2018年8月6日月曜日

米中貿易戦争は激化の一途。

中国政府が3日、600億ドル(約6兆7千億円)分の米国製品に
追加関税をかける新たな対抗措置を発表しました。

しかし、市場は意外と冷静。というか勝敗が目に見えているって感じ?!

貿易戦争、中国「弾切れ」近づく
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33819700U8A800C1EA2000/

①新たな対抗策を打ち出す余力がない中国の手詰まり感
~米国からの第3弾2000億ドルに対しわずか600億ドルで報復?

②600億の中で最大の25%の追加税率を適用する品目にLNG含む
~米国にとって中国はメキシコ、韓国に次ぐ3番目の輸出先ですが
 米国はすでに欧州に大量輸出で合意しています。

トランプ大統領:欧州は米国産LNGを「大量」購入へ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-26/PCG6DE6TTDS001

トランプ大統領、すでに欧州ユンケル大統領と大豆の契約でも
話をつけていましたね。

米・EU、貿易障壁削減へ交渉開始で合意 新たな関税棚上げ
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-eu-announcement-idJPKBN1KF2ZB
~「EUはほぼ直ちに多くの大豆を輸入する」

米国は中国がLNGを含めた報復に出る可能性に対して先手を打っていた、
ということですね。中国はそれでも、LNGを含めないと報復の手段がない
ということが明らかになったわけです。

LNGは長期契約が主で、現物市場での売買はあまり玉が多くない、、、
とされていますので、中国は米国からの他国へ契約先を変えようと思っても
足下でその分の全てをスイッチするのは難しいと思うんですけど、、、
短期的には中国が米国からの輸入していた分を、かき集めようと動くなら
LNG価格は急騰する可能性がありますし、原油価格も上がってしまう可能性が。

中国がその分を石炭など別のエネルギーに変えるなら、石炭が上がるかも。
大気汚染問題対策として、石炭からLNGシフトを推進してきたはずですが。。。
2017年、中国のLNG輸入は前年比38%増となっていました。

もし、この仮説通りに中国はLNG不足分を石炭にシフトするなら、
石炭価格が上がるというだけでなく、石炭輸出国が潤う可能性が?!

石炭輸出量トップはインドネシア、2位がオーストラリア
次いでロシア、米国です。
中国を助ける形での貿易増となるなら、豪ドルは中期的に買いかも・・・
なんてね。風が吹けば桶屋が儲かる的妄想ですが。
中国貿易摩擦の影響で豪ドル売り、と豪ドルを売っていいものか悩みますね、
話はそう単純ではないです。
国民生活維持のために、どうしても買わなくてはいけない資源もあるわけで
米国からそれを買わないなら、どこか別のところから調達する可能性がある、
ということでもあるわけです。

しかも今、人民元安でしょ、中国の購買力は低下しています。
人民元安については米国からも非難されていましたが、さすがに
中国人民銀行(中央銀行)は3日、
将来に人民元を売って外貨を買う約束である為替予約について、
残高の20%を「危険準備金」として人民銀に預けるよう義務づける措置を発表。

中国人民銀、人民元下落に歯止め-為替フォワードに準備金20%要求
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-03/PCVZZK6KLVR501

貿易戦争が勃発してから中国は人民元安を放置してきましたが、
(関税分元安にすればチャラ理論?!)
あまりに元安が進めば、中国からの資金流出も増えていきます。
それに、輸入せざるを得ない品目もあるわけですから、
購買力低下も問題となってきますよね。
国内の物価上昇が、国民の不満を高めるリスクもあります。

墨汁革命など、国内の不満噴出を抑え込むのも大変なようですし、、、。

興味深いのが、週末金曜のNY市場では、中国が米国に報復措置を
発表するなど、米中貿易摩擦激化となるなか、米株が上昇したこと。

S&P500は5週続伸ですよ。

雇用統計はさえなかったのに、、、ですよ。

米雇用者数:7月は15.7万人増、予想下回る-平均時給2.7%増
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-03/PCVXNP6S972K01
※ダウ、S&P500,ナスダック、日経日足


貿易と関税に関する米国と中国との対話が高レベルで
一部再開したとのクドロー米国家経済会議(NEC)委員長の発言があった、
と報道されていますが、
市場は米国の勝利と楽観しているとうことでしょうか。
ちなみに中国株は下落が止まりません・・・・。
景気支援のための政策パッケージを発表したんですけどね。

※上海総合指数 こりゃあきまへんな・・・

おかげで日本株の時価総額が再び世界2位の座に返り咲いたそうよ。


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-03/PCV6TP6JTSE901

長くつらつらと思いつきで書きましたが、
ドル円相場、ここから買う材料があまり見当たりません。

日銀は7月会合で、フォワードガイダンス導入によって
緩和策修正による円高不安を巧みに回避したかに見えましたが、
米金利が上がっていかないことには、金利差拡大からのドル買い期待は
膨らんでいかないと思われます。。。。

米長期債は膠着、上がらないんですよ、全然。

※米10年債利回り

ドル円が常に日米金利差に連動するわけじゃないんですけどね。
米金利が上がってくれた方が、ドル買い意欲は旺盛になることは事実。

じゃあ、なぜ米長期金利が上がらないか、というと
将来の金利上昇を先に織り込み過ぎて、先物市場で米債ショートが
積み上がってしまっており、これが重石。これが買い戻される過程では
金利は低下してしまうわけですので、上がりにくい構造。

最新の31日火曜時点のポジションはネットで590,128枚の売り越し。
売り越し幅は前週と比べ80,630枚拡大。
投機筋はさらに米国債先物の買いを減らし、売りを増やしています。
これ、過去最大じゃないのかな?

米金利が上がっても、ドル円がこれに連れて上がるとは限らないのですが
米金利が下がれば、結構素直にドル円がこれに連れて下がる気がします・・。

特に8月は円高になりやすい月ですからね。

8月円高の経験則、過去20年で14回 米のドル高けん制警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33590320Q8A730C1EN2000/

また8月にはFFR、日米通商交渉もスタート。
これも決して円安ドル高要因ではありません。円高圧力が高まります…。

ということで、8月相場は、ドル円相場の戻り売り狙いかな。

*******************

それから先週はユーロドルも下落基調を強めました。
これ、イタリアのせいかも。

イタリアは2019年予算の枠組みを9月にも公表するようですが、
イタリア連立与党内にはEUの財政規律を超えて歳出を増やそうとする
動きがあるようです。サルビーニ副首相なんかがそうみたいね。

トリア経済・財務相がこうした圧力により辞任に追い込まれる可能性が
あるのではないか、という懸念がイタリア国債の売りにつながっているようで
イタリア10年債利回りが上昇しています。

3日金曜、イタリア2年債と5年債利回りは一時ともに25bp上昇、
それぞれ1.36%と2.39%と8週間ぶりの高水準を付けた他、
10年債利回りは6月初旬以来初めて3.1%を上回っています。

トリア財務相がもし辞任に追い込まれれば連立政権は崩壊し、
再選挙が実施される可能性があるとの指摘もあるようです。

イタリア国債って、日本の機関投資家もかなり保有しているとみられます。

日本の機関投資家勢は、金融庁から米債投資の損失での指導があった際、
米債投資の損切をして、欧州債投資に切り替えた時期があるんですよね、、。

これが、ユーロドルが今年の1月から4月に高止まりしていた背景では
ないか、との指摘もあります。日本勢の買いでユーロドル相場は
高かった可能性があるんだけど、これもまた、損切させられるんじゃないか
って懸念が出てきました。日本勢がイタリア国債の下落に耐えかねて
売却に動けば、イタリア国債利回りはさらに上昇しますし、
ユーロドル相場はさらに下落する可能性がある、ってことです。

しかし、逆にイタリアは大きすぎてつぶせない、つぶれないという見方から
イタリア国債利回りが上がれば日本勢がさらに買い増しする可能性も。

6月の記事ですが参考までに

欧州周縁国債になお強気の日本投資家、先月の下落は過剰反応との声も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-20/PALEZK6KLVR601

日本勢がイタリア国債利回り上昇(国債価格は下落)でイタリア国債買いを
積極的に増やせばユーロ高です。さて、そんな逆張りができるでしょうか。

あるいはこんな動きもあるようですし、、、

イタリア「五つ星」創設者、ユーロ離脱問う国民投票実施を再度提案

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-27/PCJBPD6TTDS101

ここから先、イタリア国債の利回りに注意しておく必要がありそう。


※イタリア国債利回り、イールドカーブ
https://jp.investing.com/rates-bonds/italy-government-bonds
 直近が一番上のライン、全体的に上昇していますね。

イタリア利回り見ながら、ユーロも戻り売り狙いかな。
日本勢がこの時期にイタリア国債買いを増やすとは考えにくいので、、、
(個人的な意見ですが)

*****************
先週は英中銀が利上げを実施するもポンド下落です。

政策委員全員一致での利上げはややサプライズも、材料出尽くしかな。

次回利上げの見込みはないようで、これもポンド売り材料。
断続的に利上げできる環境にはないようです。

ということで、円高、ドル高ですね。

※通貨インデックス一覧

ということで、
金価格は日米ともにさえない展開が続きそう・・・・。
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