2021年3月7日日曜日

 米長期金利の上昇が市場の最大の関心を集めていますが、
先週3月5日金曜には今年の最高値を示現。瞬間1.622%をつけました。

コロナ前の水準に戻ってきたとも言えるわけですが、
コロナ前と現在では市場を取り巻く環境が激変しているわけで
単純比較はできませんがワクチン接種で世界が正常化に向かうなら、
そろそろ金融緩和と財政支出の拡大路線は
終りを迎えるだろうという思惑が広がりつつあるようです。

週末、金利を上昇させる要因が3つほどありました。

①インフレへの警戒~原油一段高

OPECプラス減産、4月もほぼ維持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR04E9D0U1A300C2000000/
・ロシア日量13万バレル、カザフスタン日量2万バレルの減産縮小を認めるも
  サウジアラビアが日量100万バレルの独自の追加減産を4月も続ける。
  過剰在庫の取り崩しが進むとの見方が広がった。
・OPECプラスは3月、合わせて日量705万バレルの減産に取り組んでいる。
 毎月段階的に減産幅を縮めており4月は50万バレル縮小するとの観測が出ていた。
・5月の協調減産については4月に協議する。

原油価格が上昇してきたので、減産枠を縮小するのでは(実質増産)
という見方がありましたが、まさかの減産枠維持。

原油高でも米シェール生産はもとには戻らない中、
再び価格決定権はOPECに戻ったかのようです💦

原油が上がればインフレの警戒が強まりますね。
5年間のインフレ期待を示すBEIは一時2.5%を超え、
2008年以来の水準を付けたました。


10年のインフレ期待より5年のインフレ期待のほうが高い。
5年BEIと10年BEIのスプレッドは0.21%にもなります。
リーマンショック前の水準を上回り過去最大の水準まで拡大してます。
つまり5年後のインフレ警戒は高まっているが10年先はそうでもない、
ということです。あんまりよろしくない。

②インフレ警戒~雇用統計・ISMなどの景気指標好結果

米雇用統計(2月)NFP 37.9万人(予想20万人 前回16.6万人(4.9万人から修正))
         失業率 6.2%(予想6.3% 前回 6.3%(失業率)
ISM製造業景況指数(2月)60.8 (予想:58.9、1月:58.7)
        ・2004年5月以降の高水準となった2018年2月に並んだ。
建設支出(1月)前月比+1.7%(予想:+0.8%、12月:+1.1%←+1.0%)

景気指標が絶好調、となってくると
景気が加熱しないように、と早期引き締め観測が高まります。

◆ただし、ISM非製造業景況指数(2月)55.3(予想:58.7、1月:58.7)
 サービス業野橋共感が予想外の低下隣、コレが金利上昇を抑える材料に。

③バイデン政権1.9 兆ドルの追加経済対策、上院も通過

・法案を一部修正したため、9日から下院で再審議して14日までに成立する見通し
(14日は失業保険の上乗せ措置の失効期限)
・共和党は出席した全49議員が反対に回ったものの民主党50議席の賛成で通過。

これで再び家計に現金給付、一人あたり1400ドルが配られます。
(20年3月1200ドル、12月600ドル、そして今回1400ドル!!合計3200ドル)

・20年3月以降、米政権・議会は既に4回の財政出動
財政出動は合計で6兆ドル弱となり、過去例のない巨額経済対策となる。

財政拡張で金利上昇。

こうした金利上昇にFRBはどう対処するか、という点が注目されていますが
パウエル議長は先週のインタビューで何のヒントも示しませんでした。
「インフレや雇用を巡り目標に程遠い」
「根深い低インフレが速やかに解消される可能性は少ない」と主張しており
インフレを警戒していません。
つまり足元の金利上昇を容認しているということです。

ではコロナ前の水準までの金利上昇で何が困るのか。
それは低金利下で上昇してきたグロース銘柄の手仕舞いでしょう。
一方でバリュー銘柄にとっては悪くないという考え方も。

つまり、ナスダックはトップアウトするが、ダウは上昇を続ける・・・・
さてどうなるでしょうか。

そして、先週は日本の長期金利にも上昇圧力が強まりました。
コレを受けて市場では、日銀が3月の会合で、YCCの変動容認幅を
現在の±0.2%から0.3%へと拡大するのでは、という憶測が浮上。

世界の長期金利が上昇していく中で、日本の金利だけを
ゼロ近傍にずっと固定し続ければ、金利差が拡大していくよね、、、
コレを放置していいの・・・・?
ということですが黒田総裁、「いいんです」との答え。

日銀の黒田総裁は5日の衆院財務金融委員会で、
長期金利について、「変動幅を拡大する必要があるとは考えていない」
との見解を示しました。コレを受けて日本の長期金利は急低下。
(とはいえミクロの決死圏ですが)

バンド幅を拡大することは、金利上昇局面では国債の買い入れ量を減らす、
ということですから市場に引き締めと受け止められるリスクがあるので当然かと。
ここで引き締めと捉えられるようなことをして、コレまでの緩和政策を台無しに
するわけがないということですが、
これで、日本のゼロ金利固定は強固なものだと示されたわけで、
米国の金利上昇は容認されているようですから、
ドル円が上がらないわけがない、という結論に至ります。

ということでドル円ロングは継続です。

大変小さな違いではありますが、金融政策のスタンスの違いが明らかと
なってきたわけですから、これが続くなら本格的なドル円上昇相場にはいった、
と考えていいと思います。

※ドル円月足

2015年からのドル円の高値を結んだレジスタンスを超えられれば
125円を目指すのでは?パウエルさんと黒田さんが宗旨変えしなければ、ですが。

ということで、ドル円上昇を軸に、クロス円も強気です。

ドル円105.14円L
ユーロ円128.86円L
ポンド円148.58円L
豪ドル円82.45円L

カナダ円が最もパフォーマンスがいいのは
原油高があるかな、、、、持ってなーい。

今週はインフレの兆候を確認する
米消費者物価指数(CPI・2月)に注目(10日)

また、日米の金利に対するスタンスが見えてきたところで
欧州はどうなのか?
11日にECB理事会に注目です。

まあ、ドイツの金利はまだマイナスなんですが、
マイナス圏にある中でも上昇してきました。
イタリアなんかもね。

※世界の長期金利推移 日本だけ黒田発言を受けて下向きに。

豪州は、金利上昇を抑えるため長期債購入を強化中。
スタンスとしては金利上昇は容認できない、ということです。
ただし、日本との金利差は大きいですから、円売り豪ドル買いは続くでしょう。
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今週の主な予定
■3/8(月)
2月景気ウォッチャー調査(14:00)

■9(火)
1月家計調査(8:30)
1月毎月勤労統計調査(8:30)
10-12月期 GDP 確報値(8:50)
2月マネーストック(8:50)
OECD 経済見通し

■10(水)
中国 2月消費者物価
中国 2月生産者物価(10:30)
米 2月消費者物価(22:30)

■11(木)
2月国内企業物価指数(8:50)
2月都心オフィス空室率(13:00)
東日本大震災から 10 年
ECB 定例理事会(ラガルド総裁会見)

■12(金)
1-3月期法人企業景気予測調査(8:50)
メジャーSQ 算出日
インド 2月消費者物価指数(21:00)
米 2月生産者物価(22:30)
米 3月ミシガン大学消費者マインド指数(13日 0:00)

14(日)
米、現行の失業保険の追加給付など経済対策が失効
米国が夏時間入り
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