2022年1月17日月曜日

 1・ドル円急落は、ドル安なのか「円高」なのか
        ~日銀「利上げ検討」観測報道
2・米インフレ、ピークアウトの兆候?
        ~12月小売売上高前月比1.9%減
       ~消費者マインドも低下
3・トンガ海底火山噴火の影響
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先週はドル円相場が1ドル113.50円近辺まで下落しました。 
年初ロケットスタートで116円台まで上昇していましたが・・・。

※ドル円

通貨インデックス一覧を確認すると、
ドル安でもあり円高でもあった1週間でした。


ではまず、円高の材料はなんだったのか?

1・日銀が利上げ予告議論開始?観測報道
 
14日、金曜朝ロイターが
「2%に達する前であっても、最終的な利上げをどのくらいのタイミングで
予告し始めるかを議論している」と報じました。

 Exclusive: BOJ debates messaging on eventual rate hike as inflation perks up
 https://www.reuters.com/markets/currencies/exclusive-boj-debates-messaging-eventual-rate-hike-inflation-perks-up-2022-01-13/

ほどなくして元日銀新議員でもある野村総合研究所(NRI)木内登英氏も
この観測をフォローするコラムをUP
「市場に大きな影響を与えた日銀利上げ検討の報道」
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0114_2

この連携の良さ、日銀内部からのリーク臭が漂います。
市場の反応を伺っているということでしょうか。

であるなら、日銀の利上げはかなり市場にはインパクトがあるが答えかな。
先週は円高も進行しました。ドル金利は上昇を止めていないのに、です。

※米債券利回り一覧 ドル金利とドル円が相関しなくなった?

そもそも今週の日銀会合での展望リポートでは物価見通しが引き上げられる、
とは報じられており、これはまあ、たしかにそうだよね、とは思っていました。

日銀、物価上昇の持続性で詳細分析を検討へ=関係筋
https://jp.reuters.com/article/boj-policy-cpi-idJPKBN2JO0W4
・22年度のコアCPIについて、
 前回の前年度比プラス0.9%からプラス1%台前半に上方修正される見通し

ただし、それでも1%です。
利上げの議論はまだ時期尚早ですよね。
日銀のインフレターゲットは2%。
しかも「オーバーシュート型コミットメント」、
安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、
マネタリーベースの拡大方針を継続する、という政策をとっています。
なぜ今、「インフレが2%に達する前に」
利上げの議論を開始する必要があるのかと市場が驚いた可能性があります。

これも岸田政権に変わったことで、
こんなリーク記事が出てくるようになった、ということなら
為替市場だけではなく、株式市場にとってもリスクかと思います。

ただ、日銀の総意であるとは思いません。
そういう向きがある、ということに過ぎないでしょうから
過度に警戒することもないと信じたいですが、、、、

それが証拠に日銀は先週14日に3ヶ月半ぶりにETFを購入しています。
 
 日銀、3カ月半ぶりにETF買い入れ-701億円、前回と同じ規模
 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-14/R5OY7EDWRGG001
 
 火消しの意味合いが強いのではないかと見ていますが、、、
 
 全ては観測です。
 ただし、インフレターゲット未達のまま本当に利上げしてしまったら
 日本はまたデフレに戻る可能性がありますので警戒はしています・・・。
 
 米国は利上げしてもいいんですよ、CPI+7.0%なんですから。
 ただ、そのインフレも流石にピークアウトしたかも、というのがこれ。

2・12月小売売上高:前月比▼1.9%(予想:▼0.1%、11月:+0.2%←+0.3%)
   (自動車除く):前月比▼2.3%(予想:+0.1%、11月:+0.1%←+0.3%)
 ・12月輸入物価指数:前月比▼0.2%(予想:+0.2%、11月:+0.7%)

 ・1月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値:68.8(予想:70.0、12月:70.6)
 
 米小売売上高、予想以上の大きな減少-インフレや感染拡大が逆風
 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-14/R5PCAEDWX2PS01
 ・12月の米小売売上高は10カ月ぶりの大きな減少率
 
年末商戦が前倒しされて10月くらいから始まっていたため、
という指摘もあって、11-12月期でくくると+14.1%で悪くないんですが
12月単月でみると予想を大きく下回っていますね。

そしてミシガン大学の消費者信頼感指数の低下も気になります。
消費者のマインドが冷え始めたということですね。

単月の数字だけでインフレが止まったと判断することもできませんし
この数字を受けてFRBが3月利上げ、程なくしてバランスシート縮小に踏み切る
というコンセンサスも変わらないと思いますので
金利は週末も結局上昇して終えています。数字が悪かったのに、です。

しかし、ここで気になるのは景気が冷え始めているのに
利上げするのか?ということね。
このまま消費者マインドの低下が続くようでも
金融政策を引き締めていくとなると米経済の減速が警戒されることに。

株安はこれを懸念してのことでしょう。

その意味では週末の米株安はリスクオフだったということとなり
ドル円下落もリスクオフの円買いが加速していた、
ということに過ぎない可能性もありますが~

足元の注目は米金利上昇でもドル円が上がっていない、という点です。
今週の日銀の金融政策決定会合は意外と注目度が上がるのでは?

私がドル円の売りをやめてから大きく下がっているのよね(´・ω・`)
戻りが大きくなれば、どこかでドル円を再度売ってみようかな。。。

3・「1000年に1度」の大噴火か トンガで通信遮断、被害把握難航
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022011600183&g=int
30年前のフィリピン・ルソン島西側のヒナツボ山噴火は20世紀最大規模と
されていましたが、それに匹敵するどころか1000年に1度の規模との指摘も。
ヒナツボ噴火の翌々年93年は日本が冷夏となり「平成の米騒動」と呼ばれる
米の不作となりましたが、火山灰が日射を遮り世界の気温が低下したせいとも
言われています。真相はわかりませんが、そういう事があったのは事実です。

ヒナツボは北半球でしたがトンガは南半球。
赤銅近くは偏西風と貿易風が北と南を分かつため
北半球には大きな影響はないのかもしれませんが
NZ、豪州、ブラジルなどには影響が及ぶでしょう。

風がどのように影響するか、、、

南半球というと
■NZ 酪農品、食肉、羊毛、木材、果 物、魚が総輸出の 5 割を占める
  日射不足で牧草が育たず酪農に影響がでれば乳製品価格が上昇するリスク?
  
■豪州 主要輸出品 これらの生産輸出にはあまり影響はないかな。
   鉄鉱石(32.0%) 石炭(12.0%) 天然ガス(10.0%)
   
■ブラジル 米国と並ぶ大豆生産国、20年は世界1の大豆の生産 
     大豆の生産に影響が及べば中国がインフレに見舞われるか
     中国の食卓を支える油は大豆油、
     そしてそのカスを養豚飼料にしています。
     国際貿易で取扱われる大豆の80%が中国向けとも。
     中国がどこから輸入しているかというと20年は
     ブラジルが63.1%に拡大し、米国が26.9%に低下。
     ブラジル依存が高まっています。
     また、ブラジルの牛肉輸出額全体の50.3%が中国(20年)
     中国が食料インフレに見舞われるリスクがあるかもしれません。
     
コロンビアなど主要コーヒー生産地は赤道を挟んで南北25度
https://kubogen.com/life-coffee-001/
 
火山灰や日射の影響があればコーヒーインフレが起きる可能性も。
そして海底火山ですので、海の被害も気になります。
あらゆる「思惑」が
マーケットのボラティリティを高める可能性は否定できません。

トンガの被害状況は以前不明なままで心配されることは多く、
その後16日、台湾東部海域でM5.5の地震があったことなども気になります。
海底プレートがつながっているんですよね、
太平洋プレート、そしてそれは日本にもつながっています。

311の時はNZで2/22にクライストチャーチ地震がありました。
防災意識は高めておいたほうがいいかも、、、

その場合日本は円高のリスクでもありますね。
なにもないことを願いますが。

ポジションは
ポンドドル1.3613ドルL → 1.3700ドルで利食い
ユーロドル1.1408ドルL 継続中も週明け値動きをみてやめるかも・・・

ドル円、そしてクロス円の円高方向のポジション構築も考えていますが
全ては相場をみてから、です。

今週の主な予定

18日(火)日銀政策会合、展望レポート発表
     英雇用統計(1月)
     ドイツZEW景況感指数(12月)
     NY連銀製造業景気指数
     
19日(水)英消費者物価指数、生産者物価指数(12月)
     米住宅着工・許可件数(12月)
    
20日(木) 日本貿易収支(12月)
     豪雇用統計(12月)
     ドイツ生産者物価指数(12月)
     フィラデルフィア連銀景況感指数(1月)
     
21日(金)日本消費者物価指数(12月)
     英小売売上高(12月)
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