2023年7月10日月曜日

 ドル円、上昇トレンドが崩れたように見えます。

※ドル円日足

とはいえ、円安ドル高の長期トレンドが壊れたわけではないので
どこかでまた上昇トレンドに回帰すると考えますが、
テクニカル的には 3/24の129.63円からの上昇幅に対しての
38.2%押しの139.15円近辺
50%押しの137.32円近辺まで下がれば教科書通りですが、
そこまで下がるかどうか。

先週は「米市場金利が上昇しているのにドル全面安」
となったことが印象的。

※米国債利回り一覧 長期債(10年)は4%大台乗せ

為替市場は必ずしも金利に連動するものではありません。
去年の相場は米金利上昇にドル円がついて行ったことは事実ですが
それは、あまりに急激な利上げが市場のテーマであったためであり、
米金利のボラティリティが大きかったことが背景です。

では、先週のドル円は何に反応してドル安円高となったのか。

おそらく株の下落でしょう。
リスクオフに反応して
これまでの円ショートドルロングポジションの
解消に動いたのだと思われます。

※日本の主要株価インデックス
※米主要株価インデックス
そして世界の主要な株価インデックスも・・・
なぜ株が下げ始めたか。
これははっきり言えるものではありませんが
金利上昇が景気後退リスクを早めるといった警戒に繋がったのでは?

※主要国長期金利比較
米国だけではなく主要国の金利が勢いよく上昇していますね。
これが株上昇に水を差したものと思われます。

先週は米国のADP雇用統計、雇用統計が発表されましたが
ADPが驚く強さを見せたものの、雇用統計は予想より悪かった。

木曜■6月ADP雇用統計:+49.7万人
        (予想:+22.5万人、5月:+26.7万人)
        
めっちゃ強くてびっくり~
ADPの数字を受け、2年債利回りは一時5%台を上回り
2006年以来の高水準まで上昇したのですが、
なんとドル円が上がらなかった。
これが週末のドル円の下落を示唆していたと思います。
同時に利上げ継続による景気後退懸念も強まったのか
ADPの強さを見ても米株が売られたコトが背景。

金曜■6月雇用統計
非農業部門雇用者数:20.9万人(予想:+23万人、5月:+30.6万人)
        失業率:3.6%(予想:3.6%、5月:3.7%)
     平均時給:前年比+4.4%(予想:+4.2%、5月:+4.4%)
           前月比+0.4%
NFPは予想に満たず。
FRBがタカ派姿勢を強めるとの懸念を和らげる内容となった、
ということで一時株高で反応する局面も。
しかし、失業率は5月より低下し労働市場の強さは続いており
賃金の伸びは5月と比べて0.4%伸びています。

結局のところ、FRBの7月利上げは正当化されるだけでなく
利上げがさらに続く可能性、高金利が長期継続されるだろうことが
株式市場が引けにかけて売りに押されることに繋がったと思われます。

さらに、積極的な円ロングが出てくる可能性もあるでしょうか?
こんな見方も出てきました。

円の急反発を予想、YCC調整で9月末にドル136円も-MUFG
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-07/RXFNTCDWLU6801
・7月28日の日銀政策会合に近づくにつれて、
    YCC変更の観測が強まると想定している
・ドル円相場は9月末時点で136円に

また、⬇こういう極端な見通しが出てくる頃がピークと言う視点も。
「ミスター円」榊原氏、1ドル=160円割り込む円安進行も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-06/RXE9ATDWRGG001

昨年の高値151円をも超えてくるという見通しも出てきたわけですが
通貨先物市場の円ショートポジションが
昨年のドル円の介入が入った9月時点よりも膨らんでいます。
この円ショートが巻き戻されるだけでも、かなりの円高圧力に。

過去円ショートが解消されるタイミング(ピンクの矢印)では
円高になるケースが多かった。

※ドル円先物市場の投機筋ポジション ネットショートは11万枚超え

先週保有していた豪ドル円ロングは損切り。
ADP受けて上がらないドル円をみて
7日ドル円を143.91円で売っています。
株の調整がもう一段入るようなら、ドル円は戻り売りでいいのでは?

+++++++今週の主な予定+++++++++++

12日のNZ・カナダの金融政策は金利据え置きか。
同じく12日は米CPIも。 円高が加速するやもしれません。

7/10(月)
●6月景気ウォッチャー調査(14:00)
●中国 6月消費者物価(10:30)
●中国 6月生産者物価(10:30)
●米 5月消費者信用残高(11日 4:00)

11(火)
●6月マネーストック(8:50)/6月工作機械受注(15:00)
●独 7月 ZEW 景況感指数(18:00)
●NATO 首脳会議(岸田首相が出席)(〜12日リトアニア)

12(水)
●6月国内企業物価指数、5月機械受注(8:50)

●NZ 準備銀行金融政策決定会合 (5.50%に据え置き予想)
 
 ・前回5月会合(0.25%利上げ決定)では据え置きも検討。
 ・政策金利見通し
 「5.50%でピーク、24年第3四半期からの利下げ開始」に維持。
 ・その後発表された1-3月期GDP速報値は2四半期連続マイナス成長で
   利上げによる景気悪化懸念が台頭しています。
   
●カナダ 中央銀行金融政策決定会合 (4.75%に据え置き予想)
 
 ・前回6月会合で3会合ぶりの利上げ決定。
 ・声明では「金利をさらに引き上げる用意」との文言削除
 ・6月雇用統計悪化 雇用者数増加も失業率上昇(5月5.3% ➡ 5.4%へ)
 ・5月消費者物価指数大きく低下 4月4.4%  ➡ 5月3.4%に低下
 
●米 6月消費者物価(21:30) 予想 総合指数(CPI)前年比+3.1%、
                             コア前年比+5.0%(5型う+5.3%)

●ベージュブック(米地区連銀経済報告)(13日 3:00)

13(木)

●中国 6月貿易収支
●日・EU 首脳会談(ブリュッセル)
●米 6月生産者物価(21:30)

14(金)
●オプション SQ
●米 6月輸出入物価(21:30)
●米 7月ミシガン大学消費者信頼感指数

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