って初めての転換。
年初からの円高基調は、この転換を境に終止符が打たれたとみていいのかどうかに注目。
海外投機筋のスタンスがドル買いに変化したというシグナルかもしれません。
(このファンドのポジションだけが相場を動かすわけではないですが)
そして、長くリスクが指摘されていた米債ショートポジションは縮小に転じるのか。
1993年以来最大に積みあがっていた米債ショートですが、買戻しに入るのかもしれません。
ショートを買い戻すということは、債券価格は上昇し利回りは下がる圧力となりますので
こちらはドル上昇の頭を抑える材料となります。
ムニューシン米財務長官、G20では通貨中心の見解を表明へ-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-10/OMM3UB6VDKHS01
貿易で優位に立つため自国通貨安を誘導しようとする国を米国は容認しない
とのメッセージを打ち出す計画だそうで、、、17~のG20はトランプ政権誕生後初ですので注目。
(これまでの米政権がG20でコンセンサスとして形成してきたものを踏襲の形ですが)
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