2018年9月10日月曜日

今回の8月分の雇用統計は、ジャクソンホール会合後に市場を覆った
米金利上昇スピード鈍化ムードを払拭するものとなりました。

パウエルFRB議長がインフレは加熱の兆候なし、と発言したことで
米国利上げがこれまで織り込まれてきた、年内あと2回、来年3回という予想から
来年は利上げ打ち止めとなるとの見方が台頭し始め、一部には12月の利上げも
場合によってはないという観測まで出始めていました。

しかし、8月の雇用統計で賃金上昇率(インフレ指標でもありますね)が
2009年6月以来の伸びとなったことで、そのムードが塗り替えられた感じ。

米雇用統計:8月は平均時給2.9%増に加速-雇用者数20.1万人増
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-07/PEOR056TTDSI01

賃金年率2.9%は、2009年6月以来の高さ 前月7月は2.7%増

今月9月の利上げはほぼ100%織り込まれていますが
12月利上げ織り込みが一気に77%にまで上昇。
※CME Fedウォッチ


これで、米金利が上昇しドル円が上昇、ユーロドルが下落しました。
ようするにドル高です。

※米10年債利回り上昇


※ドル円15分足 


しかし、その後トランプ発言でドル円は一気に上げ幅を削る行って来いの展開に。
その後、金利が下がらなかったことで下げ幅の半値ほどを取り戻して終了。

トランプ大統領:中国からの輸入、さらに2670億ドル相当に関税も(7日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-07/PEP1JI6K50XV01

中国からの輸入2670億ドル(約30兆円)相当に対して追加関税を賦課する用意があると表明した。既に表明済みの2000億ドル相当に追加されることになる。

ほぼ全輸入品に追加関税を課すことも辞さないという強硬姿勢。

→中国商務省もすでに、報復措置を講じる方針を発表。

米中貿易摩擦激化の様相。これは株式市場にとってはネガティブ。
米金利の急伸も米国株式にとってはネガティブ。

ということで、米株式相場、主要3指標はそろってマイナスでした。

*ダウ30種平均 25863.16 -132.71 
*ナスダック   7906.74 -15.99 
*S&P500     2869.61  -8.44 

困ったことに、逆イールドが一層近づいてきた印象。
米10年債、2年債利回りの差は0.234%まで縮小してます。
逆転したからといってすぐにリセッション入りするわけじゃないですが
縮小、逆転は市場の警戒材料ですね。

※米10年、2年債利回り比較チャート


米金利上昇という側面からは、週明けもドル買いが続きそうですが、
(株式市場にとっては良くはないですけど)
日本市場にはいよいよ始まるか、日米貿易交渉への懸念も。

トランプ大統領:日本は「大きな問題」に、米国との通商合意なければ(7日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-07/PEP3EX6JIJUO01

トランプ大統領は日本に対しても強硬姿勢で臨む構えであることが報じられました。
「(新しい)合意に達しなければ日本は大変な問題になると認識している」
ということで、厳しい交渉となることが予想されるわけですが、
雇用統計前、東京時間でのドル円下落はこの日米通商協議への懸念でしょうね。

交渉再開は総裁選の後、9月21日以降となるとみられます。
25日、日米首脳会談開催との情報も。

ということで、米金利上昇でドル買い圧力が強まるも
日米通商交渉への懸念とトランプ大統領の不規則発言リスクで
ドル円は上値が重く、、、、
結局はレンジなんじゃないかと思います(´・ω・`)


対ユーロではどうなんだろう、、、ユーロドルロング保有中ですが
今週はECB理事会ですね。特に政策変更はないとみられていますし、
ユーロが動くとも思えませんが、ユーロ圏は
ドイツリスクが改めて出てくるんじゃないかと思っています。

中国の海航集団、海外資産の大半を売却へ
https://jp.wsj.com/articles/SB11478742911179934606504584458620843710610

海航集団の王健会長は7月視察先のフランスで転落死するなど不穏なニュースも
ありましたが、ドイツ銀行の筆頭株主である海航集団が
ドイツ銀行の株を売るそうです。

このこと自体はユーロ売り元買いかな、と思いますが、
ドイツ銀行の株が下落しており、足下ではDAXの下落も著しいですね。

そして先週はこんなニュースも。

ドイツ銀、ユーロ・ストックス50指数から除外へ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-04/PEIVFC6JIJUU01
DAXではないのですがユーロストックス50指数からドイツ銀行株除外されるってよ。

くりっく株365で取引できるDAXですが、売りを狙おうと思います。
高値での見事な三尊形成中。ネックライン割れで大きく下がるリスク。

※DAX週足


DAX週足 教科書通り三尊のネックライン割れなら
真ん中の山と同じ高さ(値幅)の下落で9840くらいまで
下がる可能性があります。

ということで、DAXは戻り売り。
そうやすやすとネックラインが割れるとは思いませんので
揉みあいで反発する局面があるんじゃないかな・・・。

ドル金利上昇でユーロ下落のリスクはあるんですが
ドイツが崩れてくるとなると欧州系の金融機関はリスク回避で
対外投資のレパトリに動く可能性があるんじゃないか、という気もします。

その場合、欧州のレパトリですからユーロ高ですね。
対外投資が大きい国はリスク回避時に資産をキャッシュに替えるでしょ。
日本のドル円もそうですが、、、、

ということで、ユーロは米金利上昇という理由だけで
下落が続くとは思いませんので、2番底形成の下落があっても
切り返すんじゃないか、、、と考えています。希望的観測ですが💦

キウイドルショートは継続。

豪ドルが独歩安の様相を呈してきましたね。
これは中国リスクのあおりでしょう。
豪ドルショートの方が効率がよかったかもしれません。。。

今週の主な予定を見ると、13日㈭が欧州、英国、トルコの政策金利会合が。
今回はECBやBOEよりトルコに注目でしょうか。
インフレ率から見ても利上げ必須です。利上げするんじゃないかと思いますが
どの程度の幅の利上げなら市場が安心するのかまるで予想できません。
利上げでも失望される程度の利上げなら、トルコ売りの材料に。
エルドアン大統領の圧力で利上げがないなら、ドカンとトルコリラが下がります。
トルコリラの再下落はユーロの再下落のリスクかもしれません💦
また、利上げでトルコリラが上昇したら、トルコリラの絶好の売り場かな。

10日(月)
日本Q2GDP改定値(速報値+1.9%→+2.6%へ上方修正予想)
中国8月消費者物価指数
中国8月生産者物価指数
トルコGDP(第2四半期)
アトランタ連銀総裁、講演


11日(火)
独9月ZEW景況感指数
中露会談:習近平国家主席、プーチン大統領会談


12日(水)
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
セントルイス連銀総裁、講演
アップル、イベント開催
米8月生産者物価指数(PPI)
 (予想:前年比+3.2%/コア+2.7% * 前月比予想 +0.2%)
前年比は前々月の+3.4%から2か月連続での鈍化見込み


13日(木)
豪8月雇用統計

★トルコ中銀政策金利(利上げしないとまずいでしょ。)
★英中銀政策金利 (8月に0.25%引き上げ0.75%に。今回据え置き見込み)
★ECB政策金利、ドラギECB総裁記者会見

アトランタ連銀総裁、講演
米8月消費者物価指数(CPI)
(予想 前年比+2.8%(前月+2.9%)/コア予想+2.4%(前月+2.4%)


14日(金)
ロシア中銀政策金利
中国8月小売売上高
中国8月鉱工業生産

カーニー英中銀総裁、講演
シカゴ連銀総裁、講演
ボストン連銀総裁、講演
米8月小売売上高 (予想 前月比+0.6% 前月+0.5%)
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