2024年1月29日月曜日

 さて、今週はFOMC~週末金曜には12月米雇用統計の発表があります。
先週注目されたPCEコアは鈍化も、事前に予想された範囲内でした。

■FRB注目のPCEコア指数が鈍化、好調な消費にもかかわらず
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-26/S7VF25DWX2PS00
PCEコア 前月比 +0.2%
           前年同月比 +2.9%上昇(予想 +3% 前回 +3.2%)
           過去6ヶ月平均 +1.9% (2ヶ月連続で2%割れ)
           
FRBのインフレターゲットはコアPCEの年率2%とあって
コアPCEが3%を割り込み2%台になったこと、
6ヶ月平均が2ヶ月連続で2%を割れて1.9%となったことだけを見れば
利下げが正当化されると見ることもできるのですが
粘着性の高いスーパーコアは前月比+0.3%へと加速。
同時発表の11月個人所得は前月比+0.3%と予想と一致も
同個人消費支出は前月比+0.7%と予想以上の強い伸びであることから
早期利下げ期待を高めることはなかったですね。

また年初からFed要人らが相次いで3月利下げは時期尚早と市場を牽制したことから
3月利下げ確率は週末時点で46.2%と50%を割り込んでいます。

今週の1月FOMCでは政策変更は予想されていません。
注目点は3月FOMCに向けてのパウエル議長の会見でしょうか。

FOMC金利決定は3月利下げへの序曲となる可能性-31日発表
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-28/S7Y8EODWRGG000
~パウエル議長の記者会見と、議長がそこでどのようなシグナルを出すか、
 あるいは出さないかは極めて重要

■2月2日(金)12月雇用統計予想

NFP 非農業意部門雇用者数  予想+17.3万人 前回+21.6万人
          失業率 予想 3.8% 前回3.7%
     平均時給(前月比)予想+0.3% 前回+0.4%
     平均時給(前年比)予想+4.1% 前回+4.1%
     
■同日発表されるISM製造業景況指数、予想 47.3 前回 47.4
 
米金利は12月下旬にボトムアウトして1/18まで大きく反発しましたが
(長期金利は3.7%台から4.1%台まで上昇)
足元で上昇の勢いが止まっています。
米金利は更に上昇するのか、それともこのレベルで止まるのか。

※米国債利回り一覧


ドル円相場も足元で膠着、レンジとなっていますが、
今週のFOMC~雇用統計を受け米金利がどう動くかに注目です。

米金利と併せて、先週の日銀会合以降上昇基調にある
円金利動向にも注目です。

※日本国債利回り2年10年


■昨年シリコンバレー銀行を始め米国の銀行が相次いで破綻した際に
導入されたBTFP:銀行救済プログラムですが、金利を引き上げられました。
低金利で資金調達ができる仕組みと合って、これを利用した裁定取引が急増。
そもそも3/11には終了されるプログラムですので
ここで金利が引き上げられたからと言って市場への影響は軽微かと思われますが。。

FRB、緊急貸出制度の金利引き上げ-銀行の裁定取引阻止で即日実施
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-25/S7SIZCT1UM0W00
・17日までの1週間ののBTFP借入残高は1620億ドル(約23兆9300億円)過去最高
・BTFPは銀行にとってただで稼ぐことができる仕組み、BTFPで借り入れた資金を
 準備預金に移すことで裁定取引が可能
・3/11にはBTFPを終了
 
■中長期的にドルの動向に関わってくる可能性があるのが「もしトラ」
 
トランプ氏、対中関税を検討 大統領就任なら一律60%
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB280JG0Y4A120C2000000/
中国だけでなく全ての輸入品に10%の関税を課す「普遍的基本関税」の導入も検討。

中国製品だけでなく、米穀へのすべての輸入品に10%の関税を課す、
ということを検討しているという報道ですが
貿易問題に取り組むというなら、ドル円の水準是正を求めてくる可能性も。

これまで米国は高インフレ下にあったため、
ドル金利を引き上げきましたし,ドル高で良かったわけです。
インフレを抑え込むためには自国通貨は高いほうがいい。

しかし、前述したようにインフレも沈静化してきた。
現状のドル高は米国の製造業輸出産業にとっては弊害でしかありません。
日本はこの円安で製造業が息を吹き返していますが
トランプ大統領は自国産業を守るために動くかもしれませんね。
トランプ発言で円高、ということもあるかもしれません。

そして最もリスクが大きいと思われるのがメキシコペソですが、
不法移民を送り返すとしていますので
不法移民らが米国で稼いだマネーの
メキシコへの郷里送金によるペソ高に影響が出るリスク。

ただ、まだ「もしトラ」ですので実際どうなるかわかりませんけどね。

■先週のECB理事会を受けた欧州の早期利下げ観測台頭で
ユーロが円に変わるキャリー通貨となる可能性があるとGSとJPモルガン

ユーロがキャリー取引の調達通貨にも-ゴールドマンとJPモルガン
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-28/S7X9UOT0AFB400?srnd=cojp-v2
・ラガルド氏は25日経済成長の停滞、賃金上昇圧力の冷え込み、
   ディスインフレの継続を認めたことで、 
 トレーダーは4月の0.25ポイント利下げをほぼ完全に織り込んだ。

・ラガルド総裁会見が早期利下げ観測を呼ぶ結果になり、
 ユーロはG10通貨の中で最悪の週間パフォーマンスを記録

・金利は2024年末に2.5%まで低下すると予想
・トレーダーらは日本銀行の利上げが近いと確信するようになり、
   代替通貨を探している

今年は円に変わってユーロがキャリー通貨として下落する可能性があるというわけね。
その場合、円売り圧力は軽くなります。
年初からNISAのドル買いがドル円を押し上げたという指摘も増えていますが
円がキャリー通貨から本格的に陥落するなら
円安トレンドの転換となりうるかもしれません。

ドル金利上昇が続けばドル高というのは変わらないと思いますし
足元で投機筋は円ショート再開していますので
すぐに円買いするのは危険ですけど。

IMM通貨先物ポジション 1/27までの週は7万枚まで円ショートが増えた


一方でユーロのポジションは 8.8万枚のユーロロングなんですね。


トレンドとしてユーロロングが解消されています。
このママロングが解消され、ネットショートとなる可能性も出てきた、
というわけね。キャリー通貨となっていくならばです。

ここからはユーロの戻り売りを狙ってみます。
ドル円は短期目線では押し目買いのような気がしますが、指標次第。

■週末は決算受けてインテル株が急落。

米インテル、第1四半期売上高見通し予想下回る 時間外で株価急落
https://jp.reuters.com/markets/world-indices/IL2FNRHK2FLZZKVVEZ6B2AYC64-2024-01-25/


これがトリガーでしょうか、SOX指数、ナスダックなど急反落。

米企業決算が本格化、今週はApple、Amazon、METAなど
マグニフィセント・セブン銘柄の決算も出てきますので
米株がどう動くのかにも注目ですね。
米株が崩れるようなら円キャリーは盛り上がらないはず。
主な米企業決算 ()は予想1株利益

30日(火)
ファイザー(-0.21)
GM(1.17)
マイクロソフト(2.78)
アルファベット(1.72)
AMD(0.77)
UPS(2.43)
スターバックス(0.93)

31(水) 
ボーイング(-0.62)
マスターカード*(3.08)
クアルコム(2.36)
メットライフ(1.91)

1日(木) 
メルク(-0.10)
アップル(2.11)
アマゾン(1.04)
メタ(4.95)

2日(金) 
エクソンモービル(2.21)
シェブロン(3.22)
アッヴィ(2.87)

********今週の主な予定***********

30(火)
●12月失業率・有効求人倍率(8:30)
●岸田首相の施政方針演説など政府4演説
●ユーロ圏 10-12月期 GDP(19:00)
●独 10-12月期 GDP(18:00)
●米 FOMC(〜31日)
●米 11月 FHFA 住宅価格指数(23:00)
●米 11月 S&P コアロジック CS 住宅価格指数(23:00)
●米 12月 JOLTS 求人件数(31日 0:00)
●IMF 世界経済見通し

31(水)
●1月 22・23日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」
●12月商業動態統計(8:50)
●12月鉱工業生産(8:50)
●ソフトバンク、3G のサービス終了を全国で延期(4/15に変更)
●中国 1月コンポジット PMI(10:30)
●中国 1月製造業 PMI(10:30)
●中国 1月非製造業 PMI(10:30)
●米 1月 ADP 雇用統計(22:15)
●ブラジル中銀政策金利発表

2/1(木)
●中国 1月 Caixin 製造業 PMI(10:45)
●英金融政策委員会
●ユーロ圏 12月失業率(19:00)
●米 1月 ISM 製造業景況指数(2日 0:00)

2(金)
●1月マネタリーベース(8:50)
●三井物、みずほ FG、川崎船、JAL、KDDI
●米 1月雇用統計(22:30)
●米 12月製造業受注(3日 0:00)

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