2022年2月6日日曜日

 金利上昇時代の幕明けですね。
先週はBOEもECBもタカ派的シフト。
そして米雇用統計も強く、米国の3月利上げも改めて
確認できるものとなり、世界の金利は上昇基調を強めています。

1・米雇用統計ポジティブサプライズ?
2・インフレ指標上昇止まらず~原油、賃金
3・日本国債利回りにも上昇圧力
-------------------------------------------------------
1■1月NFP/非農業部門雇用者数(前月比) +46.7万人
            (予想15.0万人 12月51.1万←19.9万人
                     11月64.7万←21万)
  ~11月12月分が大幅上方修正にびっくり!!
   季節調整モデル~統計基準の改定があったため、ということですが、
   過去分の数字の修正が大きすぎる。。。   
                           
■1月失業率  4.0%  (予想3.9%  12月3.9%)
■1月平均時給(前月比)  0.7% (予想0.5%  12月0.6%)
■1月平均時給(前年同月比) 5.7% (予想5.2%  12月4.7%)
■時間あたり賃金 31.63ドル ~日本円換算で 時給3600円くらいですか。

水曜日発表されたADP雇用報告が雇用者数が前月比▲301千人の大幅減少。
2020年12月以来の減少だったこともあり、弱い数字となる予想も多く
中にはマイナス予想も飛び交っていたところに、この強い数字です。
NFPがしっかりしていた、という部分はもちろんですが、賃金です賃金。

平均時給前年同月比5.7%ですよ、12月4.7%だったのが。
前の月から比べても0.7%も伸びています。
物価が上がるだけでなく賃金も上がっている、一見羨ましいことですが
これは、時給をあげないと人が集まらないということでもあり
雇用する側にとっては大変な負担です。
現状ではこれが景気圧迫要因にはなっていませんが
これが止まらないと企業負担増で景気に影響してきますね。

この雇用統計の結果を受けて、米金利は全ゾーンで上昇。

※米国債利回り一覧

3月乗上げはほぼマーケットに織り込まれていますが
ただ一気に0.5%の利上げになる可能性についてはFRB高官らが
否定的なコメントを出していますので、まずは0.25%である可能性が大きい。

セントルイス連銀総裁
「1回で0.5%利上げすることが助けになるとは思わない」
アトランタ連銀総裁
「3月会合で0.5%の利上げを実施するのは好ましい措置ではない」

2・原油高止まらず、寒波と地政学リスク

※WTI原油 一時93ドル台へ

米国を大寒波が襲っています。
南部から東部の25の州で厳しい寒波に見舞われ、全米で26万3000世帯が停電
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000243817.html

どうやらテキサス州の産油地帯では北極圏の暴風の影響で
パーミアン盆地の一部の生産に混乱が生じた模様で、
これがWTI原油90ドル突破のトリガーだった模様。

先週はOPECプラス会合で3月からの日量40万バレルの増産を決めましたが
ナイジェリア、アンゴラ、リビアなどは割り当てられた増産を達成できておらず
OPECプラスとして12月には生産量目標を下回ってしまっていることも
大きな原油高材料となっています。
そもそも原油在庫は低水準にあるのです。

※米国原油在庫 雲が過去5年平均レンジ 下回っていますね


一方で、この原油高でシェール企業への投資が再開されていると言う話もあり
シェール掘削リグ数は5週連続で増加しており
シェールガスがブームだった2014─15年の増産レベルに戻ったとの指摘も。

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週連続で増加=ベーカー・ヒューズ
https://jp.reuters.com/article/usa-rigs-baker-hughes-idJPL4N2UG05M?il=0

現状では在庫はタイトですし寒波の影響に加えて
ウクライナ有事リスクが原油高を演出している側面が大きく、
これによって米シェールの増産バイアスが加速すれば、どこかで
需給逼迫への懸念が剥落することとなるわけですが、
ウクライナ有事が起こらずに済めば、原油は意外と大きく修正安を
強いられる可能性もありそうです、、、
かと言って今原油を売れ、と言われても売ろうとは思いませんけどね💦

3・日本国債10年債利回りが一時0.2%超え
  5年債利回りはマイナス圏からプラス圏へ浮上~2016年来


日本は日銀によるYCC(イールド・カーブ・コントロール)政策で
長期金利を±0.25%幅に抑えるよう国債の購入量をコントロールしていますので
心配無用ではありますが、世界の金利上昇に連れ高となってJGBにも金利上昇圧力が
でてきたということですね。YCCにより金利を抑えている=国債購入量が増える
ということは緩和強化につながるため円安が進みやすくなるとみる向きもありますが
原油高など素材価格上昇が円安をもたらす側面も大きく
ドル円相場は株安でもあまり下がらなくなってきた印象はありますね。

若田部副総裁も改めてこう話されています。
長期金利、上下0.25%の範囲内なら問題視せず=若田部日銀副総裁
https://jp.reuters.com/article/wakatabe-long-term-rate-idJPKBN2K80AJ

ただ、あれだけ米金利が上昇しても115円台をウロウロするだけで
どうもレンジ相場入りしたっぽい。
1月の日銀会合でも黒田総裁は早期利上げ観測を一蹴、
日銀の金融政策に変更はないことが繰り返し確認され、
米国の金利上昇が加速している割には上値が重いような気もしませんか。

クロス円相場を俯瞰してみると、オセアニア中心にトレンドは下落基調です。
クロス円が弱いということは、リスクオンではないということで
これは株安を警戒ているのではないか、と想像できるのですが
確かに米株はトップアウトしたようにも見えますよね。

※ドル円、クロス円一覧

※米主要株価指数

また、ウクライナ有事リスクもリスクを取り切れない要因の一つ。
ロシアによる軍事侵攻があればロシアにへの金融制裁によって
エネルギー供給だけでなく金融市場全般に影響が及ぶ可能性があります。
その場合、軍需関連以外の株はキャッシュ化されるでしょうし
キャッシュ化が世界に広がれば、ドル高、円高、スイス・フラン高となります。
まだそのリスクはそれほどマーケットが折り込んでいませんね。

そしてクロス円チャートではユーロ円だけが強い。
これは先週ECBラガルド総裁が年内利上げの可能性を否定しなかった
=ECBタカ派シフトを織込む動きがスタートした、ということで、
新味がある分、これがしばらくの間マーケットの主役となる可能性があるのでは
という気もしています。
市場は早ければ9月の利上げを織り込み始めました。

ユーロが主役なんて久しぶりです~(・∀・)

今週はECBのラガルド総裁やクノット・オランダ中銀総裁、
ビルロワ・ドガロー仏銀総裁の講演での発言が予定されておりユーロが動きそう。
用心発言内容によってはユーロ主役は短命に終わるかも、、、ですが
ユーロ円、ユーロドルロング継続です。
1.1308ドルL
ユーロ円129.63円L

10年債利回りですが、
ドイツがついこの間マイナス金利からプラス圏に浮上したかと思ったら
日本の長期債利回りを超えてきました。
イタリア、フランスなどの利回り上昇も激しく、
このスピードに欧州経済がついていけるのか不安になりますが
その意味で今週のECB要人らは前のめりになっている市場への牽制球を投げるかも、
です。それで金利上昇が止まりユーロ上昇が止まってしまうのかどうかに注目。

※先進国長期債利回り


英国の金利も順調に上がってきていますが
今週はBOEベイリー総裁やチーフエコノミスト、ピル氏の講演に注目。
英金利先物市場ではBOEが3月会合で0.5%の利上げに踏み切ることを
織り込み始めています。

[7日月曜]
09:30 豪10-12月期小売売上高
14:00 日11月景気動向指数[速報値]
16:00 独12月鉱工業生産
16:00 英1月ハリファックス住宅価格
18:30 ユーロ圏2月投資家信頼感指数
24:45 ラガルドECB総裁、欧州議会の定例公聴会に出席
29:00 米12月消費者信用残高

[8日火曜]
08:50 日12月国際収支統計
09:01 英1月BRC小売売上高
09:30 豪1月NAB企業景況感指数
14:00 日1月景気ウォッチャー調査
22:30 米12月貿易収支
22:55 米レッドブック週間小売売上高
24:00 米2月IBD/TIPP景気楽観指数
26:00 ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演[パリ]

[9日水曜]
08:30 豪2月ウエストパック消費者信頼感
08:50 日1月マネーストック
15:00 日1月工作機械受注[速報]
16:00 独12月貿易収支/経常収支
21:00 米MBA住宅ローン申請指数
22:10 英中銀チーフエコノミストのヒュー・ピル氏が講演
24:00 米12月卸売在庫[確報]
24:00 米12月卸売売上高
24:30 EIA週間石油在庫統計
24:30 ボウマンFRB理事、講演
27:00 米財務省10年債入札

[10日木曜]
08:50 日1月企業物価指数
09:00 豪2月消費者インフレ期待
09:01 英1月RICS住宅価格指数
19:00 欧州委員会経済見通し
21:30 ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
22:30 米1月消費者物価指数
22:30 米新規失業保険申請件数
27:00 米財務省30年債入札
28:00 メキシコ中銀、政策金利発表
28:00 米1月財政収支
29:15 ベイリー英中銀総裁、講演

[11日金曜]
06:30 NZ1月ビジネスPMI
16:00 トルコ12月鉱工業生産
16:00 トルコ12月経常収支
16:00 独1月卸売物価指数
16:00 独1月消費者物価指数[確報]
16:00 英10-12月期GDP統計[速報]
16:00 英12月商品貿易収支
16:00 英12月鉱工業生産
16:00 英12月製造業生産
16:00 英12月サービス業指数
24:00 米2月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
 日中のつぶやきはこちらで
ひろこのTwitter

いつもご覧いただきありがとうございます。
人気ブログランキングへ


今週の【ひろこのウィークリーゴールド】
Seahawk代表 成田博之さんにゴールドの内部要因分析いただきました。

<横ばいの金相場ー個人投資家が参入か?>
『COTレポート分析からのトレード戦略』
https://youtu.be/rX4VHtmKQZM
◆NY金先物のCOTレポート分析
◆為替市場の影響

日中のつぶやきはこちらで
ひろこのTwitter


いつもご覧いただきありがとうございます。
人気ブログランキングへ

※本レポートにて豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。したがって銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、弊社の重要事項説明を十分にお読みいただき投資家ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※また、本ブログ内にて提供される情報は豊トラスティ証券株式会社が信頼できると判断した情報源をもとに弊社が作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、豊トラスティ証券は保証せず、また、いかなる責任を持つものではありません。

※ブログ内容についてその表現や記述、データその他に関しましては、著作権法などの法令により保護されており、個人の方の私的使用目的以外での使用や他人への譲渡、販売コピーは認められていません(法律による例外規定は除きます。)。

以上の点をご了承の上、本ブログをご利用下さい。

運営:豊トラスティ証券株式会社