2024年2月2日金曜日

 【1月FOMC】
・政策金利は予想通り据え置き。

・声明文
「2%の物価目標達成に向けより確かな自信を得るまで利下げは適切ではない」
 という文言が新たに追加。早期利下げ期待を牽制。

・パウエル議長「(インフレ2%達成が)
 3月会合までに確信できるレベルに達する可能性は低い」とタカ派発言

・QTテーパリング議論は3月FOMCから開始

■パウエル米FRB議長の会見要旨
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/DIWY7DM6EZME5L4HT3NVCA2VV4-2024-01-31/

タカ派メッセージが打ち出されたものの米金利は低下しました。
10年国債金利は4.02%から3.92%まで下落して引けています。

31日の株式市場はパウエル議長のコメントを受けて下落、
S&P 500指数は1.6%、NASDAQは2.2%下落しました。

要するに、債券から株へと資金シフトが起きたのです。
リスクオフ相場のような動きでしたね。
これは一体・・・?

様々な指摘があります。

①QT(量的引き締め)の縮小に関して
「3月会合でバランスシートについて詳細な議論を開始する予定」

すでに予想はされていましたが、バランスシート縮小のペースを見直す
QTテーパリングについて3月FOMCで議論開始とのメッセージが出された。
これは、3月利下げは無くても量的引締め政策を緩めることで緩和に踏み切るとして
金利低下思惑を高めた、と受け止める向きがあっても不思議ではないでしょう。

②パウエル米FRB議長の会見
「雇用減は予想していないが、雇用が悪化すれば利下げする」
「労働市場の予期せぬ弱体化が見られれば、利下げは時期は早まる」
 
このメッセージが効いているかもしれません。
昨日発表された米ADP民間雇用、1月は予想下回る伸びでしたね。

・米民間雇用者数は10万7000人増加、市場予想の中央値は15万人
・前回12月分は16.4万→15.8万人に下方修正
・大手企業の相次ぐ人員削減が今後数カ月の雇用市場に影響へ

そして今夜の
■米失業保険申請件数は2カ月ぶり高水準-労働市場の冷え込み示唆
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-01/S86J18T1UM0W00
・失業保険申請の4週移動平均は20万7750件に増加、11月以来の大幅増
・季節調整前では1万1000件増の約26万1000件-NYなどで特に増加

労働市場の冷え込みがヒタヒタと近づいてきた感が。

明日は雇用統計です。
もし、労働市場の減速が大きかったら・・・?
雇用が悪化すれば利下げする、利下げ時期は早まるとのメッセージが
昨日のADP雇用統計の悪化と相まって意識された可能性もありそうです。

ちなみに今回の雇用統計予想。
 NFP非農業意部門雇用者数 予想+18.5万(前回+21.6万)減少予想
           失業率 予想 3.8% (前回 3.7%)悪化予想
     平均時給 前月比 予想+0.3%(前回+0.4%)低下予想
          前年比 予想+4.1%(前回+4.1%)
         
予想の段階で前回より悪いのでハードルは低め。
予想より良ければ、現在の過度な金利低下は巻き戻されるでしょう。
しかし、予想を下回れば3月利下げ織込みが急上昇しドル金利は一段と低下、
ドル円を押し下げる可能性も否定できません。
      
③米地銀NYCB、株価暴落
-不動産リスクの衝撃が市場揺さぶる
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-31/S84QV6T1UM0W00
・10-12月(第4四半期)決算が予想外の赤字となり、配当を引き下げた
・他の地銀株も下落。KBW地方銀行株指数は6%下げ、
 昨年3月にシリコンバレー銀行(SVB)に取り付け騒動が起きて以来の大幅な下落
 
地銀リスクと聞くと、昨年3月のシリコンバレーバンク破綻を思い出しますが
NYCBは、シリコンバレーバンクと同時期二破綻したシグネチャーバンクから
預金など一部資産を同社から引き受けた経緯があります。

この決算をうけ、NYCB株はご覧の下落。

今日の東京時間では決算をうけてあおぞら銀行株がS安。
■あおぞら銀が赤字転落へ、米不動産リスク波及-下方修正で社長が謝罪
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-01/S85H1BT0G1KW00
・米地銀NYCBを直撃した商業用不動産の市況悪化、邦銀にも影響
・米オフィス向けの不動産融資では市場の流動性が低く厳しい状況
・米国の不動産関連ビジネスを始めたのは20年以上前

~コロナ前はオフィスに来て働くのが当たり前で、
  まさか在宅勤務の環境が訪れるとは思わなかった
   「4月からかじ取りを担う大見次期社長」
※あおぞら銀行日足
米国の「商業用不動産」セクターのリスクが噴出した格好ですが、
記事中にもあるように、メガバンクはリスクコントロールができているため
これをきっかけに、銀行株が軒並み売られるということはないとの見方が大勢。

NYCBに関しても、これは例外であり他銀行に広がるリスクは小さい
との見方が大勢のようですので、
このままリスクオフ相場に発展するというムードではありませんのでご安心を。

■NYCBは「例外」、米地銀の古傷はかなり治った-シチズンズCEO
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-01/S86HOYT1UM0W00

しかし、株式市場にはもう一つの懸念が。

④マイクロソフトの好決算でも株下落、MAG7株に売り広がる

■Microsoftの純利益33%増 10〜12月、生成AIが寄与
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30EFT0Q4A130C2000000/
・主力のクラウド基盤「Azure(アジュール)」などの売上高は前年同期比30%増加
 (市場予想+28%)
~それなのに決算受けてマイクロソフトは下落。
前日のアルファベットの株も決算受けて大きく下がっていましたね。
■アルファベット、中核の検索広告事業の売上高が予想下回る-株価下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-30/S83FI8T0G1KW00
SOX指数も短期的にはトップアウトしたような形。
ナスダック総合指数、ラッセル2000などのインデックスも不穏な形。
ただの押し目なのか、それとも・・・・
※主要米国株インデックス
だって、こんなに金利が下がっているんですよ。
今夜も一段と金利が下がっています。

※米国債利回り一覧
ちょっとこの金利低下は不気味です。
FOMCはタカ派的だったというのに。

FEDウォッチ、短期金利市場の織り込みを確認すると
3月利下げ確率は42.5%もあります。
市場はパウエル議長の言うことをあまり信用していないようです。
というわけでドル円を 146.72円で売り参戦しました。

※ドル円日足 明らかに揉み合いを下抜けてきた
金利低下でドル建てゴールドは上昇。
※COMEX金先物日足
ただし、VIX指数は静かなものです。
大暴落が来る!というムードでもありませんので
リスク資産全力ショート、などと早まらないことです。
※VIX指数指数
 
 
今日発表の製造業景況指数が思いの外強く、
米経済は決して弱くない、、、。
■米ISM製造業景況指数、1年3カ月ぶり高水準-受注が強い伸び
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-01/S86N27T1UM0W00?srnd=cojp-v2
・1月は2ポイント上昇の49.1、市場予想47.2
・新規受注5.5ポイント上昇、3年余りで最大の伸び-22年以来の高水準

NOTE

■英中銀、政策金利据え置き-インフレ鈍化なら利下げ可能と示唆
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-01/S86EONT0AFB400
・今年のインフレ見通しを引き下げ
・追加利上げが必要となる可能性があるとの一節をガイダンスから削除
 →利下げに道を開いた。
「ベイリー総裁」
・政策金利を現水準で据え置けば、インフレ率は目標の2%を「顕著に」下回ることになる

■短期金融市場での金利織り込み。
・今年の英中銀利下げ見通しは変わらず
・0.25ポイントの利下げが年内に少なくとも4回と見込まれている
・初回の利下げ時期は6月で、5月の確率は約50%

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