2021年11月8日月曜日

 11月に入って、世界の長短金利が低下傾向に。
特に先週はBOE会合で英国が利上げしなかったことが
トリガーとなっているようです。

世界の金利の上昇に弾みがついたのは
9月22日のFOMCではっきりとテーパリングが正当化され、
11月FOMCでその道筋が示されることが見えてきたところからでした。

その後英国の11月の利上げ観測が急速に高まり、
10月RBNZ(NZ中銀)会合ではNZの7年ぶりの利上げが決定されます。
10月27日には事前告知もなくRBA(豪州中銀)がYCC介入を停止したことから
豪州金利が急騰、これにつれる形で世界の金利も一段高となりました。

こうした流れの中で、世界の中央銀行の利上げが矢継ぎ早に決められるのでは?
という思惑が市場に蔓延したことが11月までの金利上昇の背景でしたが、
実際には、

11/2 RBA YCC廃止を決めるも利上げには慎重スタンス
     ※ただし「24年まで利上げせず」の文言削除し
                     「忍耐強くなる準備がある」に変更
     
11/3 FOMC テーパリング11月開始決定(市場には完全に織り込まれていた)
     ※ただし物価上昇は一時的としつつ表現を微修正
      市場は22年後半の利上げを織り込む

11/4 BOE 金利据え置き(市場の利上げ織り込み50%)
     ※ただし今後数ヵ月で利上げの必要あるとの声明
     

と、主要先進国の金融政策が出揃い、金利が前のめりになるほどの
タカ派的結果ではなかった、、、
ということでの修正が入っていると考えられます。

※主要国短期債利回り一覧

そして週末の米雇用統計。
前回10月に発表された9月分は予想より大きく悪かったのに
翌週からドルがどんどん上がっていったことが記憶に新しいですが
今回発表された10月分は予想を上回る内容。
ところが金利は低下圧力が強く、ドル安で週末を終えています。

※雇用統計NFP(非農業部門雇用者数推移)

予想より数字がいいのに、なぜ金利が低下するのか?
先週同時に発表されたこのニュースも関係あるかしら。

米下院、1兆ドルのインフラ投資法案を可決
大統領署名で成立へ
https://jp.wsj.com/articles/house-approves-1-trillion-infrastructure-bill-sending-to-bidens-desk-11636172798
・過去数十年ぶりとなる約1兆ドル(113兆円)規模インフラ包括法案可決
~大統領署名で成立へ
▽道路・橋に1100億ドル
▽電力インフラに730億ドル
▽鉄道に660億ドル
▽高速通信網に650億ドル
▽水道に550億ドル――など幅広いインフラ整備・約5500億ドル分は新規投資

新たに財政支出が決まったわけですから、金利上昇要因に見えますが
もう一つの柱である気候変動・社会保障対策に10年間で総額1.75兆ドルを投じる
大型歳出法案は与党・民主党内の意見集約ができず
採決を11月後半に先送りすることに。

今回可決は 1兆ドルですね。
そもそもバイデン政権が目指しているのは3.5兆ドル規模の歳出法案。

米民主党、3.5兆ドル支出案の規模縮小で「2つの選択肢」
https://jp.wsj.com/articles/democrats-weigh-cutting-programs-or-reducing-scope-to-trim-3-5-trillion-bill-11633304290

雇用統計の数字がよくて、財政支援の必要性が低下したために金利が低下したのか、
歳出法案の規模が大きくないことから金利が低下したのかは定かではありませんが
ともかく重要イベントが去って、金利上昇が一服したことを考えると
世界の利上げ織り込みもひとまず一服した(短期的に)とみられ
ドル/円相場の115円達成は、少し先になりそうな気配。

米金利だけ見てもこの低下。。。

※米国債利回り一覧

ドル/円相場、調整入りするかも知れませんね。
ドル円を113.59円でショートしてみました。

中長期では、金融政策の転換が最も遅いだろうと考えられる日本の円売りは
続くと考えているため、調整狙いでの円買いです。
どこかで買い戻してドル円ロングにするつもり。

豪ドルをショートしていますが、こちらも基本ドル円と同じ考えですが、
鉄鉱石下落が及ぼす影響を見極めないことには・・・。

※鉄鉱石

コモディティインデックスである ダウジョーンズコモディティ指数も
どうも上値が重くなってきました。


金利が低下し、ドル安となるならコモディティは上がるはずですが
石炭が中国政府の介入の影響で急落しているほか
大豆などの農産物も上値が重い。

※石炭先物

※大豆

言わずもがな、大豆の最大輸入国は中国です。

ここで銅価格に注目。
200SMAがサポートする格好で高値圏でもみ合いとなっていますが
200SMAを割り込みこの高値圏のレンジを下抜けるようなら
中国景気後退によるコモディティ価格下落の影響は大きく
世界経済への影響も無視できなくなると思われます。。
ただ、元来米金利低下(ドル高)はコモディティ高につながりますので
週明けからコモディティ市況が反発してくる可能性はありますが。。。

※銅先物

ただし
株式市場は金利上昇一服を材料に年末までのラリーに入っている可能性が高く
実際に株式相場がそれを織り込むのは年明けかもしれません。
11月からは米国株市場では自社株買いが旺盛となるという指摘が。
GSリサーチはQ4に2300億ドル規模の自社株買いがある可能性を予想。

株式市場を見ていると、ここまでの市況関連銘柄からふたたびテック系銘柄に
注目が集まり出しているような気配。。。
金利が低下してきた、という側面からナスダック総合が元気だというだけではなく
SOX指数、いわゆる半導体関連銘柄が強い。

これはFBが社名を「メタ・プラットフォームズ」に変更した、ということが
象徴しているものと思われ、「メタバース(巨大な仮想空間)」関連企業銘柄が
物色されているんじゃないかと・・・
半導体のエヌビディアなんかもそうですね。

※SOX指数


※エヌビディア ちょっとやりすぎかな~一服しそうではありますが。

FBで話題のメタバース、注目すべき関連企業
https://jp.reuters.com/article/facebook-metaverse-idJPKBN2HN0IY

株は年末に向けて強気継続。
日経平均CFD27410円L 継続です。

さて為替市場今週の注目は
10日発表の10月の米消費者物価指数(CPI)

米CPIは直近9月分の前年比が5.4%、コア前年比が4.0%となっています。
前年比は5か月連続で5%台、コア前年比は4カ月連続で4%台ですが、
10月の予想も高いですね。

前月比 予想+0.5%、前月+0.4%、コア予想+0.4%、前月+0.2%
前年同月比 予想+5.8%、前月+5.4%、コア予想+4.2%、前月+4.0%

これに金利がどう反応するかが重要ですね。
豪ドル円84.88円S
豪ドルドル0.7429ドルS 継続です。


◎◎◎今週の主な予定◎◎◎
◎8日(月)
日本景気動向指数(9月)
◆パウエルFRB議長、FRB主催会議開会挨拶
◆シカゴ連銀総裁、講演
◆フィラデルフィア連銀総裁、講演
中国共産党第19期中央委員会第6回総会開催(6中総会)(11日まで)
APEC閣僚会合(9日まで)

◎9日(火)
ドイツZEW景況感指数(11月)予想20.0、前月22.3、ユーロ圏、前月21.0)
米生産者物価指数(10月)前月比 予想+0.6%、前月+0.5%
                                        コア予想+0.5%、前月+0.2%)
◆◆ベイリー英中銀総裁、討論会参加
◆◆ラガルドECB総裁、フォーラム開会挨拶
◆◆パウエルFRB議長、FRB・ECB・カナダ中銀共同主催会議開会挨拶
◆セントルイス連銀総裁・サンフランシスコ連銀総裁、討論会参加
EU財務相理事会

◎10日(水)
中国消費者物価指数・生産者物価指数(10月)
米消費者物価指数(10月)前月比 予想+0.5%前月+0.4%、
                                         コア予想+0.4%、前月+0.2%
            前年同月比 予想+5.8%、前月+5.4%
                                        コア予想+4.2%、前月+4.0%
◎11日(木)
豪雇用統計(10月)
英国GDP速報値(第3四半期)
ECB経済報告
欧州委員会経済見通し
メキシコ中銀政策金利
OPEC月報
ベテランズデー祝日のため米債券市場は休場
中国「独身の日」

◎12日(金)
ユーロ圏鉱工業生産(9月)前月比予想▲0.2%、前月▲1.6%)
ミシガン大学消費者信頼感指数(11月速報、予想72.0、前月71.7)
EU財務相理事会
NY連銀総裁、講演
APEC首脳会議
COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)閉幕

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