2023年6月12日月曜日

 S&P500は10月12日の安値から20%上昇を達成しました。
下落相場から上昇相場へ転換していると判断される展開になっている、
ということですが、今週は5月CPIが発表されますし、なんといってもFOMCです。

このまま高値追いできるかどうかは今週のイベント次第。

・5月分米CPI (13日21:30)

前回、4月のCPIを振り返っておくと
・4月消費者物価指数:前年比+4.9%(予想:+5.0%、3月:+5.0%)
          :前月比+0.4%(予想:+0.4%、3月:+0.1%)

・4月コア指数:前年比+5.5%(予想:+5.5%、3月:+5.6%)
       :前月比+0.4%(予想:+0.4%、3月:+0.4%)

6月FOMCでは利上げの必要なしとの確信が強まったとの解釈で
ドル円はCPIを受けて急落していました。
このときは9月FOMCでの利下げ折り込みがまだあったのよね。

今回5月分CPI予想は 前年比+4.1% と大幅鈍化が見込まれています。
    コアCPIも 前年比+5.2%と+5.5%からの鈍化予想。

ただし、前回CPIでは中古車価格が反発上昇していたため、
中古車価格は今回5月分も上昇している可能性があるとして
予想よりCPIが上ブレるリスクもありそうです。
その場合、金利が更に上昇し米株には調整の売りが入る可能性も。
ただし、その下落は買い場となるのでは?
S&P500は強気相場入りしているんですよね・・・。


・FOMC 14日(日本時間15日3:00)


FOMCは6月利上げ予想は著しく後退していますので
今回の利上げはないと思われますが、
FOMCメンバーらのドットチャートが出てきますので
ターミナルレートという言葉はこのところほとんど聞かれませんが
すでに米国はFOMCが示しているターミナルレート5.1%に到達していますので
ここからの金利見通しがどのようなものになるのかは重要ですね。
まさにピボット(転換点)をいつ迎えるのかの見極めの時なのです。
今回のFOMCなのか、それともまだ利上げの可能性を残すのか。

現時点で市場は7月以降のFOMCでの利上げの可能性を織り込んでいます。
これが肯定されるか否定されるか、ということですね。

気がかりは
6日、豪州が予想外の利上げ、
7日にはカナダが利上げを再開したことで、主要国の金利が上昇基調にあること。
スイスもさらなる利上げに言及しています。

スイス中銀総裁、インフレ抑制へ利上げ示唆
https://jp.reuters.com/article/swiss-snb-jordan-idJPL6N382008?il=0
スイス中銀 政策会合は22日。

世界のトレンドがさらなる利上げに傾いている時に
FOMCがハト派的メッセージを市場に送るとは思えず
意外とタカ派的会合となるリスクにも備えておきたいですね。
その場合、ドル高、株安となりますが、
強気派はこの下落が買いの好機と見るでしょう。

・ECB理事会 (15日21:15)

ECBは2022年7月から7会合連続で利上げを決定。
約8年間に及んだマイナス金利政策や量的緩和政策を打ち切り、
政策金利を計3.75%引き上げています。

今回15日の6月ECB会合では0.25%の利上げが見込まれています。
更に7月も0.25%利上げが織り込まれていますが、
ユーロ圏では、1-3月期の実質GDPが改定値で下方修正されたことで
2四半期連続マイナス成長となりいわゆる
「テクニカル・リセッション」に陥りました。

今回の利上げはほぼ織り込まれてしまっているため
注目ポイントではありませんが、現在の7月の利上げ折り込みが肯定されるか、
9月に利上げが停止されるという可能性はあるのか、この点に注目です。
(8月は会合がない)
サプライズとしてはハト派的となりユーロが下落する可能性もありそうですが
ドイツがいるからなぁ、そんなことはないか。

・16日日銀金融政策決定会合(16日正午前後)


今、日本国債のイールドカーブに歪みもなく
今回の会合でのYCC修正を予想する向きはほとんどありませんし
投機的な仕掛けも入っていません。

だからこそ、今回YCCに手を付けるべきだ、チャンスであるとの指摘も。
ただ、植田総裁はサプライズ変更は行わないといった趣旨の発言をしていますので
まず今回の会合での政策変更はないと思われます。

ただ、世界の金利が再び上昇基調を強める中
市場にあまりに強固なハト派メッセージを送ってしまうと
円安がさらに進行するリスクが大きいですね。
先般金融庁、日銀、財務相の3者会合があったことを考えれば
日銀が市場に過度にハト派的と捉えられるようなメッセージを送ることが
ないような配慮をする可能性もあり、
それがどんなものかは予想できませんが円高となる可能性にも
備えたいとも思うのです。つまりロングは利食っておきたいということね。

豪ドル円92.81円Lは継続しています。

NOTE
■中国5月物価統計、PPIは予想以上に下落 CPI伸び加速
https://jp.reuters.com/article/china-ppi-idJPKBN2XV035
中国5月CPI 前年比+0.2%(予想+0.2%、前月+0.1%)
中国5月PPI 前年比▲4.6%(▲4.3%、▲3.6%)下落は8カ月連続

CPIは市場予想通りでしたが、PPIは市場予想を大きく下回りました。
中国だけがデフレ。
CPIや金利、株価はほぼ世界とデカップリング状態にあります。
原油などコモディティ市況は中国の停滞を反映しているようですが。

-----今週の主な予定----
12日(月)
日本国内企業物価指数(5月)

13日(火)
岸田首相、記者会見
米消費者物価指数(5月)

14日(水)
米生産者物価指数(5月)
FOMC、パウエルFRB議長 記者会見、経済予測公表

15日(木)
NZ GDP(第1四半期)
豪州雇用統計(5月)
中国新築住宅価格(5月)
中国鉱工業生産・小売売上高(5月)
中国中期貸出制度(MLF)1年物金利
ECB政策金利、ラガルドECB総裁 記者会見
米小売売上高(5月)
米NY連銀製造業景況指数(6月)
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(6月)
ユーロ圏財務相会合

16日(金)
日銀金融政策決定会合、植田日銀総裁 記者会見
米ミシガン大学消費者信頼感指数(6月)
EU財務相理事会

日中のつぶやきはこちらで
ひろこのTwitter


いつもご覧いただきありがとうございます。
人気ブログランキングへ



※本レポートにて豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。したがって銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、弊社の重要事項説明を十分にお読みいただき投資家ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※また、本ブログ内にて提供される情報は豊トラスティ証券株式会社が信頼できると判断した情報源をもとに弊社が作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、豊トラスティ証券は保証せず、また、いかなる責任を持つものではありません。

※ブログ内容についてその表現や記述、データその他に関しましては、著作権法などの法令により保護されており、個人の方の私的使用目的以外での使用や他人への譲渡、販売コピーは認められていません(法律による例外規定は除きます。)。

以上の点をご了承の上、本ブログをご利用下さい。

運営:豊トラスティ証券株式会社