2022年7月20日水曜日

 今週は21日木曜がヤマ。

欧州の金融政策会合、ECB理事会があるのと
ロシアから欧州向けのガスパイプラインの定期修理終了で
ガス供給が再開されるかが焦点、21日が再開予定日です。

今日はこれらを巡る報道で
ユーロ主導でドルストレート通貨が反発、
ドル安が進行しています。

1・ロシアからのガス供給再開を巡る報道
2・ECB理事会、0.5%の利上げの可能性浮上
3・ドル安効果?米株大幅高
******************************
1・ロシアからのガス供給再開を巡る報道

①ロシアのガスプロムが不可抗力宣言、欧州の一部買い手に-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-18/RF7X3SDWX2PV01
・欧州の買い手数社に対し不可抗力条項を宣言(14日付の書簡)
・主要パイプラインでタービンに問題が発生した(ガスプロム説明

不可抗力条項=天災、政府機関の行為若しくは命令、戦争、ストライキなどの理由
(不可抗力)により契約違反の責任を負わないことを定めた規定

ロシアのガスプロムが欧州への書簡の中で、
ガス供給の契約履行が難しいとする不可抗力宣言を通告した、との報道。
ガス供給が止まれば欧州経済は・・・

※ロシア産ガスの供給停止、EUのGDP最大1.5%押し下げも-試算
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-18/RF7ZR4DWLU6801

GDPが最大1.5%前後圧迫されるリスク(゚ロ゚)w
これはユーロ売り材料ですが、今日はユーロが上昇しています。

その後、こんなニュースも飛び込んできているんですね。

②ロシア、ノルドストリーム1を21日に供給量減らして再開-報道
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-19/RF9V62DWLU6801
・21日に予定通り再開される見通し(計画について詳しい関係者2人の話)
・供給量はパイプラインの輸送能力である日量約1億6000万立方メートルを下回る

供給量は減らされたまま、とはいえ全面停止よりはマシです。
先週までガス供給停止リスクを織り込む形で売られてきたユーロに
ショートカバーが入っていると見られます。

ロシアとしても戦費調達のための外貨収入は持続させたいところでしょう。
ここで全面ストップして欧州の出方を待つというのは代償も大きい。
ガス供給が止まるってことはないんじゃないか、という安心感が
ユーロ上昇につながっているようです。

さらに⬇

2・ECB当局者、今週50bp利上げを協議へ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-19/RF9C8JDWLU6801
・21日の会合で政策金利を0.25ポイント引き上げるか、
 あるいは0.5ポイント引き上げるかを協議する
 
 ~政策委員会メンバーの過半数は6月9日の会合以降、0.25ポイント利上げのガイダンスを堅持してきた。0.5ポイント利上げとなればガイダンスから乖離(かいり)するが、世界的な大幅利上げの流れに加わることになる。
 
これまでのECBからのメッセージは
10年来の最初の利上げは0.25%に留めるというものでしたが
にわかに0.5%利上げの可能性が出てきた。

これにも市場は大きく反応しています。
コンセンサスの修正がユーロ上昇を大きくしているということね。

この2点によるユーロ上昇は継続するか?
リスクはまだ払拭できていません。

ロシアが21日にガス供給を再開しなかったら?
0.5%利上げは検討する、という話であり0.25%利上げに留まる可能性もある。

この場合はユーロは急落します。

しかし、21日に向けては
これまでユーロを売り込んできた向きの買い戻しが続くと思われ
ユーロショートの利益がどんどん削られていく展開が見えますので
買い戻して、ドテンロングにスイッチしています。

ユーロドル1.0439ドルS ➡ 1.01706ドル買い戻し ドテンロング

21日木曜までの短期ロング。
基本シナリオとして欧州は米国ほどアグレッシブな利上げができる
経済状況にはないため再度パリティ割れがあると考えています。
足元はガスやECB理事会前を口実にしたショートカバーでしょう。

また、BOE(英中央銀行)のベイリー総裁が8月4日のMPC(政策委員会)で
0.5%利上げを検討していることを改めて示唆しています。
6/29にも欧州中央銀行(ECB)主催の公開討論会で同様の発言をしていますが
ポンドもユーロに連れて上昇していますね。

今夜はドルストレート通貨が軒並み反発しています。


3・ドル安効果?米株大幅高


週明け18日月曜の米国株市場は
ゴールドマンサックスやバンク・オブ・アメリカの予想を上回る四半期決算を好感し
買われていたもののアップルが一部部門で23年度の新規採用や支出抑制する、
という報道で売られて主要株式指数は下落に転じていました。
アップルだけでなく、アルファベット、メタ、テスラなどなどGAFAM企業が
景気減速の可能性から採用計画を縮小する方針を示しており、
米国株市場の上値を抑える一因となっています。

しかし、今夜19日火曜の米国株は軒並み上昇、大変強い。
これといってニュースがあったわけではないのですが、、、
今夜はドル安が好感されているのでしょうか。
あるいは売り疲れ、、、といいますか
リスク警戒によってずいぶん米株市場から資金が流失してきましたので
再度資金流入があるのかもしれません。

投資家の企業収益期待が過去最低水準に、株への配分減=BofA
https://jp.reuters.com/article/global-survey-bofa-idJPL6N2Z00CA
・株式への配分は2008年世界金融危機以来の水準まで落ち込んでいる
・現金の保有率が6%を超え、過去20年超で最も高い水準。
(調査は7月8日から15日実施)

株売りでキャッシュ化が進み、これがドル高をもたらしてきました。
結果、2001年来20年ぶりの高現金保有状態。
このキャッシュは、株が上がりだすと我も我もと株に戻ってくる可能性が。

マージンデッド(証拠金残高)がまだ高水準ですので
下がり出すと投げが投げを呼び更に下がるリスクは残っているとも思っていますが
キャッシュ比率の高さは株上昇方向に動けばそれを加速させる燃料となります。

どちらのシナリオが優勢か?

短期的にはキャッシュの株回帰で株高が先にやってきて、
マージンデッド解消に伴う株下落加速リスクはその後にやってくるのでは・・・?
現時点ではそんな風に見ておりますが、どうなりますか。

ともかく今夜はリスクオンです。

ドル安なのでドル円は上値重く推移していますが
リスクオンにつきクロス円が上昇。
原油再上昇の可能性もあり、カナダ円ロングも作っています。
カナダ円106.63円ロング


NOTE

イラン国営石油とロシアのガスプロム、エネルギー協力で覚書調印
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2022/07/398056.php
・ガスプロムがNIOCのキッシュ、ノースパース・ガス田と6油田の開発を支援。
・液化天然ガス(LNG)プロジェクトとガス輸出パイプラインの建設にも関与する。

ロシアとイランが手を組んでエネルギー開発に乗り出します。
どちらも西側諸国からの制裁対象国ですが、
西側の倫理、あるいは脱炭素などの政策によって困窮する国が
手を組むのは自然の流れという気がします。
これは先々西側諸国の脅威となってくるでしょう。
どちらもエネルギー生産大国です。

自然任せの再生可能エネルギーでのエネルギー自給が道半ばであるにもかかわらず
突如、化石燃料生産が悪であるかのように振る舞ってきた代償は大きいですね。
温暖化抑止のための再生可能エネルギー転換も重要ではありますが
世界にそれを強要する姿勢に疑問を持つ国もあるということです。

日本の立場も大変難しい…。

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