2019年7月7日日曜日

先週7月第1週はドルが巻き返しに転じた1週間。

※通貨インデックス一覧

週明けに、米中首脳会談を受けて追加関税が見送られ
交渉再開とのG20の結果を受けてリスクオン。
株、ドルが上昇した流れを1週間継続しました。
先週は3日米3指標揃って史上最高値更新していますね。

そして週末金曜日、雇用統計を受けてドル高がさらに加速。

6月 米 雇用統計 
    NFP 22.4万人 予想 16.0万人 前回 7.2万人(7.5万人から修正)
    失業率  3.7 %  予想  3.6 %  前回 3.6%
    平均時給 0.2 %   予想   0.3 %  前回 0.3%(0.2%から修正)
 

雇用統計の数字がいいものだから、
7月FOMCで予防的に0.5%もの利下げをする、という期待が後退。
米長期債利回りが大きく跳ね上がりました。

※米10年債利回り  大引け 2.034(+0.084)


金利上昇→ドル高、、、ですね、素直に。
行き過ぎた金利低下の修正が来そうな予感。

ただし、株式市場は下落。
利下げ期待後退から手じまい売りが膨らんだと見えます。

※ダウ平均   26922.12(-43.88 -0.16%)


ただし、CME FedWatchでは0.25%の利下げは95%織り込まれたまま。
一転株を売りに回るほどのショックではありません。
そもそも数字がいいわけですし。
ダウ平均は再び最高値更新を伺う可能性は十分にあると思います。

ただし、今週はパウエルFRB議長による議会証言に気をつけないと。。

※米国では旧ハンフリーホーキンズ法の規定により半期に一度(通常2月と7月)
FRB議長が議会に対し金融政策の報告書と答弁を行います。
今年は7月10日に下院、11日に上院で実施されます。

トランプ大統領からの圧力強まる中、どのような内容となるのかが注目。
事によってはドルが大きく動くリスクとなります。

また、4-6月期の業績相場がスタートしますが、
業績が悪ければ株価は崩落するとの見方がある中で
業績がそれほど悪くないということになれば、踏み上げ上昇加速となる可能性も。
日経平均ロング保有中ですが、これは継続中です。

豪ドル円ロングはまだ継続、、、、
株高が継続し、リスクオン基調が続くなら豪ドル円は上がるとみているのですが
先週は、ドル独歩高の様相となるなか、ユーロはじめ豪ドルもドルに対して下落、
結果クロス円はさえない展開でした。
株高が続けばクロス円もドル円上昇につれて上昇すると期待したいところ。

ユーロショートも継続です。

※ユーロドル 

やはり6月中旬以降のユーロ高は半期末レパトリの影響があったのでは。
7月に入ってからユーロ上昇の勢いが鈍り、結局下げてきました。

金がさらに下がることがあれば、ユーロドルはまだ下方向かと思っています。
米株がさらに史上最高値を更新し上昇できれば金の調整は大きくなりそうですので
ユーロドルショートでいいんじゃないかと。

※ゴールド 短期 Wトップに見えないこともない

米金利はじめ世界の長期金利はずいぶん下がりました。。。
債券バブルでもありますね、これが修正される過程で株高、金安があるかも。

ということで、短期的にはプチバブルの様相を呈するんじゃないか
とみているのですがリスク要因がないわけじゃありません。

①短期リスク:トルコ中銀総裁が更迭
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47045440W9A700C1NNE000/

超短期的な材料ですが、
6日㈯にトルコの中央銀行総裁が更迭されました。任期途中の異例の更迭です。

~中銀は2018年夏の通貨危機以来、通貨リラの防衛のために高金利を維持してきた。景気浮揚を優先するエルドアン氏は中銀に利下げ圧力をかけていたが、中銀は6月の金融政策決定会合まで6会合連続で主要な政策金利を年24%に据え置いた。次回会合は7月25日に開く。
ということで、エルドアン大統領の圧力でトルコが利下げする可能性が出てきた。
5日終値は1ドル=5.62リラと6月初めから約3.8%上昇しているトルコリラ。
リラ円は日本勢の買いが大きいので、今週週明けにトルコリラが急落し
これに連れてドル円、クロス円が急落するリスクはゼロではありません。

ただし、ドル円、クロス円がトルコリラショックで下落しても
急落は一時的なもので終わり、買い場になると思っていますが、、、。

②中長期リスク:ウラン濃縮度引き上げ=イラン、核合意再び違反
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019070700271&g=int

イランは7日、2015年に欧米など主要6カ国と結んだ核合意で
3.67%以下と規定されたウラン濃縮度の上限を無視し、
引き上げると発表しました。

国際原子力機関(IAEA)が1日に確認した低濃縮ウランの貯蔵量超過に続き、
深刻な合意違反です。

これはイランが米制裁に不満を持っている、という警告。
米国のイラン核合意からの離脱で強力な米制裁が復活しています。
イランは、状況が改善されなければ
60日後に義務履行停止の範囲をさらに広げるとしています。

これを欧米諸国が看過できるとは思えません。
トランプ政権はイランへの軍事攻撃も排除しない構えもみせていますが、
このイランのウラン濃縮規定違反に米国がどう出てくるか、、、、
軍事衝突リスクも否定できません。
その場合は金市場もあまり下がらないかもしれませんね。

中東の地政学リスクの高まりは原油市況にも影響を及ぼします。
足下ではOPECプラスの減産延長合意でも
景気の先行きへの懸念が強く原油は上値重く推移していましたが、
時期的には米国のドライブシーズンにも差し掛かってきましたので
原油価格上昇の可能性が強まってくるんじゃないかという気がします。
テクニカル的にも。

※WTI原油


※ウラン濃縮とは、核分裂を起こしやすいウラン235の濃縮度を高める作業。
濃縮の度合いによっては、核兵器の開発が可能。

欧米諸国は、軍事目的の疑いがあるとして、イランに経済制裁を科し
2015年に欧米など関係6か国とイランの間で核合意が結ばれました。

イラン側は、15年間にわたって3.67%以下に抑えることが義務づけられています。

イランの原子力庁の報道官は、濃縮度は当面、5%程度にとどめることを示唆。
5%程度の濃縮度は、原子力発電所の燃料として使うのに十分ですが
核兵器に使用するには、90%以上の濃縮度が必要。
イラン核合意の前には医療用として20%濃縮のウランを保有していました。
ちなみに、3・67%から90%まで濃縮するには1年以上かかる計算。


③日本、韓国への輸出規制

半導体製造などに欠かせないレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドなど
化学製品を対象に日本政府が発動する韓国への輸出規制強化策によって
韓国の半導体メーカーと取引がある日本企業や世界のサプライチェーンに
マイナスの影響が及ぶと指摘されています。

韓国は報復に出るとも報じられていますが、日本製品の不買運動なども
両国の経済を冷やすリスクですね。

輸出規制は短期に終わるとの楽観もあるようですが
これは安全保障上の問題であるようですので、長期化するとみた方がよさそう。

小野寺五典前防衛大臣がPRIME NEWSのTVで

「今までウラン濃縮素材について韓国企業が“100欲しい”と言ったら
100を渡していた。しかし工業製品に使うのは70位で
残りを何に使うか韓国は返答しなかったので、必要な量を渡すために規制した」

「世界は大量破壊兵器が広まらないように制限している。
半導体素材のフッ化ポリイミドは戦闘機・レジストは
レーダー・フッ化水素はVX・サリン・ウラン濃縮過程の素材。
日本はシェアが高いので輸入も管理してる。
信用出来ない韓国は厳格管理対象となったが禁輸ではない」と発言。

また、萩生田光一幹事長代行は
「(化学物質の)行き先が分からないような事案が見つかっているわけだから、
こうしたことに対して措置をとるのは当然だと思う」と述べています。

FNN PRIMEは 与党幹部の話として、
今回の軍事転用可能な物品が北朝鮮に渡っている懸念があるとの
見方を示したと報じています。
https://www.fnn.jp/posts/00420354CX/201907051857_CX_CX

つまり、日本の化学製品が韓国から他国へ(北朝鮮やイラン)へ
流れている恐れがあることを明らかにしているのです。

イランのウラン濃縮の動きも関係がないとは言い切れません。

イランと韓国、原油の「物々交換」取引で合意 制裁の回避図る
https://www.afpbb.com/articles/-/3200165
となれば、このタイミングでの韓国への輸出規制は米国など欧米諸国と
擦り合わせて実施している可能性があり、
日本だけの判断で動いている事案ではないかもしれないということね。
つまり、短期に終わるなどということはない。

これは経済的には良い事態ではありません。

ということで、世界の地政学は大きく変化し、その過程においての
軍事衝突リスクも低くありません。

短期的にはリスクテイク方向にポジションを取っていますが
早ければ7~8月にはすべて手仕舞い、
リスクに備える必要があると考えています。

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今週の予定

8日(月)

地域経済報告(7月)
黒田日銀総裁、挨拶
ユーロ圏財務相会合

9日(火)

EU財務相理事会
アトランタ連銀総裁、講演
セントルイス連銀総裁、講演
クオールズFRB副議長、講演

10日(水)
中国消費者物価指数(6月)
中国生産者物価指数(6月)
FOMC議事録(6月18-19日開催分)
セントルイス連銀総裁、講演
パウエルFRB議長、下院金融委員会で半年に一度の議会証言

11日(木)

米財政収支(6月)
米消費者物価指数(6月)
ECB議事録(6月5-6日開催分)
OPEC月報
パウエルFRB議長、上院銀行委員会で証言
クオールズFRB副議長、講演
NY連銀総裁、講演
アトランタ連銀総裁、講演
リッチモンド連銀総裁、講演
ミネアポリス連銀総裁、講演

12日(金)
中国貿易収支(6月)
米生産者物価指数(6月)

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