2022年9月5日月曜日

 ・米8月雇用統計受けて9月利上げ幅は~
・ロシア、やはり欧州にガス供給再開せず
・8日ECB(欧)利上げ幅は0.5%か0.75%か
・6日RBA(豪)利上げで豪ドル買いになるか?
・7日BOC(加)今回で利上げ打ち止め?
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1・雇用統計受けてドル安進むも、リスクオフ展開で結局ドル高に

◆米8月雇用統計
 NFP(非農業部門雇用者数:+31.5万人(予想:+29.8万人、7月:+52.6万人)
         失業率:3.7%(予想:3.5%、7月:3.5%)
        平均時給:+5.2%(予想:+5.3%、7月:+5.2%)前年比
       労働参加率:62.4%(予想62.2%、7月62.1%)
      不完全雇用率:7.0%(7月6.7%)

NFPは予想を上回る数字もほぼ想定の範囲内。
むしろ失業率が悪化していることが気になります。
ただしこれは労働参加率が上昇していることが背景で悪材料ではないとの見方も。
平均時給(インフレ指標)は前月比変わらずですが予想に満たず。

この数字を受けてソフトランディング期待が高まったとかなんとか
米株は好意的に反応しました。
引けにかけて売り込まれたのは別要因。
(ロシア、欧州へのガス供給再開せず)

FRB、利上げの手をやや緩める余地生まれる-労働力の大幅な伸びで
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-02/RHL6UADWLU6901
・9月の利上げ幅が50bpか75bpかはまだ予測つかず

FRB利上げ幅の織り込み度合いが後退、米雇用統計受け-金利市場
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-02/RHL35HDWLU6A01
雇用統計発表後、米金利市場では9月FOMCでの0.75%利上げ織り込みがやや後退。

雇用統計発表直後、為替市場は乱高下するも、その後じりじりと
ドル安になっていたのは9月0.5%利上げの線が強まったということのようです。

9月FOMCは21日ですし、その前13日にはCPI消費者物価指数、
14日にはPPI生産者物価指数などインフレ指標が発表されますので
9月の利上げ幅はこれらの発表で予想が変わる可能性もありまだわかりません。
今週8日木曜には欧州ECB理事会があり大幅利上げが予想されていますので
市場のテーマが欧州の金利に移りユーロ上昇が加速するか、と期待したのですが
全く別の「リスク」が、週末金曜のNYクローズにかけて逆にドル買いを強めました。

2・ロシア国営ガスプロム、EUへの送ガス停止延長
https://www.bbc.com/japanese/62776665

やはり、といいますか・・・
そもそも今回のノルドストリーム点検も計画になく理由が明確でない。
31日~3日までの計画の点検としていましたが
ガス供給再開せず。オイル漏れというのも本当なのかどうか・・・

このロシア、ガスプロム発表に先立ち、
G7は同日、ロシア産石油の取引価格に上限を設ける追加制裁の枠組みを
12月に導入することで合意。

ロシア産石油、12月から価格上限 G7財務相合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA02COL0S2A900C2000000/
ロシア原油の上限価格は12月5日~
ロシア石油製品は来年2月5日~導入予定。
上限を超える価格で取引されたロシア産原油や石油製品を運ぶ船舶に
保険を提供しないよう保険会社に義務付ける。
(拘束力は乏しく、実効性には疑問が残る。)

これに対する報復、対抗措置かと思われます。

5日月曜は米国市場がレイバーデーの祝日休場となることもあり
リスクポジションを落とす動きが加速したものと思われます。

欧州は、ガス貯蔵率を高める努力を続けてきた結果、
貯蔵率が2ヶ月前倒しで目標に到達しており
足元すぐに大混乱に陥るということではありませんが。

EU、ガス貯蔵8割超す
https://www.nikkei.com/nkd/theme/153/news/?DisplayType=1&ng=DGKKZO6397693002092022FF8000

ただしロシアがガス供給を完全に止め、例年より気温が低い冬になれば、
2023年2~3月にガスが底をつくリスクがあるとのこと。
欧州のエネルギー問題は綱渡り状態で
インフレの長期化は必至。
こういう場合の金融政策ってほんと、難しいですよね・・・

3・今週8日(木)はECB理事会が開催されます。

ECB理事会は、前回7月会合で政策金利を0.50%引き上げ、
8年間続いたマイナス金利に終止符を打ちました。

またすべてのEU諸国への金融政策の円滑かつ平等な伝達の促進を目的とした、
新たな分断化抑制措置である「TPI」の導入を発表。
TPI運用詳細は明らかにされませんでしたが
EU諸国間の金利が乖離する問題に対処していくものと思われます。

そして今回8日の理事会では、一気に0.75%の利上げがあるのではないか、
というコンセンサスが醸成されつつあります。
これによって、政策金利は 0%~0.75%に引き上げられる見込み。

一気に0.75%引き上げたところで、まだ0.75%になるわけで、、ゼロ金利です。
EU圏の8月のHICP(消費者物価指数)前年同月比 +9.1% でしたので
インフレ退治には随分出遅れていますね。

0.75%利上げ思惑が強まっていますので
ECB会合まではユーロの買い戻しが続くのではないか、と思っていましたが
ユーロは売り圧力が強いですね、、、週末は結局売り込まれて終わりました。

※ユーロドル日足 上ヒゲ・・・

※ちなみに月足は~ 過去最安値は0.8229ドル まだまだ下げ余地はある

ECB、9月と10月にそれぞれ0.75ポイント利上げの公算-シティ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-02/RHKXQLDWLU6801?srnd=cojp-v2
9月だけでなく10月も0.75%利上げ観測が強まっているのですが。

ここからの戦略としてはユーロ利上げ観測&利上げ発表で
ユーロが上がったところを売り、ですが、
上がらないまま下がっちゃうかも(T_T)

4・6日(火)RBA豪州は0.5%利上げか

RBA to hike by another half-point in September, slower pace of tightening ahead: Reuters poll
https://www.reuters.com/markets/asia/rba-hike-by-another-half-point-september-slower-pace-tightening-ahead-2022-09-02/
今回の9月利上げで 5会合連続利上げになります。
0.5%利上げで政策金利は1.85➡2.35%となる見込み。
週末の債券先物は、政策金利が今年末までに3.2%に達し、
2023年半ばには3.9%近くにピークを迎えると予測しています。

豪州が今回0.5%利上げして2.35%になったところで、
現在の米国のFFRレートが2~2.5%ですから米国に追いつく事もできません。

これが豪州が利上げを続けていてもドルに勝てない理由。

それと鉄鉱石などコモディティ市況が下落トレンドに入っていることも
豪ドルのパフォーマンスがなかなか上がらない背景。
※鉄鉱石


※豪ドル/ドル日足

コロナショックの安値から21年に向けての大反発に対し
半値になってしまっています。
細かく言うと7/14に50%押しレベルを割り込んだのですが一度反発。
現在再度下落してきていますが50%ラインを保てないようなら
更に下がる可能性もあるでしょうか。

200SMAは下向きできれいな下落トレンドであることは明白ですが・・・。

やはり世界の景気後退リスクが
(中国が相変わらずゼロコロナ政策を続けているなど)
豪ドルの上値を重くしているということかと思われます。

5・7日(水)BOCカナダ政策金利、今回利上げで一旦停止?
BoC expected to raise interest rate for fifth time at pivotal moment for economy
https://www.terracestandard.com/business/boc-expected-to-raise-interest-rate-for-fifth-time-at-pivotal-moment-for-economy/
一部のエコノミストは、水曜日の利上げが
しばらく最後になる可能性があると考えている。

ガソリン価格の下落に伴い、7月の前年比インフレ率は7.6%となり、
6月の8.1%から低下。
第2四半期のGDPは、1-3月期に比べて増加しましたが、終盤に減速、
7月の速報値では縮小が示唆されている。

カナダ銀行は7月に主要金利を1%引き上げ2.5%に。
1%というのは1998年8月以来最大の利上げ幅。

カナダ現在の2.5%という金利は米国と並んでいます。
しかし、今回の利上げで一旦休止するのでは?という見方もあるようですね。
となると、カナダは利上げが材料出尽くしとなって、売りに変わる可能性も。

米国は今月0.5もしくは0.75%利上げしますが
年末までに3.5,タカ派の意見を取るなら4%まで利上げする見込みです。
カナダが利上げ競争から降りるなら売りでしょう。

こうしてみると豪ドルとよくにたチャートですね。

※カナダドル/米ドル日足


カナダも資源通貨ですので特にオイルの下落は上値を重くします。

※WTI原油 今週はOPECプラス会合。まだ減産とは言わないと思うけど、、、

OPECプラス、5日の会合で原油生産枠据え置きか=関係筋
https://news.yahoo.co.jp/articles/c5386a1c9354516a8e9cc0121646da43492f3173

今週は中銀ウィークですね。
どれもこれもイベント通過で結局ドル高になりそうですが・・・

ポジション
ドル円139.26円L
ポンドドル1.1670ドルS
NZドル0.6375ドルS  継続しています。

NOTE

◆9月は米QT加速、その影響にも注意

9月からFRB保有資産縮小ペース上限が引き上げられ、
QT(量的引き締め)が本格化します。
6月からスタートしたQTは
月上限 475億ドル(米国債300億ドル、MBS175億ドル)
9月からは月上限 950億ドル(米国債600億ドル、MBS350億ドル)に。

これによってどのようなリスクが考えられるかというと、、、

・FRB保有資産が減少➡市中消化分が増える債券需給悪化=金利上昇リスク
 ~ただし財政赤字縮小の影響で債券発行額が減少しているため
  すぐに債券市場の需給が悪化することはないとの指摘も

・市中への資金供給が減少するためリスク資産などの流動性悪化
 ~民間のドル資金余剰が低下することで資金調達コストが上昇
 ➡レバレッジ取引コストも上昇、流動性低下で市場のボラティリティ上昇も?

◆ドイツ、インフレ対策9兆円で家計支援 エネ企業に課税
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR042Y80U2A900C2000000/
日本のGDPギャップが20兆円あまりに登ると言われているのですが
予備費を使うだけの補正予算で終わりでしょうか?岸田政権。

今週の予定

5日(月)
英保守党党首選、決選投票結果発表
EUウクライナ会合
OPECプラス閣僚級会合
米国市場はレーバーデー祝日のため休場

6日(火)
豪中銀政策金利
米ISM非製造業景気指数(8月)
英新首相就任
ブレイナードFRB副議長、講演
米中間選挙予備選(マサチューセッツ州)

7日(水)
日本景気動向指数(7月)
中国貿易統計(8月)
豪州GDP(第2四半期)
ドイツ15年債入札
カナダ中銀政策金利
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
ベイリー英中銀総裁、議会証言
バーFRB副議長、講演

8日(木)
日本景気ウォッチャー調査(8月)
ECB政策金利、ラガルドECB総裁 記者会見
パウエルFRB議長、金融政策に関する会議に参加

9日(金)
中国消費者物価指数・生産者物価指数(8月)
カナダ雇用統計(8月)
EU財務相理事会
ユーロ圏財務相会合
EUエネルギー担当相臨時会合
バイデン米大統領、演説
シカゴ連銀総裁、講演



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