2022年11月21日月曜日

為替市場が膠着。
ドル売りは一服していますがかと言ってドル高方向への反発も弱く、
すっかり動きが止まってしまいました。

1・ドル金利、再び上昇
2・G7、ロシア産原油への上限価格水準を23日に発表
3・NZの政策金利発表

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1・ドル金利、再び上昇
先週は改めてFRB高官らがタカ派発言を繰り返し
10月CPIに驚いて急低下していた米金利が再上昇。

※米国債利回り一覧

◆ウォラーFRB理事、0.5ポイント利上げへの「違和感弱まる」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-16/RLGKDDT0AFB401
     ・12月FOMCで利上げペースを鈍化させることへの「違和感が弱まった」
◆セントルイス連銀総裁、「最低」でも5-5.25%への利上げ必要に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-17/RLHTMPT1UM0X01
    ・政策金利を「最低」でも5ー5.25%に引き上げるべき
    ・金利水準の算出には、「テイラー・ルール」の複数の別バージョンが用いられた。
◆ミネアポリス連銀総裁、一連の利上げの終着点にはまだ至っていない
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-17/RLIDHQT0G1KW01
    ・1カ月分のデータで過度に納得してはならない

もっともウォール街の金利見通しは割れていて
ターミナルレートのコンセンサスがなかなか固まらない。

◆ウォール街割れる「5.75%から5%」「5%から3.25%」-23年FRB
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-18/RLJ009T0AFB401
・ゴールドマンとウェルズF:5.25%でピーク、23年中は据え置き予測
・UBS:来年中に1.75%利下げ、ドイツ銀:後半に1%利下げ見込む
・野村ホールディングス:5.75%まで引き上げ、その後5%に下げる
・バークレイズ:来年9-12月に0.75%の利下げを想定
・モルガン・スタンレー:利上げのピークは4.75%
・バンク・オブ・アメリカ(BofA):来年12月に25bpの利下げ
・JPモルガン・チェース:5%に到達後24年まで動かない

            PEAK    END OF2023
Nomura Holdings     5.75%    5.00%
Goldman Sachs      5.25%    5.25%
Wells Fargo        5.25%    5.25%
Bank of America      5.25%    5.00%
Barclays        5.25%    4.50%
JPMorgan Chase      5.00%    5.00%
Bloomberg Economics    5.00%    5.00%
Deutsche Bank      5.00%    4.00%
UBS           5.00%    3.25%
Morgan Stanley      4.75%    4.50%

ドルはなかなか上がりませんが、投資家の売りポジションは増えていて
IMM通貨先物ポジションは21年7月以来のドルショートに転じています。

◆IMM通貨先物、ドルが売り越しに転じる 昨年7月以来
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N32F048

ドルショートが積み上がりつつあるところへ
ドル金利が持ち直して上がってくれば、ショートカバーだけでも
ドルが上がりやすい地合いになってきているのでは・・・?

ということでドルロングポジションはまだ継続することに。

ドル円139.20円ロング
ユーロドル1.0374ショート

ユーロドル日足、200SMAが抵抗となって反落となるか。
2・G7、ロシア産原油への上限価格水準を23日に発表する計画-関係者
https://news.yahoo.co.jp/articles/087a0931aa749dcd3d8c7e656b673f7c48054d03
・合意された水準を上回る価格で取引された場合、
輸送に必要な保険、仲介、資金支援などのサービスや運航の提供を企業に禁止する
・発効は12月5日以降
・EUとG7の大半の国はロシア産原油の輸入を年内で打ち切る

そもそも何故G7とオーストラリアはロシア産原油の輸入価格に上限を設定するのか。

これは、EUがロシア制裁として12月5日からロシア産原油の90%の輸入を
停止することが決められていることが発端です。
(10%はパイプラインでつながっている国で免除せざるをえない)

あまりに厳しい大型制裁導入が決められたわけですが
これを厳格に遵守できるわけがありません。
いきなりロシア生産の原油が市場から消滅させることは不可能です。
そんなことをすれば、中東や米国など他の生産国の原油価格が暴騰します。
エネルギー輸入国はエネルギーが調達できずいんふれに苦しむことに・・・
インフレで済むならまだいいですね。
全く輸入ができなくなれば産業の停止、生活インフラの停止で命のリスクにも。

というわけで、EUのロシア産原油全面輸入停止を補助するための策として
輸入はしてもいいが、○○ドル以下の価格で買うように、と価格上限を決めて
ロシアからの輸入が継続されてもロシアの収入が減るようにしよう、というわけ。

うまくいくかどうかは全くわかりません。

そもそも中国やインドなどはこの枠組に入っていませんので
G7が決めた価格で買うかどうかわかりません。

ロシアは、G7が決定した価格より安い価格では売らないと宣言しています。
G7側は、決定した価格より高く買った場合は
輸送に必要な保険、仲介、資金支援などのサービスや運航の提供を企業に禁止する、
としています。皆さんならどうしますか?!

12月5日からのEUのロシア産原油の停止の影響で
IEAは、来年の同国の産油量は日量140万バレル減少すると予想。
その分の市場流通量が低下するわけで
中東や北海、米国産原油が上昇する可能性はありますが、
先週のマーケットトレンドプラスでエネルギーアナリスト大場紀章氏に
お話を伺っているのでこちらもぜひ。

◆EU、12月5日からロシア産原油輸入停止
https://www.radionikkei.jp/trendplus/eu125.html

ちなみに現時点ですでにロシア産原油価格を避ける動きは
進められており、ブレント価格とウラル原油のスプレッドは23ドル、
ロシア産原油がディスカウント状態にあります。
これがさらに広がるのか、それとも縮小していくのかに注目。

https://www.neste.com/investors/market-data/urals-brent-price-difference

※WTI原油価格日足 とは言え、足元原油価格は冴えない展開が続く。

◆中国 コロナ感染急拡大 約半年ぶりに死者 景気回復進まず
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221120/k10013897701000.html

感染者数、死亡者数の数字の信憑性はおいておくとして
感染拡大に中国当局が躍起になって抑え込もうとしていることは事実のようです。

景気回復への期待がなかなか盛り上がらないことが
原油市場の上値を抑え込んでしまっているものと考えられます。

3・NZ、11月RBNZで史上初の0.75%利上げ実施予想

◆New Zealand's RBNZ seen raising rates by historic 75 bps
https://www.reuters.com/markets/rates-bonds/new-zealands-rbnz-seen-raising-rates-by-historic-75-bps-2022-11-17/
史上初めて75bpの利上げを実施し
すでに積極的だった金融引き締めのスピードを上げる見込み

インフレ率は7.20%とRBNZの目標範囲である1~3%を大きく上回っている

RBNZの最新の調査によると、インフレは来年にかけて小幅にしか緩和されず、
以前の予測よりも高くなると予想されている。
11月8日に公表されたNZ中銀四半期調査による2年後のインフレ予想は3.62%、
前回の3.07%から大きく上昇し、1991年以来の高水準に。
1年後のインフレ予想も4.86%から5.08%に引き上げられてた。

ロイターの別の世論調査では、インフレ率がRBNZの目標内に収まるのは2023年末。

昨年10月にいち早く利上げ(0.25%)に踏み切ったNZですが
3月会合で1%にまで金利を引き上げてきましたが
4月会合で予想外に利上げ幅を0.5%に広げ、
その後10月noRBNZまでの5会合連続で0.5%づつ利上げしてきました。

現時点での政策金利は 3.5%。

これだけ急ピッチで利上げしてきたものの、9月には米国に抜かれているんですね。
米国は6月FOMCから4会合連続で 0.75%づつ利上げを実施しています。

政策金利、オレンジがNZドル 青が米国


ここでまた米国を追い抜こうということでしょうか。

今回の会合では0.75%に利上げ幅拡大が見込まれています。

※NZ中銀金融政策会合は年7回ですが、ここから夏休みに入るため
次回のRBNZ会合は2月22日で、約3カ月期間が空くということもあり
0.75%一気に引き上げる見込みとなっています。
NZは今から夏なんですよね、南半球なので。

これが素直にNZはドル買いの材料になるのかどうかに注目。

NZドル日足 200SMAで頭を叩かれて反落しそうですが、、、
Nドル月足 月足では反発局面入しているようにも見えます
マクロマーケットがドルの巻き返しのターンに入ってしまうと
NZドル単体で上昇していくかどうかは疑問ですが、
アノマリー的には12月はNZドルは上がる時期なんですよね。

これは貿易収支の季節性に起因しています。
こんなに貿易収支にきれいにサイクルがある国も珍しいですよね。。。

※貿易収支

**************今週の予定****************
21日(月)
FIFAサッカーW杯2022(~12月18日)

22日(火)
日銀「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」公表
ユーロ圏消費者信頼感指数(11月)
セントルイス連銀総裁、講演
クリーブランド連銀総裁、講演
OECD経済見通し

23日(水)
勤労感謝の日祝日のため東京市場は休場
NZ中銀政策金利

ドイツ製造業PMI速報値(11月)
フランス製造業PMI速報値(11月)
ユーロ圏製造業PMI速報値(11月)
英製造業PMI速報値(11月)
米製造業PMI速報値(11月)
米FOMC議事録(11月1日-2日開催分)
クレディスイス臨時株主総会

24日(木)
月例経済報告(11月)
ECB議事録(10月27日開催分)
ドイツIFO企業景況感指数(11月)

米感謝祭祝日のため米株式・債券市場は休場

25日(金)
東京都消費者物価指数(11月)
EU外相理事会
ブラックフライデーのため米株式・債券市場は短縮取引

26日(土)
台湾統一地方選

27日(日)
雨宮日銀副総裁、日本金融学会2022年度秋季大会で講演
中国工業企業利益(10月)

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