この週末(9/14)、サウジアラビアの世界最大規模の石油施設が攻撃され、
石油生産障害への懸念が浮上、週明けは原油価格が急騰しています。
攻撃されたのはサウジ東部ダーランから約60キロ離れたアブカイクにある
世界最大規模の石油施設と、首都リヤド東方のクライス油田。
サウジアラビアの8月の原油生産量は日量985万バレル、世界の10%に相当します。
世界最大の輸出国でもあり、日量700万バレルあまりの石油を各国に輸出、
今回の攻撃で570万バレルもの生産が停止したと報じられています。
世界供給分の5%に該当するとも報じられ、週明けのマーケットへの
影響が懸念されていましたが、、、
週明け、WTI原油は15%、北海ブレントは19%もの急騰となりました。
※上段WTI原油、下段ブレント原油
WTI原油は三角持ち合いを上方ブレイクしたように見えますが
ブレント原油は、、、
ひげとなって持ち合いを抜けることが出来ないようにも見えます。
持ち合いを抜ければ原油高が加速、
これが他市場に影響を及ぼす可能性もありますが、
さて、原油の本格上昇となるでしょうか。
米国へシェール生産企業も多く、これらの企業は社債を発行して
資金調達していることから、原油高は米株高という相関性が
強かったりするんですが、足下では、米中貿易摩擦はじめ
世界の景気後退懸念が石油需要の鈍化懸念につながり
原油価格は上値が重い中、米株は低金利をバックに自社株買いが旺盛で
上昇するという逆相関関係になっていたりします。
需要が旺盛なあまり、供給が不足するという需給構想による原油高は
景気がいいのですから株高につながりますが、
今回のような有事による生産障害による供給不足での原油高は
株式市場にとって良いワケがありません。
ということで、今夜のダウは100ドルほど下落しています。
とはいえ、8営業日も続伸した後ですので、100ドル程度の下落は
単なる調整に見えますね。。。
先週金曜までの8日続伸で過去最高値(7/15 27359ドル)まで
わずか140ドルに迫っておりました。
ここを抜ければ強い相場ですが、抵抗にあうレベルでもあります。
※ダウ平均
株価の様子を見る限り、サウジのニュースでマクロマーケットが
激しく動揺しているようには見えません。
恐怖指数もほら・・・。上がってない。
※VIX指数
複数の欧米メディアは、生産能力が完全に復旧するには数週間程度かかる
可能性があるとの報じていますが、サウジにも備蓄がありますし、
米国トランプ大統領もすかさずSPR戦略石油備蓄の放出の用意があることを
表明しており、(SPR=米国の1ヵ月の石油消費分相当、6億4500万バレル備蓄)
すぐさまオイルショックのような供給難に陥ることはありませんので…。
ただ米中貿易摩擦の緩和、英国合意なき離脱の可能性の後退への
期待のが高まりから、先週までに世界の株価は相当に戻りを入れましたし、
ドル/円相場も円高論が台頭していたわりには108円台までドル高円安が進行、
短期的には過熱感もあったため、
このサウジのニュースきっかけで、調整入りとなる可能性が大きいと思われます。
日経平均なんか9/13金曜まで9日続伸です。2年ぶりの記録ですよ。
ということで、日経平均CFDを21974円でショートしてみた。。。
短期目線です。
※くりっく株365CFD日足
為替ではドル高になっているようなのでドル円を売るのは止めて
NZドル/円を68.75円でショートしています。
先週までのリスクオンでクロス円が上昇しましたよね。
だから、クロス円が調整局面入りすると思うんだけど、
豪ドル円は、、、株価がもし大きく崩れだすと
トランプ大統領が米中関係で前向きなTweetをするかもしれない、、、
と考えると中国のプロキシー通貨である豪ドルショートは
ちょっと避けておこうかな、ということでNZドル/円。
※クロス円日足チャート一覧
そして先週のECB理事会後に買い直した
ユーロ円とユーロドルですが…
119.02円で再エントリーしたユーロ円
先週末金曜は119.72円で引けたのに、
サウジのニュースで118.98円くらいまで窓を開けて急落😞
コストにストップ置いてあるので、まさかの週明け損切HIT
それほど大きな損じゃないけど、なんかショック・・・・。
1.1041ドルで買ったユーロ/ドルは
1.1074ドルでカット。ちょっとだけ利食い。
これでユーロ円の損はカバーできていますが、
なんだか残念な結果・・・。
9月ECB理事会は利下げ+QE再開、しかもオープンエンド(無制限)と
満額回答、それなのに、反発上昇していたので
ユーロ下落は材料出尽くしで終了かと思ったのですが、
有事はドルが選択されるということか、週明けはドル独歩高です。
※通貨インデックス一覧
今日上がってるのはドルだけですね。
今日今のところの資金の動きは株から債券へ。
米債が選択されて、先週まで急反発してきた米長期債利回りも
今日は低下傾向にあります。何か世界に異変が起きたら
もっとも流動性が高い米債が安全資産なわけですよ。
これも、サウジのニュースがあったから、というには地味な動きですので
それをきっかけに多少利食いが出ているという程度に見えますが・・・。
というわけでポンドドル1.2320ドルロングは
先週1.2504ドルまで上昇したのですが
今日1.2399ドルまで下落してきています。まだ利が乗ってます。
全般有事のドル買いのようになっていますが
ポンドドルのチャートはまだまだ上がりそうですし、
ブレグジット関連のニュースはポンドに及ぼす影響が大きいので
合意なき離脱を封じ込められた現状においてはポンドはまだ上がるかも、、、
ということで、ポンドロングは継続です。
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サウジですが、このタイミングでの石油施設攻撃って
いろいろと都合がいいよね、って指摘も多いです。
9月3日
サウジアラビアはファリハ・エネルギー相を国営石油会社サウジアラムコの会長職から外しました。
アラムコのIPOを巡っては、東証が選ばれる?!なんてニュースもありましたが
それは海外上場の話で、まずサウジ国内でプライマリー上場を行います。
アラムコのIPOは、調達金額1000億ドルとも言われていますが
年内(おそらく11月)にサウジ国内で1%の株式、
来年にさらに1%を上場予定。
アラムコ上場に際していえば、原油価格は高ければ高いほどいい。
サウジアラビアの国有石油会社で保有原油埋蔵量、原油生産量、
原油輸出量は世界最大。原油価格が安いと価値が下がります。
なぜ9/3にファリハ氏をアラムコ会長職から外したのでしょう?!
9月7日
サウジアラビアのサルマン国王は、ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相を解任。
アラムコ会長職だけでなく、エネルギー相も解任しちゃった。
後任にムハンマド皇太子の異母兄であるアブドゥルアジズ・ビン・サルマン王子を任命。
ファリハ氏はこの3年間、OPECの外交の顔の役割を果たしてきましたが。
9月10日
トランプ大統領、ボルトン大統領補佐官解任。
~トランプ大統領が対イラン制裁緩和検討
→ 原油急落
トランプ大統領はイランのハッサン・ロウハニ大統領との会談を望んでいる模様。
9月14日
サウジアラムコの石油施設2カ所が攻撃受ける。
・フーシ派から犯行声明出される。
フーシ派=イラン革命防衛隊の支援を受けるイエメンのイスラム教シーア派武装組織
・米ポンペオ国務長官
「イエメンからの攻撃だという証拠はない」
「イランが世界のエネルギー供給に大規模な攻撃を仕掛けた」
米国はイランの関与だと断定?!
・トランプ大統領
「われわれは犯人を知っている。そう信じる理由がある。検証次第では臨戦態勢だが、サウジ側が誰の犯行とみているかの見解を待っている」
トランプ大統領はイランとは断定していませんが、臨戦態勢と発言。
ただし、以前ロウハニ大統領との会談を望んでいると報じられています。
9月16日
イラン大統領、トランプ氏との会談予定なしと外務省報道
原油高を演出したいサウジの自演説もあるようですが
たしかにアラムコ会長でありエネルギー相であったファリハ氏を解任し
後任に、身内を据えた直後の出来事。
米国側もボルトン大統領補佐官を解任した直後です。
なんか、、、、タイミングが、、、
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2019年9月17日火曜日
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