2018年3月12日月曜日

日米ともに政治ニュースが目まぐるしく落ち着きません。

先週は、トランプ大統領が鉄鋼とアルミに輸入関税をかけるとした貿易戦争懸念が
強まったのですが、これに反対していたゲーリーコーンNEC委員長が辞任。
これを嫌気して米株が売りにさらされる局面もありましたが
この関税についてはカナダとメキシコへの関税適用を除外するとの報道もあり
これを好感する買いも出てきたり、、、。

貿易戦争への懸念が世界株安を招くか、という懸念もありましたが、
ファーストインパクトからは随分と穏やかな内容となりそうなムードに
米株の下落は一時的に終わっています。
chartだけ見ているとコーン氏辞任もインパクトはあまり大きくなかったようですね。

極めつけに9日金曜早朝に飛び込んできたのが
5月までに米朝首脳会談が実施される可能性があるとの報道。
またもトランプ大統領の即断による動きとみられますので
本当に実現できるのか、、、と懐疑的にみてしまいますが、
実現できれば歴史的な功績ということになるのでしょうか。
これを日本が蚊帳の外と書くメディアもありますが、
マーケットはこれに驚いて、報道から日本市場では株が大きく上昇しました。
一時500円以上も上昇したのですが、その後マイナス圏に沈むなど乱高下。
結局100円高程度に落ち着いて終わっていますが、
チャート的にはいい形ではありません。

日本株上昇は、サプライズ報道を受けて
有事への緊張緩和からのショートカバーだったと思われますが、
その後上げ幅を削り、上髭を作っての陰線となったことから
日本が置かれている状況を冷静に考えると歓迎できない、
とマーケットは判断したということかもしれません。
リスクは何も有事という形の地政学だけではないのです。
北朝鮮といえば、日本から見ればミサイルや核だけでなく
拉致問題などの解決も必須条件、これをないがしろにされてはたまりませんね。

米国トランプ劇場も驚きの連続ですが、日本の政治にも暗雲が。

先週は財務省近畿財務局の男性職員の自殺が報じられ、
9日金曜には佐川宣寿国税庁長官が辞任。
そして週末には森友関連の決済文書、財務省が「書き換え」認める方針との報道、
加えて、日曜夕方「検察当局が書き換え前の文書の写しを財務省に提供」との報道が
飛び出しています。

財務省が書き換えを認め、検察当局が書き換え前の文書を提供するとしていますので
週明けからは、いったい何がどう書き換えられたのか。
そして、それは何のために書き換えなくてはいけなかったのか、
という点が明らかにされると思われ、
その内容によっては政局が動くとの懸念もあります。

事実が出る前に予想しても仕方ないことですが、
アベノミクスが揺らぐという連想が
日本株を一層下落させるリスクを孕んでしまっていると思われ、
週明けの日本株は荒れそう・・・。

その内容がどうあれ、書き換えが事実なら
麻生大臣の辞任は避けられないとの指摘も多く、
やはりこの点においては、日本売りが加速するリスクですね。。。

ただし野党が期待するような内容でなかった場合のショートカバーの可能性も
否定せずにおいた方がいいとも思っています。
現政権が危ういという見方が大きいですが、大逆転の可能性も
シナリオに入れておきたいと思っています、というのも・・・。

2月4週(2/26~3/2)、海外投資家は日本株を先物・現物合計で
9413億円の売り越しでした。
海外勢が日本株を買ったのは1月の最初の週の1週だけなんですよね。今年・・・。
1月2週以降の8週間合計での海外勢の日本株売り越し総額は7兆0291億円。
(現物2兆1047億円 + 先物4兆9243億円 )

この規模の売りは2015年8-9月のチャイナショック時に匹敵します。
チャイナショックの時は8月お盆前に21000円を目前に日経平均がトップアウトし
9月最終週に向けて17000円割れまで4000円近く下落したのですが、
7兆円を超える海外勢の売りが巻き返され12月に向けて2万円まで
3000円近い巻き返しがあったんですね。
ただし、高値奪還はできずに再下落して2016年2月の15000円割れまで
下落するのですけれど・・・。

なんとなく、この時と同じパターンを描くような気がしています。
怒涛の巻き返しが来るけど、24000円台の高値奪還はならず、
再下落で安値更新、、、かな?と。

※チャイナショック時の日経平均の動き

先物が売り大きいので、どこかの時点で怒涛の買戻しで上昇する可能性がある、
という気がしています。というか、それもそろそろ始まるんじゃないか、
って気がするのは米株の強さです。

お騒がせトランプ劇場にも揺るがぬ米株ですが
9日は発表された週末の2月分の雇用統計の数字が
良好だったことから米株が大きく上昇。

ダウは週末のダウ平均は440.50ドル高の25335ドル74セントと大幅上昇。
なんとナスダック総合指数は再びの史上最高値更新です。

※主要米株インデックスと日経平均(左上ダウ、右上S&P500、左下ナス、右下日経)


ダウは現時点ではレンジの範疇にすぎませんが
ナスダックに連れて上昇するなら、高値奪還も時間の問題。

それに比べて日本の株の冴えないことよ・・・。
でも、日本株の海外勢の売り越し額の大きさからみると
どこかでバーンと上がりそうですよね、、、、。

週末9日の動きはこのデータ-に含まれていませんが、
一時500円以上も上がるというような激しい上昇の裏には、
これまで日本株を売りまくってきた海外勢が泡食って買い戻しに動いた、
というようなストーリーがあるように思います。

ただし、チャート形状はよろしくないのと、
本邦勢、個人の信用買い残が積み上がってきているという懸念材料もあり、、、
今週は政治リスクもはらんでいることから、もう一段安あるかもしれません。

20000円近くまで、あるいは20000円割れまで下がれば買いたいですけどね。
今はレンジの中での乱高下。あまり手を出したくない環境です。

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※2月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想から大幅に上振れ、
過去分も上方修正。平均時給の伸びは天候などの影響もあって強含んだ1月からは鈍化。

NFP 31.3万人(予想 20.5万人 前回23.9万人(20.0万人から修正)

失業率  4.1%(予想 4.0% 前回 4.1%)

平均時給  前月比 0.1% (予想 0.2% 前回 0.3%)
      前年比 2.6%(予想 2.8% 前回 2.8%(2.9%から修正)
      
これを受けて金利が上昇、米10年債利回りは再び2.9%台へ上昇する局面も。

3月のFOMCでは利上げが確実視とのムードですが

※Fedウォッチ 88.8%の利上げ織り込み


週末エバンス氏は慎重な姿勢を見せていましたけど。

シカゴ連銀総裁:追加利上げの是非については忍耐強く判断する余地
2018年3月10日 15:58
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-10/P5D3986KLVR401
シカゴ連銀のエバンス総裁は9日、インフレ圧力が一段と勢いづいていることを物価統計が示すまで、追加利上げは先送りするほうが望ましいとの見解を示した。
  
でも、、、これだけ市場の折り込みが高い中で利上げを見送れば、
その方がネガティブサプライズでマーケットが動揺するでしょうから、
それはないかな。

でも、物価がなかなか上がらないのは米国も同じ。
その意味で今週は13日にCPI消費者物価指数が発表されるので注目しておきましょ。

※米CPI推移

     
今週は、13日が注目ね。米CPIにペンシルバニア州補選。

3/12(月)
1-3月期法人企業景気予測調査(8:50)

13(火)
2月国内企業物価指数(8:50)
米国 2月消費者物価(21:30)
ペンシルベニア州18選挙区の下院補欠選挙

14(水)
1月 22・23日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨
中国 2月小売売上高/鉱工業生産/都市部固定資産投資(11:00)
米国 2月小売売上高(21:30)

15(木)
米国 3月 NY 連銀製造業景気指数(21:30)
米国 3月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(21:30)

16(金)
米国 2月住宅着工件数(21:30)
米国 2月鉱工業生産・設備稼働率(22:15)

18(日)
ロシア大統領選挙


個人的には、先週ECB理事会に作ったユーロ円ショートと
ポンドドルショートが、大苦戦中。

週末の米朝首脳会談のニュースでドル円クロス円上昇で
ユーロ円がコスト以上に上昇しちゃって、アゲインスト。
ロスカットラインを132円と直近高値レベルに設定しているので
まだ保有していますが、、、ドル円が105円が堅く、今週の政治リスクを乗り越えて
ショートカバーの方が大きくなれば、ユーロ円はさらに上昇する可能性があり
ロスカットされそうです(-"-)

ポンドドルは雇用統計の数字が良くてなぜかドルが売られ気味で
こちらも一時アゲインストに・・・。
NY時間クローズに向けては何とか持ち直しましたが
これはNY時間につけた高値をロスカットラインに設定しなおして
(週末までは1.3900ドルをロスカットラインとしていたけど浅めにする)
週明けからの動きを待ちたいと思います。

どうもクロス円が上昇しそうな気がしているんですよね。。。

特にトランプ大統領が鉄鋼アルミの関税引き上げ対象からカナダを外したことから
カナダが巻き返すんじゃないかと思っていて、
カナダ円が大きく戻るんじゃないかと、、、
今週は、カナダ円を押し目買いしてみようかと思っていますが、さて。


それから、13日のペンシルベニア州の補欠選挙。
トランプ大統領は、この補欠選挙に向けて、鉄鋼アルミの関税引き上げ発表を
したんじゃないか、という話があって、、、、

レイ・ダリオはただの政治ショーだ、って冷静に見ているようですね。

鉄鋼・アルミ関税 トランプ米大統領の君子豹変はあるか
https://www.quick.co.jp/6/article/14221
「ピッツバーグ市の郊外にある選挙区で、この選挙を勝つために鉄鋼業のテコ入れをぶち上げているのかもしれない。『ピッツバーグってことは鉄鋼だろ?』と考えているんだとしたら、いかにもトランプさんらしい短絡的な思考である」


アラバマ補選で、共和党が負けたことが頭にあるんでしょうか。。。(;´Д`)
ただ、上記コラム最後の下りが興味深いです。

「選挙区割りは今年、改定される」という。つまり、今回の補欠選挙ではPA-18は今まで通りの選挙区で行われるが、今年11月の中間選挙では選挙区の形は全然違うことになってしまうというのだ。仮にペンシルベニア補選に配慮して今回の鉄鋼業界への保護策を決めたのなら、実質的に意味がないと分かったところで振り上げた拳を降ろす可能性も否定できず、トランプ氏の君子豹変が期待される。」
やれやれ、、、、ですね。
政治ショーにすぎないという冷静な見方が広がれば世界の株は持ち直すかもしれません。
ナスダックは最高値更新ですし。

ただ、日経とかダックスなんかはチャート形状が悪いですよね。
ショートカバーなどで吹き上がっても、再度売られるのが今年の本筋かなぁ、、、

ただ、短期的には日本株の需給からのショートカバーの可能性、
トランプ氏の政治ショーが透けて見えたことからのリスクテイクなどが
株高を招くこともあるという点にはご注意を。

とはいえ、明日からは日本の国会の行方も重要ですが、、、、

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