トランプ大統領が、FRBの利上げスタンスに不満を表明してから
にわかに注目後が高まっていたジャクソンホール会合。
メディアによって、書き方が異なりますねぇ。
日経→FRB議長「物価過熱の兆候ない」利上げ打ち止め近づく
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3459262024082018FF8000/
「物価上昇率は2%を超えて過熱するリスクはみえない」と主張。
当面は「段階的な利上げが適切だ」としたものの、過度な引き締めは不要で、利上げの打ち止め時期が近づいたと示唆したものだ。FRB内には、早ければ19年中に利上げを打ち切る案も浮上している。
WSJ→パウエル議長、FRBの段階的利上げを擁護
https://jp.wsj.com/articles/SB10503580577070914225504584429240690131108
段階的な利上げの正当性を主張し、FRBの動きが遅過ぎたり早過ぎたりすることが景気拡大を阻んでいるとの批判をはねつけた。
同じ講演を受けて、捉え方が随分違うものですが、
実際講演を受けてユーロドル相場だけをみるとユーロ高が進んだ印象。
※ユーロドル15分足 矢印がパウエル議長講演開始時刻
このくらいのボラはユーロドル相場においては別段大きくないですね。
※米10年債利回り15分 矢印が講演時間
金利は下落方向、講演受けてドル安だったことから、
市場の受け止め方としては、パウエル議長の講演はややハト派的だったということか。
おかげで、S&P500、米株は最高値更新です、どこまでいくの~
※米3指標と日経 日本株も上がるんじゃないの、これ。
さて、パウエル氏以外にも要人らが金利についていろいろ発言しています。
◆カンザスシティー連銀のジョージ総裁(22日)
大統領からの干渉に屈することはない。あと数回の利上げが必要。
◆米ダラス連銀のカプラン総裁
干渉なく、我々は決定を下す自信がある。
◆ブラード米セントルイス連銀総裁
「2019年は成長減速が予想され、今、利上げを打ち切るべき。
大統領からの干渉は関係ないのが基本として。
ブラード氏などは、今すぐ利上げを打ち切るべきとしているのには
長短金利の縮小を警戒しているものと思われます。
※米10年債利回りと2年債利回り 金利差は0.185%にまで縮小。
オレンジの短期債利回りが急騰しているのは
政策金利の引き上げの影響によるものですね。
このまま利上げを続けるとくっついちゃう、、、、というより
逆転してしまいます。
経験則として、長短金利の逆転はリセッション入りの序章と
されていますので(半年から1年後には景気後退期入りとなる歴史が)
なるべくなら、逆転しないようにコントロールすべき、という声が
出てくるのは理解できます。
しかし、FRBは子用と物価の番人ですから、
物価上昇が過熱しないように金利をコントロールしなくてはならず
現状では利上げが必要なわけで9月利上げはほぼ確実視されています。
その後の12月の利上げとなると、その前に中間選挙もありますし、
3月でピークアウトしたとみられる住宅系指標がますます悪化してくると
利上げ織り込みは強まらない可能性もありますね。
住宅セクターは金利上昇に敏感。ローン金利が上がると冷え込みのも早いです。
その場合は、ジャクソンホールでのパウエル議長の
「物価上昇に加熱がみられない」発言がエポックポイントだった
ということもあり得るのかもしれません。
※新築住宅販売件数 3月ピーク
2018年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
59.3 61.8 69.4 66.2 68.9 63.1 62.7
※中古住宅販売件数 3月ピーク
2018年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
538 554 560 546 543 538 534
※住宅建設許可件数 3月ピーク
2018年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
137.7 132.1 137.7 136.4 130.1 129.2 131.1
ただね、CRBインデックスを見ていると、ドル高回帰するように見えます。
なんと見事な下落トレンド。このイエローの下落トレンドをしっかりと
上抜けない限り、コモディティ下落は続きます。
コモディティ安が続くということは、ドル高が続くということね。
※CRBインデックス
先週の火曜日までのデータ-しか取れないのですが
先物市場の手口をみると、ユーロドル相場ではネットショートが
2週目に入りました。若干売り越し幅拡大。
※ユーロドルIMM通貨先物ポジション
同じタイミングでネットショートに転じたゴールドも
ネットショート拡大。
※ComexゴールドCFTC建玉明細手口
先週水~金曜で、このショートはやや買い戻されて減少していると
思うのですが、ドル買い傾向はまだ終焉していないように感じます。
****************************************
さて、ここからの戦略です。
先週はドル円相場だけ見ると、円高ドル安が進行したように見えますが
通関デックスを確認するとドル安、円安だったんですね。
円よりドルが強かった、というだけのことで、
ドルは全体で見れば弱かったのです。
円安の背景は、ドル安によって、ドルストレート通貨が巻き返し
(ユーロドル、ポンドドル、豪ドルドル、キウイドルなど)
そうした通貨がドルだけではなく円に対しても上昇した結果です。
だから、豪ドル円とかユーロ円軟化が思わぬ上昇を見せた。
このクロス円上昇が、結果ドル円を押し上げるという相場でした。
これが今週も続くのか。
ポイントの一つは、市場がFRBの利上げサイクルがいよいよ残すところ
あと数回で終わりだと利上げ打ち止めのタイミングを探り始めると
ドル安に転換してしまう可能性がある、ということですが
しかし、減税によって拡大した財政赤字、そしてそれを補うために
新発国債が発行されるという流れであることを考えると
ドル高のトレンドはまだ続くと思われ、そのせめぎあいなんだろうなぁ、
ということで、トレンドとしてはどちらかに強烈に働く可能性は
あまり大きくないように思っています。
つまり、やりにくいレンジ相場が続くということ・・・・。
ドル主体で考えるのではなくて、どこが弱いか、ということを
軸に考えた方がわかりやすいかもしれません。
となると、NZとか、豪ドルとか、ポンドの売りじゃないかな。
NZは利上げがかなり先になると見込まれるため。
NZは8/9、RBNZのマクダーモット総裁補佐が
利下げする可能性が高まったと発言しています。
ただし、22日発表の第2・四半期の小売売上高は、1.1%増。
GDPもRBNZ予想の0.5%を上回る公算が強まったとして
利上げリスクが後退したとの見方から、先週は買い戻しが旺盛となっています。
ただし、オアNZ中銀総裁が金融政策について利上げについては急いでいない、
利下げの可能性も排除しないと発言しており、
NZの利上げはかなり先になりそうですね。
豪ドルについては、先週政治リスクで売られましたが
24日に再度自由党党首選が行われ、でモリソン財務相が党首に選出
されたことから、政局不安はひとまず後退したとの安心感から
買戻しがはいり、ほぼ行って来いの上昇となりました。
豪州に関してはまだ米中貿易摩擦による中国景気後退不安からの
売り圧力は強いと思われますので、買い目線にはなれませんね。
ユーロも基本売り目線ですが、いかんせんネットショートですので
このままユーロ売りがトレンド化するのかどうか、、、
ユーロ下落は欧州にとっては歓迎すべき流れ(特にドイツ)
トランプ大統領のEUは為替操作国だ、発言にみられるように
やややりすぎかな、、、ドイツにもうけさせてなるものか、
というトランプ大統領の不満がまたtweetされれば
ユーロは踏みあげられる可能性があるので、ちょっと怖いですね。
英国は今のところトランプ発言リスクが少ないので
ポンド売りの方がやや安心感あり。
ということで、先週ショートしたポンドドル継続。
*********************
トルコの長期休暇が終わります。
先週はトルコネタが一服していたおかげで、リスクオフムードも一服。
またトルコから何か材料が出てくるでしょうか・・・
トルコが動かぬ間、南アランド、ブラジルレアルが大きく下げた1週間でした。
NAFTA再交渉で米国とメキシコが進める2国間協議について、
トランプ米大統領は25日「まもなく合意する可能性がある」と表明してます。
ペソが決して弱くないのは、こうした背景もあってのことかな。
ペソ買いはありかもね。
注目指標は30日に発表される米PCEデフレータ(7月)。
予想は前年比+2.3%、同コア+2.0%と
それぞれ前月から0.1%ポイントの上昇予想。
人気ブログランキングへ
【人気ブログランキングへ登録しています。応援ありがとうございます。】
2018年8月27日月曜日
※本レポートにて豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。したがって銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、弊社の重要事項説明を十分にお読みいただき投資家ご自身の判断でなさるようにお願いします。
※また、本ブログ内にて提供される情報は豊トラスティ証券株式会社が信頼できると判断した情報源をもとに弊社が作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、豊トラスティ証券は保証せず、また、いかなる責任を持つものではありません。
※ブログ内容についてその表現や記述、データその他に関しましては、著作権法などの法令により保護されており、個人の方の私的使用目的以外での使用や他人への譲渡、販売コピーは認められていません(法律による例外規定は除きます。)。
以上の点をご了承の上、本ブログをご利用下さい。