2023年1月30日月曜日

 23年入りから堅調地合いを継続してきた米国株はじめとしたリスク資産市場、
今週はイベントが多く、さらなる上昇ができるか否か正念場。

力強く12月の高値を超えて上昇トレンドを確固たるものにするには
今週の米テック企業決算、FOMC、雇用統計などのイベントが
前向きに評価される必要があります。

※米主要株価インデックス一覧  

SOX半導体指数、NASDAQ総合、ラッセル2000など金利上昇に弱いセクターの
買い戻しが大きく、これらは12月の高値を超えてきています。
このまま浮上できるでしょうか。

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■年初からの米株上昇の背景にあったのは・・・?

中国リオープン、米金利上昇が限定的&年内利下げ期待などが
米株反発の材料と指摘されていますが、
実はTeslaなど個別株オプション市場が鉄火場と化していることも
影響しているとの指摘があります。

■Tesla Has Become One of the Hottest Stock-Option Trades on Wall Street
https://www.wsj.com/articles/tesla-has-become-one-of-the-hottest-stock-option-trades-on-wall-street-11674777247 an. 27, 2023 5:03 pm ET
(テスラはウォール街で最もホットな株式オプション取引の一つになった)

~テスラオプションの取引はここ数カ月で急増している。
1日平均で300万枚近くの契約が交わされ、1年前の150万枚から増加、
他のどの銘柄よりも多くなっている。27日金曜日は全オプション取引の約13%を占めた。
トレーダーは2022年の初めからテスラ関連のオプションに7000億ドル近くを投じ、
他のどの株式や上場ファンドよりも多くなっている。

テスラの株価は木曜日と金曜日に23%以上上昇し、
両日ともS&P500種株価指数の最高値を記録した。
NASDAQ総合指数との相関も強い。

Teslaの個別株OP市場の投機的値動きが
米株市場全体、インデックス価格上昇の背景にあるのでは?
と考えることができなくもない、というわけです。
彼らがまだまだ価格を吊り上げる可能性もありますし
急落をもたらす可能性も否定できません。

まだまだ米株を楽観視できる地合いではなさそうです。

もう一つ、株式市場にはネガティブなニュース。

■米企業年金は歴史的な積み立て余剰、1兆ドルの債券購入も視野に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-29/RP8DXCT1UM0W01
~株式よりも変動の少ない債券に資金を再配分し、
 業界用語でいう「リスク軽減」を図ることができるようになっている

22年中は債券市場が軒並み暴落しましたが
一転今年は債券投資の年になる、というわけ。
金利も高いですしね。
株から債券へと資金シフトがテーマとなれば株のパフォーマンスは期待薄。

今週の注目はとにかくイベントが多いので
ボラティリティ上昇に注意。

FOMCは0.25%利上げがコンセンサス。
サプライズはないと思いますが、
株価インデックスが12月高値を超えてくるなど楽観が広がっていることから
考えると、パウエル議長がタカ派コメントで水を差すリスクには備えておきたい。

Meta、Apple、Alphabet、AmazonなどGAFA決算も株式市場の
センチメントを大きく変えるリスクイベントです。急反落に注意。

仮に株価がこれらのイベントをクリアし上昇が継続するなら
今年は春先まで株高でセルインメイ、5月急落パターンかな・・・。
本当のリスクは「インフレの再上昇」ですね。
現時点ではあまり心配されていませんが。

株が急反落するようなら、為替市場では再びドル高です。
昨年11月からドル安基調が続いていますが
今週のイベントでドル高への揺り戻しが来ないとも限りません。

ドル高イベントが到来した時に最も売られそうなのがポンド。
あまり材料もないのに今年ドル安基調だ、というだけで
ずいぶん上昇した印象です。
ここからドル高となる場合はポンドを売りたい・・・。

豪ドル0.7007ドルロングは継続していますが
木曜~金曜の安値を割るようなら一旦手仕舞います。

■OPECプラス、2月1日会合で現行方針維持の公算=関係筋
https://jp.reuters.com/article/oil-opec-idJPKBN2U31BU
・OPECプラスは2月1日にオンライン形式で会合を開く
・11月会合で日量200万バレルの減産決定、12月前回会合では生産方針を据え置き
・次回の「OPECプラス」の全体会合は6月予定

据え置き予想。
今週OPECPLUSによる混乱はないと思いますが、
エネルギーマーケットにはもっと重要なイベントが。

■What Europe Risks With Wider Sanctions on Russian Oil
https://www.washingtonpost.com/business/energy/what-europe-risks-with-wider-sanctions-on-russian-oil/2023/01/21/32c8ceea-995e-11ed-a173-61e055ec24ef_story.html
(ロシア石油への制裁強化で欧州が冒すリスクとは?)

2月5日から、EUはイギリスやアメリカと共に、
ロシアのディーゼルやその他の石油製品の海上輸入を禁止する。

ロシアの燃料輸出の価格制限と相まって、
ロシアのエネルギー収入減を意図しているが
需要家が代替燃料を確保できない場合、農業や道路運送など
「ディーゼル燃料」に依存する産業に新たなコストが発生し、
インフレを抑制することが困難になる。


昨年12月5日~ロシア産原油輸入停止措置がスタート。
マーケットには大きな混乱は見られませんでしたが、
2月5日~は「石油製品」の輸入まで停止します。
ガソリンやディーゼル燃料といった精製された製品のことです。

実は欧州は石油製品輸入のロシア依存も高いのです。
これは製油所の精製能力をロシアに依存しているということです。
つまり、原油で輸入しても国内に需要を賄えるだけの精製能力(製油所)がない。
故に、今回の石油製品輸入停止のほうが混乱が大きいとも指摘されていました。

記事では新しい製油所が立ち上がりつつある中東の供給元が、代替先となる、
とあります。また、中国やインドが石油製品輸出国としての存在が大きいのと
米国がロシアに代わってギャップを埋めると予想されていますが、
どうなるでしょうね。

「2022年の世界の石油製品貨物量に占めるロシアの割合は全体で9.3%、
 原油市場のシェアを約0.5ポイント上回っている」

 
今回も価格上限設定がありますが、
ロシアの燃料の一部は、欧米のサービスに依存しないシャドゥタンカーを経由し
上限なしの価格で輸送される可能性があるため、効果がないとの指摘も。

ロシア産の軽油を上限価格で購入し、自国で精製しEUに高く売りつけることで
中国、インド、米国らが儲かるって話でもあります。

いずれにしろこんなことは初めてですので、
何が起きるかは全く予想できません。

NOTE
原油価格、OPEC支配力強まる 米シェールの停滞を反映
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB247B00U3A120C2000000/
・OPECの生産調整が相場に与える影響は10年前の5倍に高まった
(ロシアなどを加えたOPECプラスとして生産シェアを高める一方、
 ライバルである米国のシェールオイル生産が低迷しているため)

************今週の予定***************

30日(月)
日銀国債買い入れオペ(残存3-5年、5-10年、10-25年、25年超)
中国市場、春節大型連休明け取引再開

31日(火)
日本2年債入札
日銀議事録(2012年7月-12月開催分)
日銀5年物共通担保資金供給オペレーション実施
日本雇用統計(12月)
中国製造業PMI・非製造業PMI(1月)

ドイツGDP速報値(第4四半期)
ユーロ圏GDP速報値(第4四半期)
IMF世界経済見通し(改訂版)

1日(水)
NZ雇用統計(第4四半期)
ドイツ10年債入札
ユーロ圏消費者物価指数(1月)
米ADP雇用者数(1月)
米自動車販売(1月)
米ISM製造業景気指数(1月)
★★米FOMC
米下院共和党、新型コロナウイルスの発生源を巡る公聴会開催

米企業決算:Meta

2日(木)
日本10年債入札
東京国際金融機構フォーラム、中曽前日銀副総裁や清水日銀理事が出席
英中銀政策金利
ECB政策金利、ラガルドECB総裁 記者会見

米企業決算:Apple、Alphabet(Google)、Amazon

3日(金)
GPIF、昨年10-12月期の運用結果公表
米雇用統計(1月)
米ISM非製造業景気指数(1月)
ミシガン大学消費者信頼感指数
EUウクライナサミット

5日(日)
EU、ロシア産石油製品の輸入禁止
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