2023年11月1日水曜日

 日銀、YCC再修正を発表しました。

昨晩23:00の日経電子版の観測記事通り、ということですが、
植田日銀体制になってからの5回の日銀会合中、3回に於いて
同様のリークで政策変更を実施してきた経緯があることへの
批判も強いようです。

なぜ事前に漏らすのか?ということですね。
意図的なのか、植田日銀体制が緩い(甘く見られている)のか。

どちらにしても、事前にリークされたことで
その効果が逆方向に出てしまったと思われ、残念なことです。
■日銀がYCC運用を再修正、長期金利1%超え容認-緩和は維持
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-31/S3AJ3FT1UM0W01

これまで長期金利の上限を1%としてきましたが
これを「1%めど」とし、指値オペの毎営業日実施を取りやめることを決定。
上下0.5%程度としていた変動幅は削除。

簡単に言うと、日本の長期金利は1%超えることが容認されたということ。

「めど」がどの程度までの金利上昇を容認することの表現なのか。
ここは曖昧で、海外勢にとってはわかりにくいとして
不人気な表現だそうで極めて日本的な表現ですが、
7月の「YCC柔軟化」決定からわずか3ヶ月でさらなる修正を
迫られるほどに、金利上昇圧力が強いということですね。

米国長期金利の急ピッチな上昇に起因するもので
YCCの枠組みを持続させるためには必要だとの判断でしょう。

米金利上昇がこのまま止まらなかった場合、日本の金利にも上昇圧力が
かかるわけですが、1%上限のままですと1%を超える部分に於いては
無制限に長期債を購入しなくてはなりません。
つまり金利上昇を抑え込むための大規模緩和で
円安が止まらなくなっていきます。
為替市場での円安ドル高の圧力が強いことも無視できないという側面も。。。
(本来為替水準を意識した政策変更であってはなりませんが)

また仮に1%を超えてしまった場合、
YCC政策が持続不可能となったとして日銀の敗北、円売り、という
シナリオも描けるわけで(それはホントの日本売り、悪い円安です)
ある程度の金利上昇を容認することでYCC政策を持続させていく、
という「緩和継続の意思の表明」という側面もありますね。

ともかく、日本の長期金利が1%に乗ることを容認したのです。
なのに、何でしょう、ドル円相場のこの上昇は!

ドル円日足 151.50円を超えてきた。

完全なる踏み上げ相場ですね。
今日の日銀のYCC修正に期待したドル円ショートが膨れ上がっていたのか。
その売りポジションを買い戻す動きが
ドル円相場を押し上げていると見られます。
要するにショートカバー祭りです(゚ロ゚)w

これ、昨日のリーク記事の影響も大きいと思います。
前回もそうであったようにリーク記事の精度が高い。
(つまり誰かが漏らしている)
今回の会合では日銀が動く!円高転換にかけたポジションが
増えたことがこのドル円上昇の背景にあるとしたら
事前に漏れたことで
今回の決定の効果が台無しになったというわけです。

だって、日銀の決定を受けて日本の金利は上昇しているんです。
※日本国債利回り 長短金利ともに上昇
円金利が上昇しているのに、円が売られています。

米金利はというとあまり動いていません。
※米国債利回り
今夜日米金利差は縮小していますが、それでも圧倒的な円売りなのです。
※日米金利差(長期金利)とドル円
というわけで、ショートカバーが終われば自ずとドル円は落ちてくると
考えられますが、しかし、日本通貨当局(財務省)は介入しないのかな??
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今日発表された「外国為替平衡操作の実施状況」
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/feio/data/monthly/20231031.html

9月28日~令和5年10月27日 介入額 0円
介入していませんでした。
10月3日のJOLTS(米求人件数)発表後
150円に乗せた直後3円近く落ちたのは介入ではなかった。。。
ということで介入警戒感も薄れ、
このドル円上昇に乗じて新規買いもあるかもしれません。
あるいは介入期待が裏切られたショート勢のぶん投げに繋がっているか。
今日のドル円のボラティリティはそこそこ大きいので
介入が入っても不思議はなさそうですが、
なにか介入できない理由があるのでしょうか・・・。

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注目されていた展望レポート。
日銀の最新の物価見通しでは、緩和の継続が示されたことも材料です。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2310a.pdf
真ん中の消費者物価指数(除く生鮮食品)コアでみるか
右の(除く生鮮食品、エネルギ=)コアコアでみるかで
やや判断が異なりますが
いずれも物価見通しは上方修正されています。
しかし、上方修正事態は事前に予想されていたことですので
事前に織り込み済み。

コアコアで見れば24年.25年のインフレ率は2%を割り込んでいるため
緩和は長期的に持続される、とも読み取れます。

しかしこの展望レポ最後のページを見ると
コアコアではなくコアの物価見通しの
日銀政策委員の予想推移がグラフ化されており
これを見ると22.23.24年とインフレ率は3%近くに
高止まっている姿が見えてきます。
この1枚だけを見せられると、
日銀の大規模緩和はそろそろ転換するのでは?
とも受け止めることができますね。
早期の緩和政策からの脱却、政策修正の布石と読むこともできます。
もし、市場の受け止め方が後者であるなら、
やはり今夜のドル円相場の反応は過剰であり
ポジション解消に伴う動きだと思いますが、今売り参戦は怖いですね。

ポンド円、カナダ円のクロス円ショートは日銀に討ち取られました。
討ち死にです。素直に豪ドルドルショート継続してればよかったです(T_T)
クロス円もドル円上昇に連れて上昇中。手が出ません~
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マクロ環境ですが、米株が反発基調にあります。

VIXが下落し始めたんですよ。
原油、ゴールドも反落基調。
      ゴールド
地政策イベントによる警戒が後退しているということかと思われます。

イスラエルとパレスチナの問題は
なんら解決に向かっているわけではないのですが
■ガザ人質解放に向けた「取引のめど立たず」=イスラエル高官
https://jp.reuters.com/world/security/SAWT2HK5OROL7OH4QY5SNOF4BM-2023-10-31/
■イスラエル、ガザ市付近まで進軍か ネタニヤフ首相は停戦を拒否
https://www.bbc.com/japanese/67269841

マーケットは緊張状態を長く続けられないということでしょうか。
よくよく考えれば、原油の供給に影響が出たわけでもありません。
イスラエルが第2段階に入った、と宣言したところで
材料出尽くしだっった、ということなのかもしれません。


ゴールドは有事で買われた分が剥落するリスクがありますので注意。
原油はそもそも需要が弱い。

株は売られすぎた分のリバウンド相場に入ると思われます。
まだリスクオン相場に入ったとはとても言えませんが
株がリバウンドする中で、良き材料が出てくればそのまま年末高へ、
というシナリオも考えられますので、ここからは株が面白いかも。

あ、米金利が再び上昇しなければ、ですが。

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