注目された米中首脳会談、晩餐会直前の米国のシリア爆撃という予想外の展開に
7日金曜日の東京市場は一時リスク回避の株安、円買いにさらされました。
北朝鮮が米中首脳会談直前となる5日に弾道ミサイルを発射したことを受け、
有事を想定していたマーケットにとっては、そのタイミングやエリアが思惑と
異なったとはいえ大きなサプライズではなかったように思います。
実際、シリア爆撃の報は7日金曜日の東京時間前場に伝わり、
ドル円相場は110円節目を試すところまで円高ドル安が進行する局面が
みられたものの、110円大台を割り込むことなく買い戻されました。
株式市場も瞬間売り込まれたものの、大引けでは日経平均はプラス圏へと
押し戻されています。
同日NY市場でも予想より悪かった3月の雇用統計の数字を受けて
再び円高進行となるも、110円の壁を破ることなく反発し、
NYクローズに向けては逆に111円台へドル高が進行する結果となっています。
今回の場合、すでにドル円相場は110円台へと円高が進行しており、
日経平均も18000円台へと下落基調が続いていたため、
有事に備える動きは事前に出ていたことで「事実で買い戻す」動きが
出たものと想定されます。
ただし、これが限定的な有事であれば、の話です。
米海軍当局者は8日、原子力空母カール・ビンソンを中心とする
第1空母打撃群が、シンガポールから朝鮮半島に向け、出航したと
明らかにしています。
米中首脳会談の晩餐会というタイミングでのシリア爆撃は、
中国に対し北朝鮮問題の解決を迫る意向が強く滲み出るものだったと
思いますが、米中首脳会談の後、ティラーソン国務長官は米中両国にとって
懸念材料であり続けている北朝鮮の核能力への具体的な対応措置では
何も合意できなかったと述べていることも気がかりです。
4月15日が北朝鮮の金日成国家主席の生誕105周年記念、
25日が北朝鮮軍創建85周年記念ということで、
その記念日を前に4月11日に平壌では国会にあたる最高人民会議が
開かれる予定です。最高人民会議開催の時期に合わせ、
北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射する可能性が想定され、
この時米軍がどのように動くのかという意味では、
さらなる有事に緊張が高まっていると見る向きもあり、
有事想定の円高予想が急激に広がっている印象です。
安倍晋三首相は9日朝、トランプ米大統領と電話で約45分協議していますので
あらゆるリスクは想定しておいたほうがいいのかも、、、。
週末110円台前半で2回に分けてドル円ロングを作りましたが、
安心できる状況でもなさそうです(;´・ω・)
ただ、ユーロやポンド、豪ドルなど他通貨では明らかにドル高。
有事は基軸通貨であるドル買いでもあるんです。「有事のドル買い」ですね。
だから円高ドル高なんだけど、米ドルより対外純資産世界一である円のほうが人気…。
ということで、何かあってドル円が急落したら、やっぱりドルを買いたいですね。
有事はドル買いでもあるのですよ・・・。
それと。
金曜夜のブログに雇用統計までは書きましたが、
その後、NY連銀総裁、ダドリー氏の発言が材料視されて
ドル高となったようですね。
「ボルカールールの見直しを支持」
「バランスシートの縮小は本年後半、2018年初期に開始を予想」
「バランスシート縮小開始後に短期金利の正常化を休止した場合、
その休止期間は極めて短いものになると強調」
3月31日ダドリー氏は
「当局がバランスシート縮小を開始すれば短期金利の正常化を休止する可能性がある」
と発言していましたが、これを受けマーケットは
国債の上昇とイールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化をもたらしました。
ダドリー氏は発言について一部で「誤って解釈された」と発言、
私は短い休止と述べた。休止というのは既に非常に短い意味があり、
短い休止というのはさらに短いと思う」と発言の修正を強調しています。
こうした一連の発言を受けた形で米国債利回りが急反発し、
ドル高となった、というのがNYマーケットでのドルの動きだった模様。
有事リスクだけがマーケットを支配しているという感じでもなくて、
やはり金融市場は米国の金融政策、特にここからは利上げだけでなく
FRBのバランスシート圧縮とその開始時期や手法についても
神経質になっているということですね。
その意味では7日金曜のNYマーケットの動きは極めて平時に近いものだった
という印象ですが、その後、米国が原子力空母を北朝鮮に向けて出航させて
おり、予断は許さない状況ではあるんだけど、、、。
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なんかいろいろありすぎて、肝心の米中首脳会談の中身が
あんまりクローズアップされていないんだけど、整理しておきます。
両首脳は米中間の貿易に関して「成果を確認するための通過点」を含む
「100日計画」を策定することを採択。
ロス商務長官は「非常にスピード感がある計画」だとしています。
要するに、今は決めなくてもいいが100日以内には答えを出せ!
と米国が中国に迫ったということですね。おおよそ3か月以内に。
米国から中国への輸出を増やして米国の貿易赤字を削減することが
第一目標で幅広い製品について話し合われたようですが、、、。
売れないものを、、例えば馬鹿でかい車を買えと言われても
困るってのは日本も同じで、、、なかなか通商問題は簡単じゃないですよね。
そしてスティーブン・ムニューシン米財務長官は
中国政府による為替操作に関しても合意が得られなかったと明かしています。
中国の「為替操作国」認定について、近く公表する半期為替報告で
判断を示すとしていますが、
操作国認定は見送るものの、「為替不均衡」を問題視し、
新たな基準を設けるなどして監視対象にする可能性はあるとみられ
この点についても中国側は厳しい要求を突き付けられそうです。
為替報告書は4月15日頃に公表されるとみられますが
15日に必ず出るというものでもありません。
ただ、4月中には公表されると思いますので、注目。
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今週の注目は米国小売売上高と消費者物価指数。
どちらの今週14日金曜の21:30発表です。
次の利上げが6月なのか9月なのか占う重要な指標。
3月に利上げしたばかりで6月?という疑問もあるかと思いますが、
FRBとしては2018年イエレン議長の任期が切れる前に
出来るだけ早期に利上げをしたいという思惑があるとみられています。
米GDPの約7割を占める個人消費動向を表す小売売上高。
2月は前月比+0.1%と6か月ぶりの小幅な伸びにとどまりました。
1月は+0.6%だったので伸びの鈍化が気がかりとされています。
3月予想は前月比変わらずであまり良くありません。。。
※そもそも米国は1-3月のGDPが下振れすることが知られています。
これは寒波などの影響が出やすい時期だからとされていますが、
今年2017年も2月までは暖かかったのに、3月中旬になって大寒波が。
この影響が3月雇用統計のNFP+9万人の悪い数字の背景にあったと
指摘されていますので、小売りがあまり良くない可能性は否めませんね。。
そしてCPI消費者物価指数。
FRBが注視するインフレ指標はPCEデフレータですが、
CPIのほうが発表が早いので注目です。
こちらも今回予想は前年比+2.6%で1月+2.7%からやや鈍化。
ただコア(食品・エネルギーを除く)は+2.3%。
2月の+2.2%より高め。どちらにしてもインフレ目標2%を超えてますので
傾向としてはしっかりとインフレ基調は確認されているわけで、
余程悪い数字にならない限り、6月利上げを織り込む動きが出やすいんじゃ
ないか、って気もしますね。。。
ただ、14日発表に向けてドル買いが続いていたら別だけど。
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2017年4月10日月曜日
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