2023年2月27日月曜日

 米2年債利回り、昨年の高値を超えました。
10年物はまだ昨年高値水準に及びませんが、早晩超えてくるのでは・・・
米インフレ、再上昇の兆し。

■米PCE価格指数、予想上回る伸び-利上げ継続への圧力増す
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-24/RQL6X3T1UM0W01
・PCE総合価格指数は前年比5.4%上昇、コア価格指数は同4.7%上昇
・インフレ調整後の個人消費支出は2021年3月以来の大きな伸び

・1月PCE デフレータ:前年比+5.4%(予想:+5.0%、12月:+5.3%)
           前月比+0.6%(予想:+0.5%、12月:+0.2%)
           ~昨年6月以来の伸び         
・1月PCEコア デフレータ:前年比+4.7%(予想:+4.3%、12月:+4.6%)
             前月比+0.6%(予想:+0.4%、12月:+0.4%)

・1月個人支出(PCE):前月比+1.8%(予想+1.4%、12月-0.1%←▼0.2%)
~インフレ調整後の実質PCEは前月比1.1%増加。
 昨年11、12月の落ち込みから反転し、2021年3月以来の大きな伸びとなる。
 
最近のインフレは需要主導型
・1月の貯蓄率は4.7%と前月の4.5%から上昇
し、1年ぶりの高水準

米国個人貯蓄率が上昇しつつ、ボトルネックインフレではなく
個人の需要が強いために価格が上昇しているというインフレであるため
これが一時的な揺り戻しであるとは言い難い内容。

昨年12月のPCE価格指数は伸びが鈍化したことで、利上げペース減速の観測を
強めていたが12月統計の上方修正と1月の再加速で、そうした減速分は
ほぼ帳消しになった格好。
更に週末に出た住宅指標も良好。

・米・1月新築住宅販売件数:67万戸(予想:62.0万戸、12月:61.6万戸)
というわけで、2年債(緑)と10年債(オレンジ)利回り
短期(2年)は昨年高値を超えて上昇。2007年以来の高水準へ。

12月FOMCでのターミナルレートコンセンサスは5.1%でしたが
いえいえ、もっと利上げする必要があるでしょう、
という見方が広がるのも無理はないですね。

セントルイス連銀のブラード総裁は
「今すぐ行動して、信頼回復を急ぐべきだ」と述べています。

FedWatchで市場の金利織り込みをチェックすると
これまで根強く残っていた年内利下げ予想が完全に消えました。
6月に5.25~5.5%まで利上げされた後年内これを継続するという予想に。

しかし、それでは足りない、もっと利上げすべきとの提言がでてきました。

■最高6.5%への米利上げ必要、学会・金融界エコノミストが論文で指摘
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-24/RQLBU4T0AFB501?srnd=cojp-v2
・FOMCが出遅れたことを厳しく批判
・コンピューターモデルの複数シュミレートでは
  23年下期に5.6%、6%、6.5%で金利がピークを付けると予想
  
米国金利、6%台があるなら、米ドル買って放置しておけばいいじゃない。
円キャッシュで持っていても金利はつきません。
また、6%もキャッシュ利回りがあるならキャッシュが最も安全で
利回りの低い商品の魅力が失われますね。
株の配当利回りも6%を超えるものは多くはありません。

というわけで株に売り圧力が。
ノーランディングというフレーズが金融市場に広がっていたところでしたが
急速にノーランディングシナリオが後退。
今度は「バンピーランディング(揺れの大きな着陸)」なんて言葉も。

※主要米国株価インデックス一覧
ただ、決してこれで再び下落トレンド再開となるような下落だったかというと
まだチャート形状が著しく悪化したわけではありません。
どこかの企業が潰れそうだ、というような信用リスクが広がっている
という状況にはないので、下がったら株を買おうという投資家もありそうよね。
そもそも株式市場に過熱感はなくアンダーウエイトのままです。
このまま株式投資のセンチメントが冷え込んでいくかどうかは
もう少し日柄を確認したいところです。

が、ドル金利上昇でドル高というのは続きそうです。

※通貨インデックス一覧
金曜の注目は米PCEだけでなく
東京市場では新日銀総裁候補の植田和男氏の所信聴取が。

■植田日銀総裁候補、基調物価見通し改善ならYCC正常化
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-24/RQF4XVT1UM0X01

メディアの報じたタイトルの論調には、副作用などの文言を用いて
マーケットに波風を立てたがっているようなものも散見されるのですが、
決して植田氏は副作用を問題視して緩和の正常化に言及したわけではありません。
「現状の金融政策は適切で、緩和を継続し企業が賃上げできる環境を整える」
と表明しました。

インフレについての現状認識も
「消費者物価の上昇率は2023年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下していく」
「輸入物価の上昇によるコストプッシュ要因であって需要の強さによるものではない」と
指摘し、黒田日銀の考えと同じであることを表明。

共同声明の見直しの観測が出ていることに対しても
「ただちに見直す必要があるとは今のところ考えていない」としています。

YCC政策については、昨年12月の修正をを踏まえて
「本当に市場機能の向上につながっているかどうか、現在見守っているという状況」
「市場機能の低下を抑制するというところに配慮しつつ(YCCという)措置を
どうやって継続するかを考えていかないといけない」と
あくまでYCC継続の方向での修正の可能性を示唆しています。
この言い方だと突然の撤廃の可能性は低そうですが、
YCCについては、原罪の黒田総裁の最後の会合となる3月の
突然撤廃の予想をする向きも多く、この点は油断できないとも思いますが。。。

※ちなみに日本のCPI消費者物価指数
1月の全国消費者物価4.2%上昇へ伸び拡大、41年4カ月ぶり高水準
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-23/RQGEDVT0AFB401

(1) 総合指数は2020年を100として104.7
  前年同月比 +4.3% 前月比+0.4%
 
(2) 生鮮食品を除く総合指数は104.3 (コア)
  前年同月比+ 4.2%  前月比 +0.3%

(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は102.2 (コアコア)
  前年同月比 +3.2%  前月比 +0.4%
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
高い伸び率ながらコア伸び率は市場予想を下回りました。

植田総裁候補、あらゆる面において市場に不安を与えることなく
そつなくイベント通過させたと思います。

というわけで日本株は力強く上がっていましたね。
リートなんか特に。

※日本株インデックス一覧
ただ、日本株も週末の米株の下落が大きかったことを受けて
週明けは軟調スタートとなりそうです。
24日金曜の東京現物市場の日経平均終値が 27453.48円 先物NYクローズが27330円

NY時間のPCE発表もあって力強い上昇を見せたのはドル円。
日足チャートでみて200SMA付近まで一気に上昇してきました。

私、所信聴取前に131円台のロング降りちゃったのよね(´・ω・`)ショボーン
下がったら買い直そうと思っていたのですが下がらず、再度乗り遅れてそのまま。
そのまま持ってればもう2円くらい取れたのに(T_T)
※ドル円日足

200SMA付近はフィボナッチリトレースメントの0.382戻し水準でもあり
一旦136円台レベルでは上値が重くなると思いますが
200SMAを超える上昇となれば次のターゲットは下落に対しての半値戻し
139.60円レベルまでの上昇が見込まれます。

この先もFF金利が6%台まで上昇する可能性が出てきた米ドルの押し目買いかな。
日銀イベントは一旦は終了で足元の円高リスクは後退しています。
次の日銀イベントは黒田日銀の最後の会合、3月10日。来週金曜ですね。

しかし、日本以外の世界の金利が上昇しているというのにドル独歩高です。

※主要国短期債利回り一覧
 
米株が下落する局面においてはキャシュ化が進むことが考えられるため
米ドル高となりやすい。
リスクオフ時はドル高です。
他通貨の金利がどれだけ上がろうともこれには抗えませね。

*********今週の予定************
27(月)
●参議院で日銀総裁候補者に対する所信聴取
●米 1月耐久財受注(22:30)
●米 1月中古住宅販売仮契約(28日 0:00)
●休場:台湾(〜28日)

28(火)
●1月鉱工業生産(8:50)
●1月商業動態統計(8:50)
●1月住宅着工統計(14:00)
●参院、日銀副総裁候補氷見野氏と内田氏への所信聴取と質疑実施
●インド 10-12月期 GDP(21:00)
●米 12月 FHFA 住宅価格指数(23:00)
●米 12月 S&P コアロジック CS 住宅価格指数(23:00)
●米 2月 CB 消費者信頼感指数(1日 0:00)

3/1(水)
●2月新車販売台数(14:00)
●中国 2月製造業 PMI(10:00)
●中国 2月非製造業 PMI(10:00)
●中国 2月 Caixin 製造業 PMI(10:45)
●米 2月 ISM 製造業景況指数(2日 0:00)

2(木)
●10-12月期法人企業統計(8:50)
●2月マネタリーベース(8:50)
●2月消費動向調査(14:00)
●ユーロ圏 1月 失業率(19:00)

3(金)
●2月東京都区部消費者物価(8:30)
●1月失業率・有効求人倍率(8:30)
●米 2月 ISM 非製造業景況指数(4日 0:00)
●米独首脳会談(ワシントン)

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