2022年7月26日火曜日

 欧州の命運はロシアが握っている・・・?
27日からガス供給が20%にまで絞られるようです。

1・ロシア、ノルドストリーム1へのガス供給量削減通告
2・インフレは持続するリスク?米金利反発でドル円も反発
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1・ノルドストリーム1の供給量減少へ、タービン追加停止=ガスプロム
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-nordstream-idJPKBN2P0196?il=0
ロシア国営ガスプロム、ロシアと欧州を結ぶ主要ガスパイプライン「ノルドストリーム1」
タービン1基を追加的に停止させるため供給量が減少すると表明

ポルトバヤ圧縮機ステーションの稼働能力は27日日本時間午後1時から
日量3300万立方メートルに減少する。
(完全稼働能力は日量1億6000万立方メートル以上)

ロシア、やっぱりガス供給減らすと通告してきました。
27日水曜、日本時間午後1時から、最大供給能力の20%程度しか供給されません。
すでに現時点で最大供給能力の40%しか供給されていないのですが
それをさらに半分にする、というわけです。

ロシア、ガスプロム社は
タービンのメンテナンスを担当したドイツのシーメンス・エナジー社が、
タービンがドイツからロシアに戻る最終行程に必要な正しい書類を提供していなかった、
としていますが、
ドイツ経済省は、納品数の減少に技術的な理由はないと発表しています。
「問題のタービンの納入に必要な制裁承認要件は満たされている」

つまりロシアは制裁の全面解除を引き出したい意向なのだと思われます。

それにしても先週21日のガス供給再開で喜んだのも束の間、
欧州の今冬の命運はロシアに握られているというのが実情。

Russia to Cut Europe’s Gas Flow via Nord Stream to 20%
https://www.wsj.com/articles/nord-stream-gas-flows-to-drop-to-20-of-capacity-russias-gazprom-says-11658760473?mod=latest_headlines

欧州各国政府は、ノルウェー、アルジェリア、米国、カタールなど他の供給国からガスを確保しようとしており、それらはしばしば船で輸送される液化天然ガスの形で供給される。

ヨーロッパのガス卸売価格は6.9%上昇し、1メガワット時175.74ユーロ(約180ドル相当)となった。ガス価格は今年に入ってから2倍以上になっており、アナリストによれば、冬が近づくにつれて上昇を続け、この地域の経済、政府、金融市場を圧迫しているインフレに拍車をかけるとみられている。


今夜は欧州のガス指標であるオランダTTF価格も上昇していますが
米国のヘンリーハブ天然ガス価格も上昇、
欧州が米国はじめ他国からガス調達を増やす可能性が高まったから、ですね。
※オランダTTF天然ガス

※ヘンリーハブ天然ガス(米指標)
つまり、これは世界の天然ガス価格の上昇要因であり
世界のインフレ要因でもあるわけです。

基本こうした欧州リスクはユーロ売りでいいと思うのですが
インフレがさらに高進するならECBはさらに利上げを迫られるというわけで
そう単純じゃないですよね。

今夕、ラトビア中銀総裁が
「大幅利上げはまだ終わらないかもしれない」
「ユーロ相場が弱すぎることは問題だ」などと述べており
欧州時間にはユーロが急上昇する局面がありました。

ECBラガルド総裁も22日付の独紙のインタビューで、
インフレ率が目標の2%に回帰するまで利上げを継続すると表明しており
金融市場では現在、9月理事会での50bp追加利上げの確率を65%程度
織り込んでいるほか、年末までにさらに107bpの引き締めを織り込んでいます。
とは言え、米国利上げには及ばないのですが。

インフレを潰すための利上げ=通貨高政策は景気を冷やすので
単純にECBのタカ派シフトでユーロ買いというわけにもいかないでしょう。

というわけで、欧州時間に利上げ強化観測で買われたユーロが
ノルドストリーム供給減リスクで売られるという乱高下。
ユーロドル相場は方向感なく神経質に上下しています。

反面、米金利は反発基調となり
クロス円も反発基調となっています。

2・米金利上昇、クロス円反発へ?!


※米国債利回り一覧


※主要国長期債利回り一覧

※ドル円、クロス円日足
単純な話、エネルギーを巡る欧州発のインフレが
世界に波及すれば結局インフレってまだピークアウトしないよね、
ということでしょうか。
米金利が反発基調となっていることで、ドル円がしっかり、
クロス円も反発が大きくなっています。

ただ、今週は27日発表の米FOMCが控えているだけでなく
月末ということもあり、ポジション調整の色合いが強い可能性も。

FOMC直前に新たにリスクを取りたくはないですね。

ユーロショートポジション継続、追加ポジションなしです。

NOTE
日銀の高田創審議委員と田村直樹審議委員が24日任命され
今日25日に就任会見を行いました。

高田委員は、為替相場そのものへの対応は日銀のなすべきことではないものの、
「為替の変動は経済全般や金融市場にも影響を及ぼす」として
「包括的な意味から日銀が対応していくことはもちろんあるだろう」と述べ
急速な円安進行は実体経済に悪影響を及ぼすとの認識を示しています。

イールドカーブ・コントロール(YCC)については、
マクロ経済への効果と金融市場で見られる副作用の両面を
検討していくことが重要だと指摘、
出口戦略については
「今の時点でという状況にはないが、常に考えておくべき論点だ」とし
現在の経済は「予断許さない不確実性」があるとしています。

現状すぐに政策の転換が必要といったタカ派的コメントはなく
為替市場には反応が見られませんでしたが
やはり黒田日銀総裁とはやや毛色が違うことが窺えますね・・・

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