2024年3月18日月曜日

 日銀の3月会合は今週18-19日ですが、共同通信、日経新聞の週末の記事タイトルは
もう決定したかのような書き方ですね。

■3/15:20:58 日銀、マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ、19日決定
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba041a0650102cedb47c2113c9343e1c4c268b2a

■3/16:2:00 日銀、マイナス金利解除へ 賃上げ拡大で17年ぶり利上げ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB12CUV0S4A310C2000000/

・金利引き上げは2007年2月以来17年ぶり
・新たな短期金利の誘導目標は0〜0.1%案が有力
・YCCも撤廃する方針
・ETF/REITの購入停止見込み
・春季労使交渉の第1回回答の集計で賃上げ率は平均5.28%
 ~中小の賃上げ率4.42%、物価との好循環見込む

連日のように観測報道があり、すでに市場は食傷気味。
黒田日銀はサプライズで市場を動かしましたが、
植田日銀は市場が動揺しないように事前に織り込ませる戦略なのか?
メディアに漏らしているのは日銀ではなく官邸官僚筋だという指摘もありますが
ここまで具体的だということは、決定事項なのでしょう。

春闘の第1回集計結果も良かった。
■春闘の平均賃上げ5%超、33年ぶりの高水準-日銀正常化へ環境整う
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-14/SABEZFT0AFB400

しかし、日銀が17年ぶりに金利を引き上げるというのに
すでにドル円相場では円高への反応がありません。
むしろ、ドル金利上昇に引っ張られてドル高となっています。

これを、市場が日銀が今度の会合で出口戦略に動くことを
すっかり織り込んでしまったためなのか、
それともまだ懐疑的だからなのか、ここを見極めるのは難しい。

それは3/19の日銀の発表後のメーケットの反応で氷解するのですが
少なくとも、足元はこうした事前報道への反応は全くなくなってしまった。

※ドル円 3/12(火)からドル円上昇


出遅れたのですが3/15 148.44円でドル円ロング参戦。
日銀報道で円高警戒が強いはずなのに反応しなくなった、というだけの理由です。

確かに日銀がマイナス金利を解除するといっても
新たな短期金利誘導目標は0~0.1%とされており、
米国のFF金利5.00~5.25%と比較になりません。

しかも、足元でドル長短金利はご覧の上昇です。

※米国債利回り2年10年
一応、日本の長短金利も上昇しているのですが

※日本国債2年10年
米金利上昇幅のほうが大きいので日米金利差は拡大方向。
足元の米金利リバウンド上昇は3/11から
いうまでもなく、先週発表されたCPI,PPIが強かったためでしょう。

先週のブログにも書きましたが再掲

■米2月コアCPI、2カ月連続で予想以上の伸び
 ~過去3カ月のコアCPIが年率4.2%上昇と昨年6月以来の大幅な伸び率

総合CPI 前年比+3.2% 予想+3.1% 前月+3.1%(前月から0.1%上昇)
     前月比+0.4% 予想+0.4% 前回+0.3%(前月から0.1%上昇)
    
コアCPI 前年比+3.8% 予想+3.7% 前月+3.9%(前月からは低下)
     前月比+0.4% 予想+0.3% 前月+0.4%(前月と同じ)

■米2月PPI予想上回る大幅上昇~6カ月ぶりの大幅上昇

2月生産者物価指数(PPI)前月比+0.6%(1月+0.3%)予想以上の拡大
            前年比+1.6%(1月+1.0%←+0.9%上方修正)          
   
   コアPPI 前月比+0.3%(1月+0.5%)前月より低下も予想+0.2%を上回る
       前年比+2.0%(1月+2.0% +1.9%へ鈍化予想も前月と同じ)

■2月小売売上高 前月比+0.6%(1月▼1.1%昨年9月以来最大の伸び)

インフレ再燃への警戒が強まったための金利上昇といっていいでしょう。

しかも原油もジワリ上昇中。
※WIT原油日足
国際エネルギー機関(IEA)が24年の需給が引き締まるとの見通しを発表。
IEAが日量30万バレル供給不足となるとの見通しを発表したことが
買い戻しにつながっている模様。

コモディティ高は金利上昇リスクでもありますね。

今週の注目はなんといっても日銀とFOMCですが
3月マイナス金利解除をどこまで織り込んでいるのかが
現時点ではわからないのですが、148円台のポジションは継続方針。
日銀が実際に動いた瞬間に円高に触れる可能性も否定できませんが、
その後の記者会見などを考えると下がったところは
再度買われるのではないかと思います。結局ドルが強いのでは?

FOMCに関しては利下げ観測はゼロですが、
QTのペースダウンについて検討を始めるということですので
どのような議論がなされ、どのような発表があるのかに注目。

あとはドットプロットですね。
雇用統計等の数字をみると利下げを急いだ方が良い、という指摘もありますが
CPI,PPIなどインフレデータをみると利下げ開始はまだまだ早いという市場の反応。

FOMCボードメンバーらがどのような見通しを出してくるのか。
ドル金利は大きく動きそうです。
メンバーらの予想する年内利下げ回数が更に減るようだと
更にドル金利上昇となりドル高が加速しますが
利下げが6月には開始される方向なら足元の金利上昇はやや剥落するでしょう。

今週は日米の金融政策だけではありません。
スイス、英国、豪州、メキシコの金融政策会合も。

3/19豪州:4.35%に据え置き予想
     ・2月会合では「据え置きと利上げを議論した」
     ・23年10-12月CPIが前年比+4.1%(予想+4.3%:前回+5.4%)から低下
      2月会合での利下げ予想もあったが据え置かれた
     ・1月CPI前年比+3.4%と1月と変わらず
         
3/21英国:5.25%に据え置き予想
     ・10-12月期GDPマイナス成長~テクニカルリセッション
     ・最初の利下げは8月コンセンサスだが、6月になるとの予想も
    「英国はほぼ完全雇用、それでもインフレ懸念は後退-ベイリー中銀総裁」
     https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-12/SA8VO6T0G1KW00

3/21 メキシコ:0.25%利下げの可能性も(現在 政策金利11.25%)
       ・2月CPI4ヶ月ぶり低下(1月4.88%⇒4.40%)
       ・コアインフレ率2月までで13ヶ月連続低下(1月4.76&⇒4364%)
       ・市場は24年内に最大1%の利下げを予想
NOTE

■日銀マイナス金利解除後も日本マネー4兆ドルは海外に-MLIV調査
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-17/SAFTXAT0G1KW00?srnd=cojp-v2
・米国の株・債券市場は影響受けにくいとの回答が優勢
・回答者の69%は1ドル=120-140円の間で年末迎えると予想

マイナス金利解除で金利が0.1%程度ついても
市場に動揺はなさそうですがさて。

■ECBが年内数回の利下げ実施できる条件整う-フィンランド中銀総裁
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-16/SAFOJQDWLU6800

*******今週の予定***********

18日(月)
日本1月機械受注(8:50)
中国小売売上高・鉱工業生産・不動産投資(11:00)
EU外相理事会
エネルギー国際会議「CERAウィーク」(22日まで)

19日(火)
★★日銀金融政策決定会合、植田日銀総裁記者会見
★豪中銀政策金利
カナダ消費者物価指数(2月)
独 3月 ZEW 景況感指数(19:00)
米 2月住宅着工件数(21:30)

米大統領選予備選(アリゾナ、フロリダ、イリノイ、カンザス、オハイオ州)

20日(水)
春分の日祝日
中国:最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)(10:15)
英国:消費者物価指数・生産者物価指数・小売物価指数(2月)
ラガルドECB総裁、レーンECBチーフエコノミスト
「ECB and Its Watchers」インフレ高進収束・金融政策につて講演
★★米FOMC、パウエルFRB議長記者会見、経済予測公表

21日(木)
日本2月貿易統計(8:50)
NZ実質GDP(第4四半期)
豪雇用統計(2月)
★スイス中銀政策金利
★英国中銀政策金利
★メキシコ政策金利
英製造業PMI・非製造業PMI速報値(3月)
独製造業PMI・非製造業PMI速報値(3月)
ユーロ圏製造業PMI・非製造業PMI速報値(3月)
米製造業PMI・非製造業PMI速報値(3月)
米景気先行指数(2月)
米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(3月)(21:30)
米2月中古住宅販売件数(23:00)

22日(金)
日本消費者物価指数(2月)(8:30)
豪中銀四半期金融政策報告
独3月 Ifo 景況感指数(18:00)

☆2/21 エミン・ユルマズ氏との共著が発売となりました。
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